WordPressでWebサイトを作っていると、ふと疑問に思うことがあります。
「これはプログラミングと呼んでよいのだろうか」
テーマを使ってサイトを作る。
プラグインを入れて機能を追加する。
管理画面から文章や画像を設定する。
こうした作業だけを見ると、一般的にイメージされる「コードを書いてシステムを作るプログラミング」とは、少し違って見えます。
では、WordPress制作はプログラミングではないのでしょうか。
結論から言えば、WordPress制作の内容によって変わります。
WordPressを使っているだけで、すべてをプログラミングと呼ぶのは少し乱暴です。
一方で、WordPress制作はプログラミングではないと言い切るのも正しくありません。
今回は、WordPress制作とプログラミングの関係について考えていきます。
そもそもプログラミングとは何か
プログラミングとは、コンピューターに行わせたい処理を、プログラミング言語を使って記述することです。
たとえば、
ボタンを押したらメニューを開く
入力された内容を保存する
条件に応じて表示内容を変える
データベースから記事を取得する
ユーザーごとに異なる画面を表示する
こうした処理をコードで組み立てる行為が、一般的にプログラミングと呼ばれます。
重要なのは、単にパソコンを使っているかどうかではありません。
コンピューターの動作や処理を、自分で設計して指示しているかどうかが一つの基準になります。
WordPressを使うだけなら、必ずしもプログラミングではない
WordPressは、専門的なコードを書かなくてもWebサイトを作れる仕組みです。
既存テーマを選び、文章と画像を差し替え、プラグインを追加すれば、ある程度のサイトを作れます。
この場合、行っていることはプログラミングというより、
Webサイト制作
CMSの設定
ノーコード・ローコード制作
Webデザイン
コンテンツ登録
と表現した方が正確です。
たとえば、既存テーマの色を変更し、画像を差し替え、必要なプラグインを入れただけであれば、自分でプログラムを作ったとは言いにくいでしょう。
これはWordPressに限りません。
Canvaで画像を作ったからといって、グラフィックソフトを開発したことにはなりません。
Excelで関数を使ったからといって、必ずしもシステム開発者になるわけではありません。
既に用意された機能を使うことと、その機能自体を作ることは別です。
WordPress制作でも、プログラミングを行う場面は多い
一方で、WordPress制作の中には明確にプログラミングと呼べる作業があります。
たとえば、オリジナルテーマを開発する場合です。
WordPressの投稿データを取得し、条件によって表示を切り替え、管理画面で入力された内容をページに反映させる。
こうした処理を実装するには、PHPやJavaScriptなどの知識が必要です。
さらに、
オリジナルテーマの開発
独自プラグインの開発
カスタム投稿タイプの実装
絞り込み検索の実装
外部サービスとのAPI連携
会員機能の実装
フォーム処理のカスタマイズ
管理画面の機能追加
データベースを利用した独自処理
このような作業は、十分にプログラミングです。
WordPressを使っているかどうかは本質ではありません。
WordPress上であっても、自分で処理を設計し、コードを書いて動作を実装しているのであれば、それはプログラミングです。
HTMLとCSSだけの場合はどうなのか
ここで判断が分かれやすいのが、HTMLとCSSです。
HTMLはページの構造を定義し、CSSは見た目を整えるために使われます。
これらは一般的には、プログラミング言語ではなくマークアップ言語、スタイルシート言語に分類されます。
そのため、厳密に言えば、HTMLとCSSだけを使った作業をプログラミングと呼ばない考え方もあります。
ただし、実務ではそれほど単純ではありません。
HTMLとCSSにも、
要素の構造を考える
再利用しやすい設計にする
画面幅に応じて表示を変える
保守しやすい命名を考える
表示崩れの原因を特定する
といった論理的な設計が必要です。
特にSassを使った設計や、複雑なレスポンシブ対応になると、単なる文字装飾では済みません。
それでも、厳密な分類としては「コーディング」と呼ぶ方が適切です。
つまり、
HTML・CSSを書く作業はコーディング
PHP・JavaScriptなどで処理を作る作業はプログラミング
と分けると、比較的わかりやすくなります。
「WordPress制作者」と「プログラマー」は同じではない
WordPress制作をしている人が、自分をプログラマーと名乗ってよいかという問題もあります。
ここは慎重に考える必要があります。
WordPressサイトを作れるからといって、すぐにプログラマーと名乗ると、相手に誤解を与える可能性があります。
一般的にプログラマーという言葉からは、
アプリケーション開発
業務システム開発
Webサービス開発
データベース設計
サーバーサイド開発
ソフトウェア開発
などを想像する人が多いからです。
既存テーマの設定やプラグイン導入が中心であれば、「WordPress制作者」「Web制作者」「Webデザイナー」と名乗る方が実態に合っています。
逆に、PHPを使ったテーマ開発や独自機能の実装まで行っているのであれば、
WordPressエンジニア
フロントエンドエンジニア
Webエンジニア
WordPress開発者
と名乗っても不自然ではありません。
肩書きは、自分を大きく見せるためではなく、相手に提供できる価値を正しく伝えるためのものです。
大切なのは、呼び方よりも何ができるか
「WordPress制作はプログラミングなのか」という議論は、言葉の定義だけで終わりがちです。
しかし、実務で本当に重要なのは呼び方ではありません。
重要なのは、
どこまで自分で作れるのか
どのような問題を解決できるのか
不具合が起きたときに原因を調べられるか
既存機能で対応できない場合に実装できるか
保守しやすい構造で作れるか
という部分です。
「私はプログラミングをしています」と言っていても、既存テーマを触ることしかできなければ、対応できる案件は限られます。
反対に、自分をプログラマーと名乗っていなくても、コードを読み、修正し、独自機能を実装できる人は、実務上かなり価値があります。
肩書きよりも、実際の技術力の方が重要です。
WordPressはプログラミングを学ぶ入口にもなる
WordPress制作は、プログラミングを学ぶ入口として非常に優れています。
最初は管理画面からサイトを作るだけでも、少しずつ疑問が出てきます。
「この部分だけデザインを変えたい」
「記事の表示順を変更したい」
「特定の条件だけ表示を変えたい」
「プラグインを使わずに実装したい」
こうした要望に対応しようとすると、自然にHTML、CSS、JavaScript、PHP、データベースなどを学ぶことになります。
WordPressは完成された仕組みを使える一方で、その内部に入れば本格的なWeb開発の知識が必要になります。
つまり、WordPressはノーコードツールであると同時に、プログラミングを実践できる開発環境でもあります。
どこまで深く使うかによって、必要な技術レベルが大きく変わるのです。
プラグインを使うことは悪いことではない
プログラミングができる人ほど、すべて自作しなければならないと考えることがあります。
しかし、これは必ずしも正しくありません。
信頼できるプラグインで安全かつ効率的に実装できるのであれば、無理に自作する必要はありません。
実務では、技術力を見せることよりも、
納期
予算
セキュリティ
保守性
更新のしやすさ
不具合のリスク
を考えて最適な方法を選ぶことが重要です。
自作できることと、自作するべきかどうかは別問題です。
本当に技術力がある人は、何でもコードを書く人ではありません。
既存機能を使うべき場面と、自分で実装するべき場面を判断できる人です。
WordPress制作をプログラミングと呼ぶ基準
WordPress制作をプログラミングと呼んでよいか迷ったときは、次のように考えると整理しやすいです。
既存テーマの設定や文章の入力が中心であれば、Web制作やCMS構築と呼ぶ方が適切です。
HTMLやCSSを使って見た目を実装しているのであれば、コーディングをしていると言えます。
JavaScriptやPHPを使って動作や処理を実装しているのであれば、プログラミングをしていると言えます。
独自テーマやプラグイン、システム的な機能まで開発しているのであれば、WordPress開発と呼べます。
WordPressという名前だけで判断するのではなく、実際に行っている作業で判断するべきです。
まとめ
WordPress制作をプログラミングと呼んでよいかどうかは、制作方法によって変わります。
既存テーマやプラグインを設定するだけであれば、必ずしもプログラミングとは言えません。
一方で、PHPやJavaScriptを使って処理を作り、独自機能を実装しているのであれば、それは明確にプログラミングです。
大切なのは、WordPressを使っているかどうかではありません。
自分でコードを書き、コンピューターの処理を設計しているかどうかです。
そして、それ以上に重要なのは、自分の作業をどの言葉で呼ぶかではなく、どのような問題を解決できるかです。
「プログラマーと名乗ってよいか」と悩むよりも、対応できる範囲を一つずつ増やしていく方が、実務でははるかに価値があります。
WordPress制作は、簡単なサイト制作にも使えます。
同時に、深く学べば本格的なWeb開発にもつながります。
WordPress制作がプログラミングかどうかを決めるのは、WordPressそのものではありません。
その中で、自分がどこまで考え、どこまで実装しているかです。