洗濯機が止まる音で、ベランダに出ました。八月の終わりの陽射しは、まだ十分に強い。二時間で乾いた半袖のブラウスを取り込むと、繊維の奥から日向の匂いがします。畳んで、衣装ケースのいちばん下へ。来年の夏まで、この一枚に袖を通すことはありません。
この一枚のブラウスには、恋愛の深い真実が宿っています。
こんにちは、神楽 玄斗(かぐら げんと)です。
夏服は、しまえます。洗って、乾かして、畳んで、蓋を閉めれば、それで季節がひとつ終わる。けれど彼への想いは、洗っても乾かない。畳もうとすると角が合わない。蓋が閉まらない。ケースの端からはみ出したまま、秋になろうとしている。
そのはみ出しを、往生際が悪いと責める人がいます。私は、そうは視ません。しまえないのは、まだ終わっていないからです。終わったものは、放っておいても勝手に畳まれていきます。畳めないということは、糸がまだどこかで繋がっているということ。
彼の本音は、霊視でハッキリと視えます。今のあなたの状況を、一度視させてください。
視させていただくと、彼の側にも、しまいきれていないものがありました。
彼の部屋の、椅子の背もたれ。そこに夏のシャツが一枚、掛けっぱなしになっています。もう夜は肌寒いのに、片付けていない。彼はそれを、面倒だからだと思っている。けれど霊視で視える理由は違います。片付けてしまうと、その季節に起きたことまで片付いてしまう気がして、手が伸びないのです。
男の人は、想いを言葉で保管するのが不得手です。代わりに、モノや習慣の中に置いておく。返さないままの傘、消さないままの写真フォルダ、掛けっぱなしのシャツ。彼が黙っているのは、想いがないからではなく、置き場所が言葉ではないからです。
スマホのトーク画面を開いて、打ちかけて、消す。その繰り返しをしている夜が、彼の側にもあります。通知だけで読んで、返す言葉を探して、探しているうちに日付が変わる。返信が来ないことと、想われていないことは、まったく別のことです。
彼が今、何をどこに置いたまま秋を迎えようとしているのか。それを具体的に視てお伝えできます。
そのうえで、この時期にひとつだけお伝えしたいことがあります。
八月の終わりから九月の頭にかけて、人の心は動きます。二百十日の風が吹き、日が短くなり、夜の匂いが変わる。夏のあいだ、暑さで麻痺していた感情の輪郭が、涼しさとともに戻ってくるのです。連絡の途絶えていた人から、ふいに短い一言が届くのは、たいていこの季節の変わり目でした。
だから今、無理に畳まなくていい。しまえない一枚は、ケースの外に出しておいてください。秋のはじめに、もう一度袖を通す日が来るかもしれない。そのときに押し入れの奥深くへ沈めていたら、間に合いません。
畳めない自分を責めながら過ごした午後を、私は知っています。責める代わりに、今日は洗って、干して、日向の匂いをつけておくだけで十分です。しまえないものがあるのは、心がまだ動いている証拠なのですから。
夏服の日向の匂いが教えてくれた続きは、霊視でお伝えします。
あなたの恋愛が前向きになるように、お手伝いさせていただきます。
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