こんにちは。千代です。
龍の模様が入った小物を見つけて、誰かの顔が浮かぶことがあります。あの人はこの色が好きだった。新しい暮らしを始める人に、何か小さなものを届けたい。そんな気持ちから選ぶ贈り物には、相手を思う時間も包まれているのでしょう。
けれど、願いを込めたものほど、受け取った人にも同じように大切にしてほしくなることがあります。今日は、龍にまつわる贈り物を渡すとき、品物と一緒に背負わせずにいたいことについてお話しします。
相手の好きなものから選ぶ
たとえば、引っ越しをする友人へ、龍の絵が描かれた手ぬぐいを贈る場面を考えてみます。これは説明のために思い浮かべた例です。
自分には美しく見える龍でも、相手はもっと控えめな模様が好みかもしれません。飾るものを増やしたくない人もいれば、日々使える布なら嬉しい人もいるでしょう。贈る側の思いだけでなく、受け取る人の暮らしに置けるものかを考えてみたいと思います。
「こういう柄は好きですか」と、先に尋ねてもよいのです。驚かせる楽しみを少し減らしても、相手が選べる余地は残ります。贈り物をすること自体、今は気を遣わせないかと考える時間も、その人への配慮になるでしょう。
龍だからきっと喜ばれる、と決めずに、まずは一人の人の好みに目を向ける。そこから選んだ品物なら、龍について詳しく語らなくても、思いやりを伝えることができそうです。
添える言葉は自分の気持ちとして
渡すときには、「この色が似合いそうだと思って」「新しい場所で、ゆっくり過ごせますように」と、自分が選んだ理由を添えられます。
一方で、「この龍が必ず守ってくれる」「持っていれば悪いことは起こらない」と約束することはできません。励ましたいつもりでも、品物に保証を持たせると、相手は使わないことや手放すことをためらうかもしれません。
龍観術で何かの印象を受け取ったとしても、それを、相手がこの品物を持つべき理由にしなくてよいのだと思います。観えたと受け止めたことと、贈りたいという自分の気持ちは、分けておきたいところです。
「よかったら使ってください」。その短い言葉の中にも、十分に温かさはあります。どう使うかを細かく指定せず、受け取るかどうかも含めて、相手に委ねる気持ちで渡せたらと思います。
使い方を見届けなくてもよい
贈った手ぬぐいが、壁に飾られることもあれば、台所で使われることもあるでしょう。しばらく引き出しにしまわれる場合もあります。自分が思い描いた使い方と違っていても、それだけで気持ちが届かなかったとは言えません。
「飾ってくれたかな」「毎日使っているかな」と気になっても、会うたびに確かめると、相手に報告の用事を増やしてしまうことがあります。写真を送ってもらうことも、贈り物のお返しとして当然には求めないでいたいものです。
品物を渡したあと、その置き場所を決めるのは、受け取った人です。こちらが見ていないところで使っていても、まだ出番がなくても、贈った時間まで失われるわけではありません。
少し寂しく感じるなら、その気持ちをすぐに相手への不満へ変えず、「私は喜ぶ姿を見たかったのだな」と自分の側で受け止めることもできます。願いを込めた分だけ生まれた期待を、静かにほどく時間です。
贈り物のその後を相手に返す
長く使えば布は傷み、暮らしが変われば必要なものも変わります。いつか手放したくなることもあるでしょう。その選択を、龍への敬意が足りないという話に結びつけたくはありません。
贈ったときの気持ちと、品物を持ち続ける期間は、同じものではないと思うのです。受け取った人が自分の暮らしに合わせて扱えることも、贈り物の大切な一部なのでしょう。
もし好みに合わなかったと聞いたら、残念さがあっても、正直に伝えてくれたことを受け止めたいと思います。次に何かを選ぶ機会には、その言葉が相手を知る手がかりになります。
龍の姿を通して、誰かの穏やかな日々を願う。その願いは、相手の持ち物や行動を決めなくても、自分の中に置いておけます。包みを渡したあとは、使い道まで一緒に握りしめずに手を離す。そんな贈り方を、大切にしていけたらと思います。