辛い経験は誰かの勇気になる~1989年生まれの映画監督作品「生き止まりの世界に生まれて」~

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久しぶりに映画を観に行った。今回、私が観たのは、1989年生まれの映画監督ビン・リューの監督デビュー作品「行き止まりの世界に生まれて」(1h33)。きっかけは、このタイトルに惹かれたのと、映画監督の年齢が私よりも下であるということに興味を持った。実際観てみたら、、、、想像以上に刺激を受けたので、是非皆さんに紹介したいと思う。
<ストーリー>
小さな町で必死にもがく若者3人の12年間を描く傑作ドキュメンタリー!
「アメリカで最も惨めな町」イリノイ州ロックフォードに暮らすキアー、ザック、ビン(映画監督自身)の3人が、貧しく暴力的な家庭から逃れるようにスケートボードにのめり込む。彼らにとって、スケート仲間は唯一の場所、もう一つの家族。いつも一緒だった彼らも、大人になるにつれ、少しずつ道を違えていく。ビンのカメラは、明るく見える3人の悲惨な過去や葛藤、思わぬ一面も露わにしていく。希望が見えない環境、大人になる痛み、寝深い親子の溝・・・ビンが撮りためたスケートビデオと共に描かれる12年間の軌跡。
<映画監督ビン・リューってどんな人?>
ビンは8歳になるまで、中国、アラバマ、カリフォルニアを母親と共に移動、ビンが8歳の時、シングルマザーだった母がロックフォードに仕事を見つけ引っ越し。そこで母は、身体的にも精神的にも暴力をふるう男と再婚、17年間一緒に過ごす。ビンは13歳で、家から逃れるようにスケートボードを始める。そこで、家にいるよりも、アウトサイダーの集団の中にいる方が何倍も幸せだということに気づく。その後、20代にかけてシカゴへ引越し、教師になるべく勉強を始め、卒業後は映画監督組合の撮影部で働き、その傍らショートドキュメンタリーを作成。当時は、もう過去は振り返る必要はないと感じていたが、多くの仲間たちが薬物の犠牲になり、刑務所域になり、中にはそれよりもひどい場合もあることを、ビンは無視できなかった。ビンはメンタルヘルスや人間関係、子育てのスタイルに何らかしら悪影響を与えている、父親の不在や確執、父親からの暴力のパターンに気がつく。そして、それをこのプロジェクトのテーマにしようと決めたようだ。
<映画監督ビン・リューの思い>
撮影をしていく中で明確になったことは、暴力と、暴力によってクモの巣のように広がる影響は、大部分で永続されてしまうということ。なぜなら、これらの問題は扉の向こうに留まってしまうから。ビン・リューの願いは、「行き止まりの世界に生まれて」の中で扉を開いてくれた登場人物たちによって、同じようなことで苦労している若い人々が勇気をもらい、彼らがその状況を切り抜けられること、生きて、自分たちの物語を伝えられること、そして自分たちの力で人生を作っていけるようになることだそう。
<映画を観て感じたこと>
マイナスのエネルギーは何かを生み出す原動力になるということを改めて実感した。
ビンやその周りの人々の過去はとてもつらいものだけど、もし、ビンがこういう辛い経験をしていなければ、こういう映画を作ろうと思うこともなかっただろうし、私がこの映画を観てこういう現実があるということを知ることもなかっただろう。そしてこの映画ができることにより、救えたかもしれない人を、もしかしたら救うことができなかったかもしれない。そう思うと、辛い現実や過去は決して経験したくはないことではあるけれど、その経験は必ず、同じような思いをしている誰かの役に立つのではないかと思った。
<まとめ>
最近私は、「自分の才能の見つけ方」という本田健さんの著書をよく読むが、そこには、「苦しいときに、才能を開花させるエネルギーが貯まる」という記載があった。この映画監督はまさにその最たる例だろう。萩本欽一さんの言葉を借りると「ダメなときほど運はたまる」(少し、ニュアンスが軽くなってしまったかな?)ということかな。
今現実に、辛い思いをしている方、苦しい思いをしている方、たくさんいらっしゃると思う。なかなか前向きにはなれないかもしれないが、そんな時はこの映画を観ると少し勇気をもらえるかもしれない。芸術の秋にお勧めの1本です♪

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