【詩】ノンラベリング・エモーション

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コンクリートの高層ビル群が お互いに擦れて軋む音が響く
全てをラベリングしたい人間の賢さが創造した社会
賢くも鈍くもなれない僕の自我がブレる

心から生まれた ぐらぐら揺れる知らない何かが怖くて
何でもいいから知っている名前を当てはめて
さっさとピンボケした不安感を終わりにしてしまいたい
「スキ」でも「キライ」でもいい 変わりない安らぎを抱こうと
不定形なこいつのためのありふれた型を求めて彷徨う
その自我のなかにある感情の液体が冷えて固まった時に
誰とも同じ形になるような そんな鋳型を探してる
楽になりたいんだよ

(ダレカが言った
 イマドキのワールド・コミュニケーションは
 大量生産された無料のインスタントで丁度良い)

ラベリングして
ただ一言に決めつけて
意味もなく 安心したい

安心させてくれ!

安心させてくれ!

安心させてくれ!

「……寂しい」

もう一つの己の声が矛盾にまみれて孤独

いつだってどうにもならない
心の最奥 決められない感情は
生まれた時から四角い透明なガラスの箱に
厳重に管理されていた
その箱のなかで霞を作り続けて
安心と不安のなかで
永遠に閉じ込められるままでは ただ苦行
自我の声 震えの波を感じ 呑み込まれ 溺れたい
囁きが 叫びが 聞こえる――

「身を任せろ!
 身を任せろ!
 その理不尽な
 不安と快楽に!」

内なる天啓に脳と神経が痺れる時に
自我を閉じ込めるガラスの箱が割れて砕けて飛び散った
無数に砕けるガラスが乱反射する光の虹色の輝きのなかへ
感情はうねりながら飛びだし
瞬時に地平線と重なって消えていく
規定することを止めた僕は
何も恐れることはなく
跳ねる心を追いかけて
無限色の世界の彼方
何にも留まらずに走っていくのだ



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