過去の経験を経て築いた「お客さんの正解を出すことが全て」というスタンス/iPadクリエイター・イナゾーギミック

イラスト、LINEスタンプ、動画編集……あらゆるクリエイティブを「iPadひとつ」でこなすマルチクリエーターのイナゾーギミックさん。高校卒業後、音楽活動からスタートした異色のキャリアや、独学でスキルを磨いてきた道のり、そしてココナラでのサービス展開に至るまで、その歩みは独特かつ実直です。
今回はイナゾーギミックさんのこれまでの道のりと現在提供しているサービスについて、じっくりお話を伺いました。
20代は音楽一筋。友達の紹介による就職がきっかけでクリエイターの道へ
本日はよろしくお願いします。
まずはクリエイターとして活動することになった経緯について教えてください。
高校を卒業してからは定職につかず、音楽活動に明け暮れていました。20代前半まではずっと「その日暮らし」という言葉がピッタリくるような生活で、アルバイトをしながら日銭を確保し、それ以外の時間はヒップホップミュージシャンとしてレッスンやライブ活動をしていました。
何年も必死に活動していたのですが、やはり厳しい業界でなかなか芽が出ず諦めることになり……。当時は20代中盤になったらもう就職できないと言われているような時代でもあったので、30代に差し掛かる年齢になっていた自分はどんどんと焦りが高まる毎日でした。
そこからどうされたのですか?
偶然ですが、友人の紹介で就職することができたんです。iPhoneの修理をメインとする会社だったのですが、私は社員としてショップの店長を務めることになりました。入社して少し経った後、修理対応だけでなくiPhoneの周辺機器も売ることになり、告知するチラシやPOPなどの販促物を作ろうとなったのですが、どこに頼んでいいかもどう作るのかもわからない。
そこで、目に入ったのがレジとして使っていたiPadでした。「これを使ったら自分でもチラシを作れるんじゃないか?」と考え、試行錯誤しながら色々と作るようになりました。
“iPad” という土俵だからこそ戦える。“自分にしかできない”LINEスタンプ制作が成功体験に

そこから本格的に独立して活動を始めることになったきっかけは何だったのですか?
3年ほど経った後会社を辞めることになったのですが、ハローワークに通いながら、手元にあったiPadで何かできないかなとおぼろげに考えていたんです。そんな時、ちょうどLINEスタンプを自作できるサービスが盛り上がっていて、「自分もやってみたい」と感じ、トライしてみることにしました。
ただ、Web上に公開されている制作ノウハウはほとんどPCが前提で、iPadを使うには自力で学ぶしかなかったのです。でも、試行錯誤しながら完成したことで「誰にも教わらずに自分で作れた」という大きな達成感を得ることができました。
スタンプ自体はあまり売れなかったのですが(笑)、周囲から「自分で作れるのはすごい!」と言われるようになり、もしかするとこれは仕事になるのでは?と感じたのです。
今でもiPadにこだわっている理由は、やはりそこにあるんでしょうか?
そうですね。実はiPadしか使わないことによる機会損失もあります。例えば僕は別のモニターを使っていないので、映像美を求められるような動画編集の依頼を受けることはできません。
ただ、PCだと多くの人がサービスを提供していて、自分の経験や価値が埋もれてしまうと感じたのです。そこで差別化するため、徹底的にiPadを使った制作スキルに磨きをかけました。当時はiPadに絞ったノウハウもあまり公開されていなかったこともあり、これをテーマとしたYouTubeを立ち上げたり、セミナーを開いたりと「教える」サービスを提供することもできるようになりました。

今ではココナラで動画編集やイラスト制作など、さまざまなサービスを提供されているのですね。
「iPadを使ったクリエイティブサービスを武器にする」と決めてから、iPadの中にあるアプリを色々と試してみました。その一つが動画編集アプリで、一通り工程を学んだ後、「売れなければやめればいい」というくらいの気持ちでココナラに出品しました。
しばらくしてサービスが購入されたのですが、最初のお客さんがものすごく喜んでくれたんです。「自分でもスキルを提供できる!」と感じ、現在でもサービスとして出品しています。このようなトライアンドエラーができるのもココナラのよさですよね。
テキストがやり取りの中心となるココナラで、「テキストに頼らないコミュニケーション」を目指す

やり取りで大切にしていることはありますか?
とにかく「コミュニケーション」ですね。仕事のやり取りでは対面、オンラインと形は違えどほとんど会話があるじゃないですか。でも、ココナラ上でのやり取りは基本テキストチャットになるので、初めてココナラを使うお客さんのほとんどはその方法に慣れていない。
だからこそ、「テキストに頼らないコミュニケーション」を心がけています。そのためには、フェーズごとにお客さんがどのような意識で取引に臨むかを先取りしてイメージしておくことが重要です。例えば1回目のコミュニケーション。ココナラ上での依頼って完全オリジナルを作りたいというより、テレビやSNSなど過去に触れたものから「作ってみたいもののイメージ」がお客さんそれぞれにあるんです。ですので、最初にそのイメージを引き出し、意識合わせを行うようにしています。
そしてもう一つが「具体的な選択肢の提示」です。イメージを合わせた後にこちらでいくつかパターンを用意して、近い方を選択してもらう。「AとB、どっちが近いですか?」と聞いていくと、自然と答えやすくなるんです。
あと、取引には「テンポ」があると思っているんです。一つひとつの確認を慎重に進めたい方、とにかく1回でまとめてお願いしたい方。僕はそのテンポを重視しながら、気持ち良いやり取りを心がけています。
すごく興味深い視点ですね!イナゾーさんがそのように考えるようになったのはなぜですか?
もちろんココナラ上での数多くの取引を通じて精緻化していったのですが、ベースにあるのは過去の音楽経験ですね。今ではこんなことを言っていますが、実はラッパー時代はかなり尖っていて、誰に媚びず「世の中は敵」くらいの感覚を持っていたんです(笑)。また「上手ければ売れる」と考えていて、とにかくスキルを磨くことに集中していました。
でも、自分より腕がないと思っていた後輩が、先にどんどん売れていく。もちろんそれだけが理由ではありませんが、振り返ってみると売れていった後輩の多くは高いコミュニケーション力を持っていたように感じました。スキルだけでなく、「どう伝えるか」「どう届けるか」という部分が大事だと実感し、新しい仕事を始める時は「絶対に音楽活動と真逆のスタンスで臨もう」と決めました(笑)。
「お客さんにとっての正解」を出すことが全て

過去の経験を活かすところ、反面教師にするところとご自身をしっかり分析されたのですね。
過去の経験も踏まえ、「自分がやっていること、良いと思っていることが全てではない」ということは常に意識するようにしています。
例えば、とあるYouTuberから動画編集の依頼を受けたことがありました。良かれと思ってテレビのバラエティー番組で人気となっているタイプのテロップを付けて提案したのですが、「これじゃなくて、こういうのにしてほしい」という戻しがあったんです。
そのテロップは原色で、お世辞にもあまり見やすいものではなかった。でも、YouTubeにはYouTubeのスタイルがあり、その人にはその人の嗜好がある。その経験から、サービスを提供すること自体も「お客さんにとっての正解を出すことが全て」というスタンスで臨むようにしています。
ありがとうございます!最後に、イナゾーギミックさんへの依頼を検討している方にメッセージをお願いします。
僕自身、しっかりとスクールに通ったわけではありませんが、お客さんにしっかりと耳を傾け、これまでの800件以上の取引を通じて得た経験をベースにしながらその要望を「翻訳」し、柔軟に対応することができると思っています。
イラストにしても動画編集にしても、多くの方がサービスを出品されています。その中で私を選んでくれたという縁を大切に、安心してご依頼いただけるよう丁寧なコミュニケーションを取りながら進めていきますので、ぜひ一度お声がけください!
iPadクリエイター/イナゾーギミック@動画編集
