徹底したヒアリングを経て作り上げる「勝てるホームページ」とは?/戦略的Webクリエイター・ぞろ屋

日本最大のスキルマーケット「ココナラ」におけるスキル登録者は90万人以上。それぞれが持つ知識・スキル・経験をサービスとして出品し、全国の人々が持つ「困りごと」を解決しています。その登録者の中には特定の分野で高品質のサービスを提供し続け、高い基準をクリアした「プロフェッショナル」が数多く存在しています。
今回はレストランのウエイターとしてキャリアをスタートし、紆余曲折を経て2017年から「勝てるホームページ制作」を軸に、戦略的Webクリエイターとして独立。ココナラでは約500件の販売実績があり、Web制作ランキングでは常にトップクラスを維持しているPRO認定者「ぞろ屋」の内田正彦さんに独立の経緯や仕事をする上で大切にしていること、激化する競争の中で差別化するための工夫などをお伺いしました。
自身の棚卸しで気づいた、仕事に共通する「本質」

本日はよろしくお願いします。
今ではWebクリエイターとしてご活躍中の内田さんですが、キャリアのスタートはレストランでのウエイターだったそうですね
はい。大学卒業後、飲食店と水産加工事業を運営している会社に就職し、イタリアンレストランでウエイターとしてキャリアをスタートしました。その後バーテンダー、料理人と経験を積み、ワインのシニアソムリエ資格も取得して店長も務めた後、グループの水産加工会社にて営業やマーケティングなどを担当することになりました。
さまざまなご経験をされていたのですね。
その中でなぜWebサイト制作を始め、独立につながっていったのでしょうか?
会社員時代のキャリアの後半、大きな壁にぶつかってしまっていました。仕事での成果がなかなか出ず、公私共に非常に厳しい、どん底のような状態だったのです。
そんな中で30代中盤に差し掛かり、「このままではまずい」と強い危機感を覚え、自分の強みや弱み、得意なことや好きなことを徹底的に棚卸ししました。
その中で気づいたのが、ソムリエとしての経験が自身の強みであるということでした。ソムリエは、お客様の好みに合わせてワインを選びますが、僕の場合は表情やしぐさ、ちょっとした会話から「この人にぴったりの一本は何か?」を考え、お客様の期待を超える提案をすることを大切にしていました。
その提案を実際に喜んでくださる方が多く、そんなお客さまの顔を思い浮かべているうちに、「そうか、これが僕の仕事なんだ」と気づきました。つまり、僕の仕事の本質はソムリエだろうが、マーケターであろうが「お客様の立場に立って、困りごとや悩みをよく聞いて、問題解決をすること」だと定義できたのです。
徹底的なヒアリングを経て作り上げる「戦略的Webサイト」

その中で、なぜWebサイト制作を仕事に選んだのですか?
本業と並行しながら新たな自分のチャレンジを進めていこうと思ったので、まずは副業・リモートワークの形で取り組めること、そして強みであるマーケティングの知識を生かせることとの掛け算で導き出したのがWebサイト制作でした。
始めるにあたって、まずココナラのさまざまなカテゴリを分析してみたのです。その中で、当時Webサイト制作のサービスは複数出品されていたものの、多くはデザイン性を売りにしているものがほとんどで、「セールス」や「マーケティング」を重視したサービスがほとんどなかったことに気づきました。
事前に分析し、独自のポジショニングを打ち立てられていたのですね。
とはいえ当時はまだ「オンライン上のサービス発注」が浸透していなかったと思うのですが、出品にあたって何か工夫などされましたか?
出品に関しては、スタート時から自分なりの戦略を立てていました。まず、「マーケターだからこそ作れる」ホームページということを全面に打ち出し、明確にそれを求める方に刺さるサービスであることを余すことなく表現しました。
また、サービスの提供内容と価格も工夫をしました。実は当初出品したサービスは「5,000円で作れるWebサイト」に限定しました。当時はノーコードで作れるツールを活用してのページ制作を提供し、実績を10件積んだ後は1万円に、それから徐々にサービス内容を充実させながら価格を上げていくという戦略を取ったのです。
これもレストラン時代の経験が生きています。どんなにおいしい料理を作っていたとしても、そもそも知ってもらえなかったら体験してもらうことはできません。人は感情の動物なので「美味しそうに見える」から食べたいと思います。実際に美味しいことはもちろんですが「美味しそうに見えるかどうか」はマーケティングの力なのです。それが、今の戦略的Webサイト制作サービスの基盤になっています。
なるほど。もう少し「戦略的Webサイト」について詳しく教えていただけますか?
その名の通り、最大の特徴はデザインやSEOよりも「戦略」を重視していることです。
「戦略」とは、商品やサービスを「誰に、何を、どうやって届けるのか?」を明確にすることです。この軸が定まっていなければ、どれだけ見栄えの良いホームページを作っても成果にはつながりません。
多くの企業では、ホームページをWEB上の「名刺」や「パンフレット」として考えがちですが、それでは十分とは言えません。マーケティングフローの中でどのような役割を担うのかを明確に定義して、その中で、きちんと狙いを持ったホームページを作る必要があります。 そのために欠かせないのが、しつこいくらいのヒアリングです。
「ターゲットはどんな悩みを持っているのか?」 「どのような価値を提供しているのか?」「強み、弱みは何か」 「競合と何が違うのか?」 といったことを根掘り葉掘り聞き出して、ビジネスの強みや特徴、他社との違いを明確にします。
このプロセスを経ることで、クライアントからも「自社の強みが明確になった」「伝えるべきポイントが整理できた」というコメントをいただくことができるようになりました。
ただ、この徹底した戦略設計は時間がかかり、ヒアリングだけで1〜2カ月かけることも珍しくありません。それが選ばれる理由である一方、すべてお任せの「丸投げ制作」はお受けしていないので、選ばれない理由にもなっているかと思います。
大切にしているのは「縁」「恩」「感謝」。
オンライン上だからこそ、より人間味のある対応を心がけることが重要
印象に残っている仕事についても教えてください
現在、ご依頼いただく案件のほぼ100%が法人からのものですが、最近は特に、社歴何十年といった長い歴史を持つ企業とのお付き合いが増えてきました。
その中でも特に印象に残っているのが、長野県で60年以上続く建築設計事務所、城取建築設計事務所とのお仕事です。同社は役場や市役所、病院、商業施設、道の駅など、地元の方なら誰でも知っている建物を数多く手掛けてこられるなど、圧倒的な実績を持っています。
お話を伺っていて、特に感銘を受けたのが経営者の考え方でした。
ただ利益を追い求めるのはなくて、「人が集まり、笑顔が生まれる空間づくり」をコンセプトにしていて、自社の社屋におしゃれなカフェを併設し、地域の方が気軽に訪れる場所を提供したり、勉強会や情報発信を通じて、地域を豊かにする活動を積極的に行われていました。
空間を作ることで人が集まり、新たな需要が生まれ、生活が成り立ち、豊かさが循環していく。そんな本質的な価値を大切にされている企業の姿勢に、深く共感したんですね。
こうした企業との出会いは、仕事としてだけでなく、一個人としても大きな学びの機会になっています。このように普通ならなかなかお話できないような経営者の方々と直接やり取りできるのも、ホームページ制作という仕事の醍醐味だと感じています。

ありがとうございます。
それでは最後に、内田さんが大切にされていることを教えてください
2017年にココナラへ参入して以来、一貫して大切にしてきたのは、「縁」「恩」「感謝」です。
どんなご依頼にも、それぞれ意味があり、ご縁があって出会えたものだと思っています。そのため、一つひとつの案件に対して誠実に向き合い、お任せいただいたからには、期待以上の成果でお返しすることを常に心がけています。
何より、常に謙虚に、感謝を忘れないようにしています。
特にココナラでは、やり取りのほとんどがオンライン完結です。対面であれば伝わることも、文字だけでは正しく伝わらないことが、少なくありません。
何気なく送ったメッセージでも、句読点の使い方ひとつで「冷たく」感じられてしまうこともあります。そうした誤解を生まないために、できるだけ丁寧な言葉選びを心がけ、時には絵文字を使うなど、コミュニケーションの質にも気を配っています。
近年はAIの進化がすさまじく、テキスト生成や自動応答が当たり前の時代になりつつあります。しかし、人と人とのリアルなつながりや、細やかな気配りが持つ価値はますます高まっていくのではないでしょうか。
Webの仕事はデジタルの世界で完結するものですが、だからこそ、「人間味のある対応」こそが、仕事の質を決める重要な要素だと考えています。
戦略的WEBクリエイター ぞろ屋
