大学公式キャラクターがVTuberデビュー!?東京外大が挑む教育オンライン化への取り組み

コロナ禍以降、大学の現場では「教育のオンライン化」が大きなテーマとなっており、各大学が工夫を凝らしながら進化を続けています。そのような中、オンラインのメリットを存分に生かし、世界中と繋がることでグローバル人材を数多く輩出している東京外国語大学。
今回は授業の動画コンテンツ化を推進していく中で、内容の充実を図るため大学公式キャラクターをVTuber化することを発案、ココナラを活用して制作をリードした同大学・世界言語社会教育センターの川澄領さんにお話を伺いました。
「教育のオンライン化」が大きなテーマに

本日はよろしくお願いします。
まずは大学について、また川澄さんのお仕事について教えてください
東京外国語大学は、東京都府中市に本部を置く国立の総合大学で、3学部1研究科を有しています。専攻として28の言語を学ぶ教育体制が整っており、世界の言語・文化・社会に関する教育・研究を行い、世界中の国々と人々の架け橋となる人材の育成を目指しています。
私はその中で世界言語社会教育センターに所属しています。私自身は言語が専門ではなく、IT技術を駆使してより良い授業が行われるための環境づくり、教員サポートなどを行っています。
最近はどのような仕事に取り組んでいるのでしょうか?

コロナ禍以降、「教育のオンライン化」が大きなテーマになっています。コロナ禍収束後には揺り戻しの影響で、多くの授業が急速に対面形式へと戻りました。しかし近年、オンライン化のメリットが再評価され、その可能性を活かそうとする動きが広がっています。特に本学では、世界の言語や諸地域を扱う特性上、世界中の人々と繋がることができるオンライン化の利点が非常に大きく、これを積極的に推進しています。
その中で、現在私は大きく2つの取り組みを進めています。一つは教室の設計デザイン。
主に授業のオンライン配信や、対面授業に遠隔からも参加が可能な、対面・オンライン同時進行のハイフレックス授業が行えるような環境を整えるための取り組みです。

そしてもう一つの取り組みが、文部科学省が推進する「Japan Virtual Campus(JV-Campus)」への参画です。これは、さまざまな大学の授業をオンラインで受講できる国際教育プラットフォームで、将来的には単位認定も可能となる予定です。本学では現在、JV-Campus向けに計270本の動画制作を進めており、私は大学内のスタジオの整備と、授業動画の撮影編集チームのリーダーを務めています。
270本!すごい本数ですね。今回ココナラではVTuber制作を依頼されていますが、動画制作の一環で活用されているのですか?
はい。JV-Campusに公開する動画は誰でも見ることができることもあり、事前に先生方から「顔出しせずに授業動画を作ることはできないか?」という相談を受けていたのです。このような相談が1名ではなく複数名からあったため、これは何か対策をしなければいけないと考えました。
検討を進める中で「学内でオリジナルのVTuberを作るのはどうか?」というアイデアが出され、さらに本学のキャラクターである「トビタくん」を使うがいいのではという話になりました。先生方からの相談がきっかけでしたが、動画の内容そのものを充実させることができるコンテンツになるのではないかとも感じ、本格的に制作をスタートすることとなりました。
「出品者と一緒に取り組む」意識でより良い完成品に

国立大学とVTuberという組み合わせが意外に感じました(笑)。
制作するに当たって、ココナラ以外での発注も検討されましたか?
はじめは旧知の制作会社に相談してみたのですが、予算的にも制作期間的にも厳しいと感じ、ココナラを見てみようと考えました。実は私の家族がプライベートで利用しており、なんとなくではありますが知っていたのです。
実際にココナラを調べてみたところ、VTuber制作に関連するサービスが数多く出品されており、直感的に「これはいけるのでは」と思いました。
VTuber制作は初めての経験とのことですが、知識はあったのでしょうか?
当初全く知識はありませんでした。ただ、ある程度知識がないと提案を受け入れるだけになってしまうと考え、事前にさまざまな動画を見て勉強しました。勤務中にVTuberのアイドルやゲーム実況動画を見てリサーチをしていたので、周りからは少し変に思われていたかもしれません(笑)
ただ、その中で多くの学びがありました。2Dと3DのVTuberにそれぞれの特徴があることを知ったのもそのおかげです。3Dでは、Webカメラを用いた簡易的なトラッキングが実用レベルの精度に達しており、体を使ったリアルな動きを表現できます。一方、2Dではイラストの準備が必要ですが、ユニークで豊かな表情やポーズを設定でき、マウスを使って簡単に操作できます。
授業で使うことを想定した場合どちらのニーズもあると考えたため、2つ制作することにしました。当初は1つだけと考えていたのですが、2つ作れることになったのはココナラが考えていた以上にリーズナブルだったからです。

3Dアバター(左)は先生の動きに合わせて手足を動かしたり身体ごと回転するなど自由に動かすことができ、
2Dアバター(右)は授業でよく使う表情のトビタくんが豊富に用意されておりシーンに応じて使い分けが可能
実際の出品者の選び方や、やり取りで工夫されたことなどはありますか?
トビタくんで作ることに決めていたので、たくさんのクリエイターのポートフォリオを見て、トビタくんの元々の絵柄に近いVTuberの制作が得意そうな方を探しました。最終的に、2Dと3Dそれぞれで「この方なら」と思えるクリエイターを見つけ、2人の方に依頼することに決めました。
先ほどもお話ししましたが、依頼するにあたってはただ提案を受け入れるのではなく、例えば2D版の制作においては表情のパターンを手書きしてお送りするなど、なるべく自分たちがやりたいことを伝えることを心がけました。
ご自身も出品者と一緒に制作に取り組まれるという意識で臨まれたのですね。
完成したVTuberはすでに活用されたのでしょうか?
実は、一部の留学生向けの説明動画では活用されたものの、先生方からの「顔出しせずに授業動画を作りたい」という当初の要望については、その後、実際には上がってこなかったため、授業動画の用途ではまだ活用できていません。ただ今後も同様の話は出てくると思いますし、キャラクターを使うからこそ効果の出るような企画も立てられると思います。そういった意味では、大学の財産になっていると考えています。

できないこと、分からないことは全国の「できる人」を頼ろう

今回の依頼を通じて、ココナラの利用の感想について教えてください
とても良い出会いをいただけたと思います。最初は面識がない方とのやり取りには多少不安がありましたが、レスポンスも非常に早く、また修正依頼についても丁寧に取り組んでいただきました。
今回使ってみて感じたのは、依頼者である自分も主体的に関わることの大切さです。ある程度自分でイメージを持ち、事前に伝えることが大切で、出品者の方にはそれを上回る形で返していただく、という意識で臨むと良いものが完成します。
また副次的な効果ですが、VTuberについて自身で学んだことで新たな発見もありました。たくさんのVTuberアイドルやゲーム実況の動画を作り手の側を意識して見ることで、教育に取り入れられる要素も多くあると感じたのです。全ての先生がエンターテイメント性のある授業を目指す必要はありませんが、オンラインにおいては「見ている人を惹きつける技術」はとても大切で、これを取り入れていくチャレンジはしてみたいですね。
ありがとうございます。
それでは最後に、ココナラの利用を検討されている方にメッセージをお願いします。
自分ではできないこと、分からないことはたくさんあります。そんな時、現代はココナラのようなスキルシェアのサービスを使ってほかの人に頼れるので、とても良い環境になったなと感じています。
全く知識がなかったり、コネクションがなかったりしたとしても、ココナラであれば全国の知識・スキル・経験を持った専門家に伴走してもらえます。学内や社内の人員で対応できないことも多くあると思いますが、このようなサービスを使うことで課題が解消できることは多くあるはずです。
東京外国語大学
建学 :1873年
公式サイト: https://www.tufs.ac.jp/
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