ライフキャリアデザインと金次郎の教え ~映画「二宮金次郎」を観て~

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先日、小田原に新しくできた小さな映画館「小田原シネマ館」で、映画「二宮金次郎」を観ました。確か、5年前くらいに完成した映画で、金次郎の地元小田原に住む私はずっと観たかったのですが、中々機会を捉えられずにいました。ですので、とても楽しみに観ることができました。

 映画の内容はネタバレになってしまいますので言及しませんが、「働くこと」「力を合わせること」「人を受け入れ信じること」「本当に大事にすべきこと」ということについて、よく考えさせられる映画でした。ぜひこれからも多くの方に観ていただきたいと思う映画です。

映画『二宮金次郎』公式サイト - 二宮金次郎の激動の生涯を映画化!全国各地の市民会館・公民館等の各施設で上映予定 (ninomiyakinjirou.com)

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二宮金次郎の教えに「至誠」「勤労」「分度」「推譲」があります。私が支援するライフキャリアデザインの上でも非常に示唆に富む教えですので、ご紹介したいと思います。


「至誠」とは、うそいつわりのない真心の状態をいいます。

自分自身のキャリアを歩む上で、自分に嘘をついてしまうと、その嘘はどんどん大きくなって、回収しきれなくなってしまいます。そうすると、精神的にもつらい状態になりますし、色々なことにしわ寄せが行き、かえって生きづらくなってしまうでしょう。もし「今ここ」で何かが引っかかる、本当の自分じゃない気がする…、といった感情が生まれたときには、いったん深呼吸して、自分の内面に起こっていることをしっかり抱きしめてあげてください。そうして、今一度自分が本当に進みたい方向を確認し、進めるように自分の心を整えましょう。


 「勤労」は自分や周囲を高めるべく、自分ができる仕事に励むことです。

あなたのキャリアを発達させることはあなたにしかできないことです。それは、仕事そのものはもちろん大事ですし、家族との生活や、勉学、地域社会とのつながりに至るまで…、人生全体を形づくるまなざしをもって一生懸命に生きるということではないかと思います。だからと言って、無理をする必要はありません。自分ができることを日々少しづつ増やし、拡げてゆけばよいのです。「積小為大」といいますように、1日1日の積み重ねが、1年もすればとても大きな資産となって自分に返ってくるのです。継続して励むことに価値があるのだと思います。


「分度」は、身の丈に合った暮らしをするということです。

ライフキャリアデザインは、仕事の面と生活の面とお金の面を充実させてゆきますので、その充実に成功することにより社会的地位が高まったり、資産が増えたり、精神的な安定が得られたりします。しかし、もしかしたらそれはその時点でのスナップショットに過ぎないかもしれません。そこで驕ることなく、謙虚に、自らの立ち位置や、周囲への影響力を見つめ、将来に向けてのライフキャリアの発達を得るべく、過去・現在・未来に思いをやり、仕事と生活とお金の浮き沈みに適応できる暮らしをデザインすることが肝要と思います。必要なものは揃え、不要なものは手放す、という非常にシンプルなことなのです。


「推譲」は分度によって生まれた様々な余力を世のために活かすことです。

「譲って損無く、奪って益無し」といいます。至誠、勤労、分度の実行により、多くの価値が生まれることでしょう。今風に言えば、有形資産と無形資産で説明できるでしょうか。お金や持ち物であらわされる有形資産のみならず、自己の能力開発や人と人との関係性、はたまた健康保持増進・心の豊かさに至るまで無形資産に目を向け、その両方の資産を自分の将来や社会のためにどのように還元できるかを考え実行します。寄付やボランティアなどは分かりやすい例かもしれません。もしかしたら納税とその税の活用も、単なる国と国民の義務関係ではなく、「推譲」の精神で行われたとしたら大変意義のあることとなるのでは、と思います。


このように、ライフキャリアデザインに二宮金次郎の教えを活かすことは、生き方の芯が定まり、実行へのエネルギーを生み出してくれるでしょう。今回は二宮金次郎の思想的な側面からご紹介しましたが、実際には「報徳仕法」という農家の再建メソッドに基づいた、極めてシビアな数値目標と戦略を用いる実践ですから、江戸時代のファイナンシャルプランニングと言っても過言ではないと思います。報徳仕法の実際の記録を見ると、その精緻さに驚きます。そして、それは「心田を耕す」という言葉が示しているように、人が経済的にのみならず精神的においても自らの力で立派に立つことを目指しています。まさにライフキャリアデザインそのものですね。

もちろん、二宮金次郎の他にもたくさんの実践者がいますから、ご自分の価値観がより質の高いものになるような思想と実践に触れ、理解をし、取り入れるようにすれば、よりよいライフキャリアデザインにつながると思います。


今回は、ライフキャリアデザインと金次郎の教え、についてお話しました。私は会社勤めとの複業でライフキャリアデザインカウンセラーとして個人や世帯の職業生活設計や資産設計のお手伝いを志しております。保持資格としては国家資格キャリアコンサルタントとAFP(日本FP協会会員)をコアスキルとして、これまでの会社生活や人生経験で学んできたことを活かして会社内や地域社会に向けた価値創造につなげてまいります。ご関心を持っていただいた方、ご相談事がある方は、どうぞお声がけください。

 最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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