キャリアの語りから感じたこと ~セルフ・キャリアドックの取り組みから~

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コラム
先日、機会に恵まれまして職場でキャリアについて語り合う場が設けられ、いち参加者として参加しました。会社の意図的な試みによるこのような場を持つことは十数年ぶりではないかと思います。

「キャリア」という言葉自体、普段なかなか意識しない、触れることが少ない言葉だと思いますので、いち参加者でありながらもキャリアコンサルタントとしての私は、参加された方々のキャリアについての捉え方を興味深く聴くことができました。

とても大きな世界観から仕事も生活も区別なくキャリアを捉える方もいれば、ご自分の目の前の仕事について一生懸命キャリアを考えている方もいました。時間軸の観点から、昔は楽しかったけど今は仕事に追われて苦しい胸の内を明かす方もいました。

一人ひとりの考える「キャリア」が良いも悪いもなく尊重される価値のあるものだと私は考えています。当然、一つとして同じキャリアというものは無く、それぞれが多様であり唯一無二のもの。「キャリア」という言葉には世の中に様々な定義があり、人によって様々に捉えられる言葉です。一例を挙げますと、キャリア発達理論の研究によってかの有名なライフ・キャリア・レインボーを開発したD.スーパーは、キャリアを「生涯においてある個人が果たす一連の役割、およびその役割の組み合わせ」と定義しています。


キャリアの語りの場で私が感じたことは、「キャリア」はその人の主体的な人生の営みそのものを指す、静的というよりは動的なものだな、ということでした。だからこそ、その語りの場に集った人はみな、お互いのキャリアについて関心を持って真剣に聴くことができ、相手に対して真っ直ぐにフィードバックをしていたのだと思います。相手のキャリアを聴いて、自分の今ここのキャリアを見つめ直しているような、そんな場でありました。

また、キャリアは自分自身の営みを主体的に主観的に表す意味合いを含みながらも、メタに上がって客観的に眺めることもできるものでもあり、その両面を持ち合わせる性質が面白いと思います。キャリアの語りの場では、ほぼ全員、まず自分の現在の仕事に視点が定まっていましたが、時間軸のチャートを使って自分のライフラインをトレースするワークを通じて、次第に自分の過去・現在・未来を俯瞰してメタにキャリアを考えるモードに入っていったと思います。

そのような取り組みを通じて、次第にキャリアの語りの場は、その場自体が「意味」を生成し始めたように感じました。その場にしか起こらない、お互いのキャリアに対する温かな理解と受容の雰囲気、安心して自己開示ができるお互いの信頼が生まれてきているようでした。日常の職場にも「キャリア」を媒介にしたこういった場のはたらきを少しでも持ち帰ることができれば素晴らしいことだと思います。

この体験を通じて、私自身、「キャリア」を語り合うということは有意味なことであり、奥深いものなのだな、と実感しました。もちろん、場の設計とファシリテーターの方の力量あってこその賜物であります。その点からも学び多い時を過ごしました。


今回開かれたキャリアの語り場は「セルフ・キャリアドック」の一環として行われました。「セルフ・キャリアドック」とは、企業がその人材育成ビジョン・方針に基づき、キャリアコンサルティング面談と多様なキャリア研修などを組み合わせて、体系的・定期的に従業員の支援を実施し、従業員の主体的なキャリア形成を促進・支援する総合的な取り組み、また、そのための企業内の「仕組み」のことです。(厚生労働省:「セルフ・キャリアドック」導入の方針と展開より引用)

実際に取り組みを体験して、組織の健全性と効果性を高めるにあたり非常に意味のあるものだと感じましたので、キャリアコンサルタントである私自身も今後こういった取り組みに主体的に参画し、推進する仕事を担おうと強く思いました。

今回は、キャリアの語りから感じたことについてお話しました。私は会社勤めとの複業でライフキャリアデザインカウンセラーとして個人や世帯の職業生活設計や資産設計のお手伝いを志しております。保持資格としては国家資格キャリアコンサルタントとAFP(日本FP協会会員)をコアスキルとして、これまでの会社生活や人生経験で学んできたことを活かして会社内や地域社会に向けた価値創造につなげてまいります。ご関心を持っていただいた方、ご相談事がある方は、どうぞお声がけください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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