『マンガでやさしくわかるメンタルヘルス』武藤清栄著

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学び
今回は基本に立ち戻り、身近なメンタルヘルスについての入門書を選んでみました。
もうお馴染みの『マンガでやさしくわかる』シリーズで、私たちカウンセラーが扱う問題を再確認することができました。

では早速、簡単な抜粋と要約をしていきます。

Part1 メンタルヘルスって何?

01 心はどこで作られるの?
心は脳の中にある
 ①感情(偏桃体)、②思考(前頭前野)、③記憶(海馬、側頭葉、前頭葉)、④意欲(間脳)、⑤意識(青斑核および大脳皮質)、⑥自我意識(前頭葉を中心に脳全体)、⑦知覚(視覚…後頭葉、聴覚…側頭葉、匂いやバランス感覚…頭頂葉)、⑧知能(左脳および前頭葉)

脳がどうなると心の不調が起きるのか
・脳の気質的損傷、機能不全
・脳内の血圧や血流の低下
・ステロイドの過剰分泌
・血中のエタノールアミンリン酸の濃度低下
・脳内神経伝達物質の過多や過小
・ストレスなどの環境要因
・ストレスの受け止め方やパーソナリティ(性格)

02 メンタルヘルスとさまざまな病気
「心の病気」を含んだ概念
メンタルヘルス(心の健康)は、心の病気を含んだ概念です。

脳機能不全のさまざまな原因
遺伝体質的に脳の機能が不全状態になりやすいことを内因性と言います。
いっぽう、アルコールや薬物などを摂取したり、自己や災害が原因で脳の機能が不全状態におちいることもありますが、これは外因性と呼びます。
また、家庭、学校、職場、地域社会などの環境や人間関係のストレスから脳が機能不全状態になる場合は、心因性と呼びます。

解離状態が進行すると…
「心ここにあらず」とか「心が何かにとらわれている」状態を「解離」といいます。これは日常ではよくあることですが、解離が進行すると健忘がひどくなったり、二重人格や多重人格にまでなってしまうこともあります。

落ち込んだ時や軽いうつ状態の時は
自分の生き方を肯定的に受け止めてもらうことを、専門用語でポジティブコノテーション(「肯定的暗示」や「肯定的含蓄」)といいます。カウンセリングでポジティブコノテーションを使えるカウンセラーに出合うと、あるがまま受け止めてもらった感じや理解してもらった気持になり、「このままでいいんだ」といった自身が湧いてくるものです。こんな時は忠告やアドバイスよりも、こんな対応が嬉しいものです。

うつ状態はうつ病の人だけのものではない!
うつ状態が2週間以上続くとうつ病と診断されます。しかし、うつ状態はうつ病の人だけがなる症状ではありません。

03 神経症(不安障害)と心身症
神経症(不安障害)とは?
神経症(不安障害)は感情が不安定になる病気です。そのため勉強や仕事に集中できなかったり、人間関係でもうまくいきません。心理的に不安定なため、いろいろな刺激に過敏に反応します。

心身症とは?
心身症は不安や葛藤、落ち込みなどの心理的ストレスによって引き起こされますが、症状は身体や臓器に出ます。自律神経系を中心に内分泌系や免疫系を介して脳と身体がコミュニケーションしているからです。

心身症にならないためにストレスを言語化する
気になっていることや鬱屈した心情を言葉にして伝えると解放された気分になるものです。また、相手がその言葉をしっかり受け止め、気持ちや言葉の意味を理解してくれると心がすっきりします。これを「浄化作用」と呼んでいます。

04 ストレスの正体って?
ストレスとは簡単にいえば「思い通りにならないこと」です。
ストレスは学問的には「刺激」(ストレス要因)と「反応」(ストレス反応)の2つの要素から成り立っています。
ストレスへの対応はストレスへの気づきと、ストレスへの対処の2つです。
 ①反応に気づく
 ②刺激に気づく
 ③認知の仕方に気づく
 ④反応に対処
 ⑤刺激そのものの軽減
 ⑥認知の変更、修正

Part2 働く人のメンタルヘルス

01 働く人に多いうつ病
働く人と企業を取り巻く環境とは
労働白書によると、働きがいを感じている日本人の労働者は1980年代と比べて半減しています。イギリスの調査会社「FDSインターナショナル」によると日本の労働意欲は先進国23か国中最下位だったといわれています。

うつ病の症状とうつになりやすさ
 ①興味や喜びの消失
 ②虚しさや自責の念
 ③思考力の減退や決断困難
 ④精神活動の衰えや焦燥感
 ⑤死についての反復思考
 ⑥不眠あるいは過眠
 ⑦体重の減少
 ⑧食欲不振または過食
 ⑨1日のうちで気分が変わる
 ⑩涙もろくなる
 ⑪首や肩の凝りや頭重感
 ⑫めまいや耳鳴り
 ⑬その他の身体症状

<なりやすさのチェックシートは省略>

うつ病の直接の原因と周囲の対策
うつ病の直接の原因としては、脳内神経伝達物質のノルアドレナリンやセロトニンなどの脳内モノアミンの減少によるといわれています。また、脳内の血流の低下や血液中に含まれるエタノールアミンリン酸濃度の低下が指摘されています。
治療としては十分に休養をとることと、薬物療法(抗うつ剤)の投与が必要です。また、時期を見てものごとの見方や考え方を変えるような認知行動療法のカウンセリングも必要です。
周りの対応としては本人としっかり向き合い、今の状態を理解し、否定したり叱咤激励したりしないようにしましょう。

02 若い人に多い新型うつ病
新型うつ病の特徴とは?
最近、働く人達の中でも比較的若い人達を中心に、新しいうつが増加していることが話題になっています。
症状は従来のうつ病ほどひどくはないのですが、長引いたり気分が不安定になったりして治りにくいという特徴があります。また、外罰的で相手や周りを責める、気分反応性が強く、楽しいことがあると元気になる、薬が効きにくいといった特徴があります。

うつの苦しみから救われるために必要なこと
休養や薬物療法によりある程度元気になったら、カウンセリングを受けましょう。

03 職場の人間関係
解離する職場とは
最近の職場の一番の特徴は、ネガティブな言い方をすると職場の中で人と人とが向き合えないという状況があります。その結果、お互いに距離をとったり、異動を申し出る人もいます。お互いの関係を修復しようとする努力はあまり見受けられません。

04 部下がうつになったら
異動の時期と長時間労働に注意
異動の時期は天候や環境の変化とも重なり、自律神経に影響します。異動も左遷や配置転換はネガティブな心情をひきずります。
さらに月100時間の残業がある人はとくに要注意です。

Part3 メンタルヘルスとパーソナリティー

01 自己肯定感とは?
ストレスをどう受け止めるかは性格次第
心の健康状態、つまりメンタルヘルスは、パーソナリティ(性格)に影響されます。性格の分類はさまざまありますが、ここでは自己肯定感、自己抑制(イイコ度)、対人依存の3つの側面から見ていきます。
「仕事が思い通りにならない」「子育てが思い通りにならない」「お金の工面が思い通りにならない」「人間関係や健康が思い通りにならない」といったストレスをどう受け止めるのかは、物事の味方や考え方(認知)に依拠します。そしてそれを演出するのがパーソナリティです。したがって自分のパーソナリティ傾向を知ることは、ストレスへの気づきやメンタルヘルスを理解する上でとても大事なことです。

自己肯定感が低い場合は
自己肯定感が低い場合はカウンセリングを受けることをおすすめします。自己肯定感が低めの人は過去に傷つき体験や見捨てられ体験などがあることが多いのです。
これらの人達が自己肯定感を高めていくには、過去の傷つき体験や見捨てられ体験などを素直に語ることです。

02 自己抑制とは?
日本人の8割が「イイコ度」が高い
自己抑制とは、俗にいう「イイコ度」を表すものです。イイコでいるということは自分が嫌われないようにするため、周りの人の顔色をみることです。つまりこのパーソナリティ(性格)の特徴は周りの評価を気にし、周りが喜ぶような言動をとることです。これが強化されてしまうと自分らしさを失い、自分の好きなことができなくなります。欲求不満状態にもなってしまいます。

他者報酬型ライフスタイルと自己報酬型ライフスタイル
最近では自己抑制が強い人を保健社会学者の宗像恒次氏は「他者報酬型ライフスタイル」と呼んでいます。その反対が「自己報酬型ライフスタイル」で、自己抑制が低い人です。

03 独立性と依存性
どれだけ周りの影響を受けているか
独立性の強い人は周りからの影響をあまり受けません。自分から主体的に行動を取りがちで、リーダー的な存在でもあります。対して依存的な人は石橋を叩いて渡るタイプといわれ、自分が守られていなければ行動は起こさないというタイプです。周りからの意見をもらわないと物事を決定できない傾向が強いのです。

ストレスをためやすい性格だとわかったら
一般に自己肯定感が低く、自己抑制が強い人、そして依存性が高い人はストレスに弱い傾向を示しがちです。
もしこういったパーソナリティ傾向によってストレスを生じるようなことがあるならば、まずそのパーソナリティを認めるところから始めます。それでも物足りない人は自分のものごとの見方、考え方を冷静に見つめてみましょう。専門的には「認知行動療法」といったカウンセリングの手法があります。

自己表現力を鍛える
 Step1 その日にあったことを家族や親友に伝える
 Step2 職場や学校の同僚や友達など、家族以外の人に昨日あったことを話してみる

Part4 恋愛とメンタルヘルス

01 恋愛とメンタルヘルスはどう関係する?
好き・嫌いは感情の領域
恋愛は人生に張りと潤いを与えてくれます。恋愛をすると生きがいが生まれるのです。逆に失恋は生きる意欲を失わせ、その人をうつ状態や心の不調に陥れます。このように、恋愛とメンタルヘルスは大きく関連します。

年齢や性別は関係ない
恋愛するということは、語る、語らないは別として、若い世代から、高齢者まで共通しています。恋をしたり結婚したりすることは、人生にさまざまな影響を与えます。もちろん、生涯結婚しないという生き方もあります。しかし、それは恋をしないということではありません。

生きることと「関係としての性」
恋愛はおもに男女間の思慕の情ですが、その中核になるのが性です。ここでいう「性」は生物学的な性ではなく、「関係としての性」です。
「関係としての性」とは相手の心の中に自分が性的にどう映っているか、そして自分の心の中に相手が性的にどう映っているかということです。通俗的には「もてる」「もてない」といったことが含まれます。

恋愛の多様化が悩みも多様化させている
朝日新聞社が日本人の男女3810人を対象に行った調査によると、恋愛のあり方やパートナーの組み合わせが、従来のような一夫一妻制にとらわれず、多種多様化してきているということです。このようなパートナーとの関係の「ダイバーシティ化」に伴い、男女関係のあり方やコミュニケーションスキルに悩む人は増えています。

恋愛をしたがらない若者のメンタルヘルス
逆に、近年は、恋愛をしたがらない若者が増えているともいわれます。メンタルヘルスの視点から見ると、本人が現状に満足していれば問題はないでしょう。しかし、なんらかの事情で抑えていたものが顕在化してくると、あとでやっかいな問題に発展するかもしれません。

02 失恋と防衛反応
理不尽な妄想や行為も自分を守るために必要
失恋は、喪失感をつくります。信頼関係が厚ければ厚いほど、裏切られ感も強くなります。
一見理不尽や妄想のような思考を抱くこともありますが、これらは自分の気持ちや感情を守る心理的防衛機制なのです。
心理的防衛機制はさまざまありますが、代表的なのが、「抑圧(抑制)」といわれるものです。これは欲しいものや好きだった人を無意識に我慢することです。
「合理化」という心理的防衛機制もあります。本当は欲しいと思ったものでも、今月はお金がないので「どうせ買っても使わないだろう」などと考えて自分の欲求をコントロールすることです。
「投影」は、自分の低い鼻がキライだった場合、周りの人の低い鼻も嫌に見えてくるようなことです。

03 単身者のメンタルヘルス
晩婚化や若者の恋愛離れによって単身者が増えることで、恋愛や性の悩みも特有なものが生まれています。

Part5 コミュニケーション力を磨く

01 聴く力
(1)受容的態度
(2)共感的理解
(3)自己一致とおよび自己表現
(4)自己決定の「援助(演出)」と問題解決

02 伝える力
伝える力でまず大事なことは、自分の気持ちや感情に気づくことです。

2つめは「私は」という一人称を主語にして伝えることです。なぜなら自分の気持ちや本音を伝える必要があるからです。

3つめは、自分がこうすればよかったといった、自分への期待、さらに相手に対して抱いていた期待、こういったことを言葉にすることです。

4つめは、「関係言葉」を使うことです。言葉には大きく分けて「事実言葉」と「関係言葉」があります。事実言葉は、事実を伝えるメッセージ、いわゆる5W2Hで表現するものです。それに対して関係言葉は関係をつくったり、関係を表現したり、関係を調整したり、関係を終わらせたりする言葉です。

最後は、自分を信じるために伝えることです。緊張から解放されるために、身体から力を抜けるなら抜き、自分に言い聞かせるように伝えます。これは伝える側自身の成長のためでもあり、自分の言葉に責任を持つためでもあります。

03 質問力
質問には脈絡とタイミングが大事
聴く力、伝える力とともに大切なのが、質問力です。いい質問は気づきを呼びます。また、無意識に抑圧していたものを意識化させたりもします。

「閉じた質問」「開いた質問」
「明日は忙しい?」というのはクローズドクエッション、「明日はどんな感じ?」といった質問はオープンクエッションです。閉じた質問と開いた質問をバランスよく織り交ぜるのが上手な質問の仕方です。最初は答えやすい閉じた質問から始め、徐々に開いた質問を混ぜていくとよいでしょう。

Part6 温かい空気をつくる

01 ストロークとパンクチュエーション
ストロークとは、相手の人格を認めた対応をしているかどうかを見るものです。もっと具体的にいうと、相手に示す表情や態度、声色などの表現です。
ストロークには言語によるものと、非言語によるものがあります。

ストロークとともに会話で大切なのがパンクチュエーション(句読法)です。これは話のやりとりについての句読点の打ち方です。また、タイミング、それから間、沈黙、相手の話が出てくるまで待つ余裕のようなものです。

02 こころの健康を保つために
まずは会話を始めるところから
話しかけるには勇気が必要ですが、その分、話すことにはカタルシス効果(浄化効果)があります。
また、問題解決の糸口に気づくこともできます。いろいろなやりとりをしているうちにヒントや答えが見つかることがあるからです。これをアウェアネス効果と呼びます。

問題は誰が口火を切るか
そこで一番難しいのは、公の場でその「火」をつけるのが誰かということです。
大切なのは、つながることを恐れない姿勢です。

【感想】

知っているカウンセリングの技術もありましたが、それよりも身近にあるストレスを整理できて勉強になりました。カウンセリングを申し込んでくださったクライエントさんとも重ねて読み進めることができました。
あと、相変わらず抜粋・要約が長くなりすぎているので、もっとコンパクトにまとめられるように頑張ります。

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