『繊細な人のためのポリ語カウンセリング』吉里心理士著

記事
学び
本日はHSPとポリヴェーガル理論についての本です。kindleでの出版のみで、kindleunlimitedに加入している方であれば無料で読むことができます。

吉里心理士(吉里恒昭)さんの吉里心理士の最新刊にあたり、以前には「最新メンタルヘルス入門」もご紹介しました。

この本は90ページ弱の読み物で、ポリヴェーガル理論を簡略化した独自のアレンジを、HSPをはじめとする心理的傾向の対処方法として提案されています。

第1章 あなたは問題ではない

「心の病」と呼ぶことを止めたい理由
「心の病」と表現すると、「本人の心に問題がある」と捉え、さらに飛躍し「本人そのものが問題である」という考え方になってしまうことが多い。

HSPという概念
繊細な人とは「HSP(highly sensitive person)」のことで、アメリカの精神分析医であるエレイン・アーロン博士が1995年に提唱しました。

「気質」という視点ともう一つの視点
「類型論」…もともと生まれ持った特徴。「社交的」「非社交的」「几帳面」の3つ。(クレッチマー博士)
「特性論」…後天的な性格的特徴。「内向的ー外交的」「神経質ー安定」の2つの軸。(アイゼンク博士)
別の表現では「遺伝か?環境か?」。

その特徴は「その人の中」にあるの?
「一体化」あるいは「同一化」という「ものの見方」には注意が必要である。

なぜ「一体化」を勧めないのか
「繊細な人」は「繊細じゃない部分はない」と「固定化」され、本人が苦しむ場合が多い。

「一体化」ではなく「わける発想」とは?
「本人」と「特徴」をわける。「繊細な人」は「繊細な時がある人」。

「体」の特徴と捉えてみよう
体の特徴のなかでも、本書では「自律神経の働きの特徴」として捉えます。

性格との違いは?
本書では「体の特徴、体の反応」と表現するときには、何らかの刺激(ストレス)があって反応しているという立場である。
「性格」とはストレス環境下ではない安心安全は場にいるときの「その人の言動や振る舞い」と捉える。

第2章 なぜ「ポリ語」を使ってほしいのか

「心理」とは?
心理学における「心理」は、人の「感情、思考、行動」を指します。

「臨床心理学」とは?
感情や思考や行動に困っている人のための学問。

「ポリ語」は心理学とは違うの?
ポリ語は「体の声」を知るために使う
(臨床)心理学だけではうまくいかない場合があります。その理由の一つに「体のことを視野に入れていない」という可能性があります。
「ポリ語」とは「ポリヴェーガル理論」という自律神経の理論をもとにしたものです。

第3章 自律神経を知ろう

困った心の原因は何?
西洋の「心身二元論」の思想から影響を受けて心理学はスタートしました。
心理学が役に立たない場合があると前章で触れていましたが、そこで役に立つのが「体」です。
「困った感情、思考、行動は体の反応である」と捉えたほうが役立つ場合があります。

心と体は分けられる
「心が先か、体が先か」ではなく「心は体に影響するし、体は心に影響する、お互い影響しあっている」と考えられます。

自律神経とは?
自律神経とは、脈拍や血圧などを調節している神経系で、自動的(自律的)に機能しており、「交感神経(アクセル)」と「副交感神経(ブレーキ)」の2つから成っています。
私立神経のアクセルとブレーキの機能は医師や意図に関係なく自律的に働いているということがポイントです。
「命を守るために自律神経は動いている」という考え方は「心と体との付き合い方」について役立つことがあります。

心の反応も体の反応と考える
心つまり感情、思考、行動も自律神経の機能に影響を受けて表出しています。

第4章 「ポリ語」を知ろう

新しい自律神経理論
ポリヴェーガル理論は「多重」「迷走神経」という意味です。迷走神経とは、副交感神経の8割を占める重要な神経です。本書では迷走神経と副交感神経はほとんど一緒と捉えています。つまり、自律神経は交感神経と2つの副交感神経の3つから成っている、と考えられます。
・交感神経
体全体を活動させるために働いているアクセルのような神経
・背側迷走神経複合体
体全体を止めるために働いているブレーキのような神経
・腹側迷走神経複合体
交感神経と背側迷走神経複合体の両方を良いバランスにするための調整をする神経

ポリ語とは?
ポリヴェーガル理論の3種類の自律神経系を「赤・青・緑」の3色で表現したもの。

第5章 ポリ語を理解しよう

赤さんと特徴
「動くときの神経」でもあるのですが「(我々が体に)動かされている時の神経」と表現することもできます。「本人の心理状態」と呼んでもいいのですが、本書では「(本人の意識とは別の)体の反応」として捉えています。
赤は「大切な人・もの・こと」を守るために、自動的に動いてくれる神経です。

赤さんの表現方法
感情…怒り、憎しみ、イライラ。不安、恐怖、心配。
思考…「すべき」「絶対に」「急いで」
行動…衝動的、せかせか、そわそわ
体の反応…眉間にシワ、眼光が鋭い、視野が狭い、呼吸が浅くて早い

青さんの表現方法
感情…落ち込む、がっかりする、失望する、燃え尽きる
思考…「終わった」、「全て無駄だ」、「休みたい」、「消えたい」
行動…動きはスローリー、姿勢はうつむき加減、目を合わせない
体の反応…顔の表情が乏しい、呼吸が浅くてゆっくり、体全体的に重い

緑さんの表現方法
感情…安心安全な感覚、安堵感、感謝、穏やか、親密さ
思考…「そのままでもいいな」、「ありがたいな」、「おかげさまです」
行動…早すぎず遅すぎず。ゆったり。
体の反応…笑顔、目尻が下がる。胸をオープンにする。ゆったりと深い呼吸。

第6章 ポリ語を使ってみよう

「刺激と反応」という見方を身につけよう
「自律神経系」は、いろんな刺激に対して反応していますが、大きく「外側の環境」と「内側の反応」に分けられます。
外側の環境とは「五感」で感じるもの全てです。
内側の環境とは「心と体、そして身体感覚」。

日常生活の自分を観察して描写してみよう
「私の日常」をポリ語で描写する練習してみると、「自分を観察する」という感覚がだんだんわかってきます。

相手(他者)も観察してポリ語で描写してみよう
自分のことをポリ語で観察し描写できてくると、他者のこともポリ語で観察できるようになってくる人が多いです。

観察ができたらリフレーミングしてみよう
「リフレーミング」とは「解釈のしなおし」。
「赤」と「青」は一般的に嫌われ、ネガティブとして評価されます。しかし、実は「命を守るための大事な働きを頑張っている神経」なのです。

第6章 3色との付き合い方

(原文通り)
「観察」とは何だろう?
赤と青は「観察」と「感謝」という付き合い方。緑はどんなかんきょうに身を置くと出てくるか実験をする付き合い方。「3色との付き合い方」をこのように考える。

赤と青に感謝してみよう
緑が反応する環境や刺激を丁寧にみつけていく

【感想】

超入門者用ということで極端な簡略化も見られますが、私的に超ホットな話題の「外在化」の一つの方法として参考になるかなと感じました。ポリヴェーガル理論は今後さらに深めていこうと思っております。

image0 (44).jpeg

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
心理セラピストtakashi

自律神経の不調でお悩みの方はこちら↓
HSPでお悩みの方はこちら↓

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す