貧困と暴力って仲良しなんだよね。
貧しさは人からいろんなものを奪ってしまうんだ。
お金がないことで喧嘩が多い夫婦って多い。
それを見てきた子供たちもきっとたくさんいるよね
お金がないと諦めなくてはいけないことや
我慢しなくてはいけないことがたくさん出てきて
つもりに積もってやり場のない怒りみたいなものが
爆発する。
その怒りの矛先は
どうしたって自分よりも弱い者(多くは子供)に向けられる。
虐待というやつだ。妻(女)にその暴力が向くことも多い
数年前に万引き家族っている映画を観たときにも
貧困と暴力は仲良しなんだと感じたよ
理不尽な暴力を妻や子供が受けることが多いんだ。
これが現実
虐待っていう言葉はわりと最近定着したけど
僕の子供のころはそんな言葉を耳にしたことはなかった
でも昔から、貧しさゆえの理不尽な暴力はあったんだよね
今でこそ少なくなってはいるだろうけど
高度成長期に僕は幼いながらにも
クラスの友達のそういう事件を知っていた。
僕も母子家庭で貧しかったけど、
ありがたいことに暴力は受けなかった。
もし父親がいたらきっと僕も理不尽な暴力を
当たり前のように受けていたかもしれない。
生活の苦しさのあまり感情は怒りになってそれが暴力になるの。
味噌汁こぼした、返事をしなかった、なにか壊した、忘れ物した・・・
子供なら当たり前のようにしちゃうことも、
その些細なことを理由にパンパンに膨れ上がった怒りが
子供に対する暴力に変わるの。
親は親で目の前の生活をどうするかに必死になって、
気持ちに余裕などないからその暴力も悪いことだとは思ってもいないし、
教育だ、躾だくらいに感じている。
映画やドラマの中の話じゃなくて、本当に身近にあるんだよ
スーパーに行くと、子供に対してすごい剣幕で怒りをぶつけている
お母さんを見かけたことないかな?見ていて悲しくなるよ
お金がないと日常の些細なことが全部衝突の種になる。
妻が放つひとこと、旦那が放つひとことが
脳のどこかに反応して怒りの声がほとばしる
食べるもの、飲むもの、生活雑貨、移動、家賃、光熱費、通信費・・・
全部にお金が必要で、全部衝突の種になる。
それは何十万、何万という単位ではなく
何千円、何百円といったものであっても・・・・
ジュース1本、ペットボトルのお茶でもね
欲しいといえない厚い空気の壁がそこにはできる
もちろん金持ちだって喧嘩するし暴力もあるだろうけど
貧しさの中のものとは違う。
よっぽどのサイコパスな人でない限り、
抑えが効くし、ましてののしり合うことや、恨みまでは発生しないだろう。
子供への配慮も理性が効いているからできるだろう。
貧乏人とは明らかに違う
子供はそんな環境で虐げられ、恐怖を感じる毎日で、空想に入るか、
逃げ場を探し始めるかする。
僕が絵をかくのが好きなのも現実逃避癖が
その時から身を守る手段として身についたのかもしれない。
そこに居場所がないからどうしたってそういうことをせざるを得なくなる。
中学を出て働く子もいるし、親元を離れて寮に入り美容師になろうとする子も、
水商売に向かう子もいっぱいいた。
そうやって自分の居場所を求めていた子は多かった。
男の子はグレルとか、親と同じように暴力に染まるやつもいて、
荒んだ生活にのめり込んで行く奴も多かった。シンナーやタバコ・・・・
薬は当時はなかったからそういうものに走るやつは多かった。
居場所がないまま大人になるってどういうことかわかる?
それって
一生消えない傷、穴、病気・・・
となって自分の中に居座っちゃうんだよ。
若いころのそんな悲しさを背負っても運よく
いい仕事やいい人に巡り合えたら傷や穴や病気は癒されていく
でも、そんな運がいいやつばかりじゃないのが現実
いえない心で長い人生を歩き続けている奴はたくさんいるんだね
ヤバいのはね
貧しさは連鎖するってこと。類は友を呼ぶっていうやつで
似たような奴らでたむろしちゃんだよね。居場所を求めた結果が
そういうところになっちゃうわけ。
悲しいけど、自然にそっちに向かっちゃうのね。
同じ匂いがする方向へ、同じ目をした人がいる方向へね
埋められないさみしさや切なさが連鎖して
ズルズルとぐろを巻いたループを立ちきれないまま大人になって、
親と同じものを、親から受けた理不尽さを次の世代にも残しちゃう。
子供の頃は誰もが心が柔らかい。うぶで純でピュアで柔らかい
その柔らかいところに
強烈な貧困と暴力の洗礼を与え続けてたら
それはそれはどこか歪んだものににっていく。
あたりまえだよね。
小学生にもなれば大人のように言葉を理解するようになる。
あんたのために離婚せず頑張っているなんて言われたって
子供は切なくなるだけだし、母親に対してずるいって感じるだけだ。
自分だけ被害者ズラするなって思うし、
感謝すべき親であり母親なのに反発心ばかりが膨らんできちゃう。
反発はしても心底嫌いに離れないから、切ない切ない・・・
だから苦しくって、いたたまれなくって・・・
それでいて怖くてしかたない
これが言葉にできなかったり感情の整理ができなかったりして
こころとからだがおかしくなっていくんだよね
思春期に入って見えてくるのは異性と親との関係と将来像。
だから自我が目覚めて親に反発する奴らは一方で
異性や将来なんかを気にする気楽さや楽しさがあった。
でも、僕にとってもクラスメートの何人かにとっても
見えてきたのは行き止まりだった。
自己評価の低い子供となって
ちょっと優しくされるとすぐに飛びついちゃう
安っぽい恋に落ち、
変な奴にハマり、なおさら堕ちていく女の子も何人もいた。
落としやすいんだよね、さみしい人間はね
弱くもあり、もろくもあり、都合がいいんだろうね、騙す人にはね。
人は将来に希望が見えなくなると
自分のことをちゃんと大事にしてあげることもできなくなる。
破れかぶれで刹那的な楽しさを求めちゃって
モラルを無くしちゃって堕ちていっちゃう。
貧乏って長い年月をかけて歪んだ心を創り出しちゃう
歪に亀裂が入って崩れだして誰かや何かに依存するようになって
嘘や罠や罪や危険を全力で受けるようになる
大きな津波に飲み込まれちゃうように
激しい土砂崩れに飲み込まれちゃうように・・・
はじめにことばありき・・・
聖書の出だしはこうあるんだね
言葉って人にとってすごく大事なものなんだけど
子供の時から、暴力的な言葉が暴力を伴って浴びせられちゃうから
おかしくなっちゃうんだよ