調停も終わり、一息ついていたある日、
なにやら母親の機嫌が悪い…
そしていつものごとく「お金がない」と騒ぎ立てる…。
母親には再婚した旦那がいるが「長距離運転手」のためほぼ家にいない。
長距離運転手の仕事は、たぶん給料はそこそこ良いほうだったと思う。
が、しかし、母親は一か月の生活費をその日一日で使うことができるような人…。
パチンコ・飲み屋がほとんどだった。
あとは私が出会ってからはすでに入会していた宗教にのめり込んでいた。
私もその宗教に勝手に入会させられたが、ほとんど参加することはなかった。
なんのきっかけだったのかは忘れたが、お金がない理由で機嫌を悪くした母親が、たまたま家にいた私の娘に殴ってきた!
私は「やめて!」と止めに入った。泣きじゃくる娘…
これはもうこれ以上「この家には居られない」
明日にでも出ていこう!
そう思った。
そしてその夜、保険やさんで知り合った知人にメールした。
電話だと母親にバレるかも知れないからだ。
そして、母親が明日宗教に行くのを狙って家を出ることにした。
よし!これでこの家と、そして母親とはもう会うことはないだろう…。
最後の夜を何事もないように過ごした…。
そして、次の日、母親がいつものように宗教の教会?のようなところにいったところを知人に伝えたら「すぐ行く!」と言ってくれた。
20分くらいだろうか、その間私は最低限の荷物をバックに詰め込み、知人の車に子供と一緒に乗り込んだ!
さぁ!出発だ!
長男は旦那の親に隠されて手元にはいなかったが、息子も裁判で取り戻そう!と思っていた。
今私ができることは下の娘と産まれたばかりの息子をどうにか守りたい。その一心だった。
その知人は母親の家から車で一時間以上かかるところにあった。
多分近くに居てくれたんだと思う。車の中でいろんな話をした。
改めて知人には感謝をし、少しの間お世話になること、バイトも探すことなどを伝えた。
その知人は母親と面識があり、前に保険やさんだたころ家に連れて行ったことがある、その時私が席を外したタイミングでその知人に母親が「あの子と友達ならお金貸してよ」と言ったらしい。
それで「やばい人」という認識はあったらしい。
私はその時までそのことを知らなかった…。
本当に申し訳ない、と謝罪した。
もちろんお金の件はちゃんと断ったとの話だった。
「けどあんたが悪いわけじゃないからさ」
と、言ってくれたが
本当に母親は「人間じゃないな」と思った。
そして、ハッと思いつき
もしや…
私が今まで家に連れて行った知人たち全員にお金のことを言っているのだろうか、と不安になった、
そして、知人に「ちょっと電話していい?」と聞き、
思い当たって連絡の取れる人にメールや電話をしてみた。
5人中3人にお金の話をしていた…。
連絡が取れて確認ができた人たちには、心から謝った。
中にはもちろん「お前んちやっぱりサイテーだな」「その話をされたからお前とも連絡とらないでいた」
と言ってきた人もいたが、それが普通だと思った。
なぜ、昨日まで仲がよかった人が無視したりするのか、その原因は母親にあったのだ…。
車を運転してくれて実家なのに住む場所も貸してくれる知人には感謝しかなかった。
知人(A子さん)の家に着き、A子さんの親御さんに挨拶をし、親御さんも状況をA子さんから聞いていると快く家に上がらせてくれた。
A子さんの家はすごく大きい家だった。
屋根も瓦で、造りも代々継がれてきたんだろうな、という雰囲気の家だった、
私は子供たちをA子さん家族に紹介し、いち早くバイトを探して迷惑にならないようにします、と頭を下げた。
A子さんの家族の方々は「話は聞いてるから少しゆっくりしたらいいよ」
と言ってくれた。
ありがたいことだけど、甘えてはいられない。
まず離婚もなにもできていない状態だ。
A子さんが昼間仕事にいっている間、私がお手伝いや私ができることは精一杯させてもらった。
そして、帰ってきたら私のバイト探しを手伝ってくれた。
「飲み屋さんならたくさんあるけど…」と…。
まずA子さんの家付近の地図がほぼ把握できていないため、仕事の種類など選んでいられなかった。
そして、数か所面接を決めた。
夜だったら、子供たち寝てから仕事いけばいい、というので夜はお願いすることにした。
1か所目
経験者が欲しい、とのことで不採用
2か所目
風俗を勧められたので自分から辞退
3か所目
経験ないみたいだけどやってみる?
と、ありがたく採用をもらった。
バイトは次の日から、ということになった。
バイトが決まったことをA子さんに報告すると喜んでくれた。
喜んだのもつかの間…
飲み屋さんに着ていく服がない!!
その事をA子さんに言うと
大笑いされた(笑)
そして、「就職祝い」といって
飲み屋さんに着ていく服をプレゼントしてくれた。
「安物だけど、最初だから!」
といって…。
化粧も派手な化粧はしたことがないので、少し教えてもらったがどうにもうまくいかない。
そこでも大笑いした、
何十年ぶりだろう…
こんなに笑ったのは…
子供たちは、A子さんのおばあさんに「お手玉」などをして遊んでもらっていた…。子供たちも、「できな~い!」などと言いながら笑っている…
その様子を見て
「この子たちのおばあちゃんもこんな風だったらよかったのにな…」
と少し泣きそうになった。
本当に、こういうのを求めていた。
おばあちゃんと孫の絵…。
A子さんのおばあちゃんはA子さんの小さいころのアルバムなどを出してきて、色々な話を子供たちにしていた、それを聞いたA子さんは「も~!おばあちゃん!恥ずかしいからやめてよ~」などと言って笑っていた。
私は、その瞬間をどこか遠くから見ているような感覚になっていた。
なんだろう…
私が居てもいい世界ではない、そんな気がした。