社会人17

記事
ライフスタイル
母親は、いそいそと準備をしている。

私は、なにを言うんだろうと鬱々とした気分でいた。

そして、ラーメン屋についた。

開店前で店主が忙しそうに準備をしているところだった。

「おぅ!指治ったか!」
といつもの明るい笑顔で迎えてくれた。

そうすると、サッと母親が前に出ていき

「すみませ~ん、長いこと休んでしまって~」
とヘラヘラしてた。

あぁ、一応謝るのか、
と思ってみていた。

店主は、母親の素性を知っているせいか、まともに相手にしなかった。

それがカンに触ったのか、

「またこの仕事をして指が悪くなるのもねぇ」
と言い出した。

は?なに言ってんだ?この人!

そんな話をしていると店主は
「お前はどうしたいんだ?」
と私に聞いてきた。

私は「続けたい」とボソッといった。

それを聞いた母親は、怒り狂ったように
「また指をダメにしたいの?!」
と叫んだ。

店主は、その叫び声にも動じず、
「じゃあ、明日待ってるよ」
とだけいい
「今日は帰りなさい」と言われてしまった。

帰り道は、母親にグチグチ言われながら帰ったが、
なんとか辞めずに済んだ…
とホッとしていた。

次の日、ラーメン屋さんに行くと、いつもの変わらない店主が迎えてくれた。

そうして、数日が過ぎた。

ある日、店主が、ある男性を紹介してくれた。
「この人、いい人だから付き合ってみれば?」
と笑いながら。

私には今までそういうお付き合いなど縁もなかったし
なにせ小中と男子にいじめられていたことから敬遠していた。

だが、私ももう社会人…。

いいかな、と思った。

そして、ラーメン屋さんの仲介の元
交際をスタートさせた。

その男性は私より15歳も上だった
けれど、私にはそれくらいがいいのかもしれないと思っていた。

最初のデートは、店主の計らいで、私はバイトをしている時間を空けてまで
「デートしておいで!」と言ってくれた。
それは、母親にバレないようにという気遣いでもあった。

初めてのデートは、もうどこに行ったかすら覚えていないが
異性として相手をみたのも、異性として見られたもの初めてだったため
きっと緊張していただろうな、と思う。

そうして、数日後、母親にバレた…。

相手の彼もいい歳だったので、そこはちゃんと対応してくれた。

多分、店主からも母親の事情は聴いていると思った。

お互いの挨拶も得に問題もなく終わったが、
数日後のデートの時に彼に言われた。

「お前の母さんにお金貸して、って言われたんだけど」
と…。

ハッとした。

ここまで手を出すのか…。

けれど彼は断ってくれたようで安心したが、私との交際はダメになるのではないかと不安になった。

そのことを機に、私たちは二人暮らしをすることにした。

そして、数か月後…

赤ちゃんができた

サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す