本を読む人、本を買う人

記事
コラム
久しぶりにドイツの話題です。
ここ数か月、ブログで本をテーマに書くことが多かったので、誤解されている方もいらっしゃるかもしれません。
さぞ、多くの本を読まれているのでしょうね?って。

すみません、私、本、あんまり読まないんです。
というより、読めないんです。

内職でライティングの仕事をしていた時は、お休みの間まで文字に関わり合いたくないので、なかなか本を読む気力がなかったんです。
翻訳の仕事をしていた時は、もっと読む気力はなかったです。どんな文書でも、必ず「あれ?」という箇所があり、極力疑問点をなくしたいのでギリギリまで向き合うため、体力と気力が続かなくなってしまうんです。(ドイツ語翻訳、お引き受けしています。詳細はコチラへ↓)


前にも書きましたが、翻訳する前の段階、調べ物に時間がとられるのです。
そうなると、余暇で本を読もうという気持ちなんか持てません。
寝る前にちょっと、読む程度。数行・数ページくらいで目が疲れてしまって。あと、案外、頭も疲れるんですよね・・・。
テレビやドラマ、動画の朗読などなど、色々欠点はあるにせよ、目の負担も少なくて済むのでありがたいです。

もともと、私、本をたくさん読む人間ではないし、読める人間でもない。さらに本は図書館で借りる派だったのであんまり本って買わないんです。
本を読まないし、本を買わない人間のクセに、今から私が書くことは、矛盾している。自分でも分かっています。「おまいう」ってやつです。
あらかじめ、謝っておきます。ごめんなさい。

二月のある日、ふっとスマホのニュースを見ていたら、とある記事が目にとまりました。
ベルリンの老舗古書店Bücherhalleが閉店するというニュースです。
(Tagesspiegel 2024年2月10日オンライン版の記事です。ご興味ある方は、Tagesspiegel Bücherhalleと検索してみてね!)

あ、私はベルリンに行ったこともなければ、住んだこともないので、当然この古書店にも行ったことはありません。名前を聞くのも初めてです。

インタビューに答えているご主人の話では、閉店は経済的な理由から、だそうです。
コロナのせい、アマゾンのせい、歳のせい・・・いろいろあるけど、一番の理由は、人が本を読まなくなったから。本の収集をする人がいなくなったから。

本をよく読む人と、本をよく買う人は、別人種です。
本の収集癖のある人全員が、多読家とは限らない。活字中毒の人が本収集までするとは限らない。
この古書店が閉店に追い込まれた原因は、この両者が「絶滅」したから。

間接的な原因は、コロナだったり、アマゾンだったり・・・色々あるかもしれません。
ですが、それは、副次的な原因にすぎなくて、直接的な原因、決定的な原因は、本を読む人も、買う人もいなくなってしまったから。

この記事のシメとして書かれていたのは、この店で販売していた「DU sollst mehr lesen」(=もっと読め)というメッセージ付き麻布バッグが完売したこと。

皮肉としか言いようがないオチで、この記事を書いた人は、本当になんというか、嫌な性格だなと感じてしまいました。
チクっと皮肉を込めないと記事を書くことができなかったんですかね・・・。
「中身が大事」とかなんとかそんなドイツらしいベタな教訓を入れたかったんですかね・・・。
いずれにしても、センスのない締めくくりで、ドイツらしさ丸出し。日本人としては面白かったです。

センスない記事の話で言えば、私、ここ数年ネットで見かける「筆者は・・・」って書いてる記事、嫌いなんです。
いちいちうるさいじゃないですか。
筆者としては・・・筆者の周りでは・・・筆者の経験では・・・などなど。
「筆者」って書くライターさんに限って、筆者筆者と連発して使う傾向がありますしね。
個人的に「筆者使用禁止令」発令したいです。
次に「筆者」書いたら罰金取るからな!って言いたいです。

古書店の話。
廃れていくのは古本業界だけではありません。ほかにも様々な業種が徐々に立ち行かなくなっている。今日の当たり前は、明日の当たり前ではなくなっている。
「金にならないものは無駄」という考え方、コスパ・タイパがいいとかそういう生きる姿勢のせいでしょう。

アマゾンがあってもいいし、コスパのいい商品やサービスがあってもいい。タイパのいいコンテンツがたくさんあっても別に構わない。
だけど、その流れに乗らない生き方、やり方も同時に存在する、そういう世界が私は好きです。
そっちの方が私は居心地がいいんです。
何に関しても選択肢は多い方がいいから。

知りたいことだけぱっと検索して満足することもある。
知りたいことを何年も温めてそれでも分からないものがある。
私は、この両方を同じように楽しみたいのです。

実際に、私はそうしてます。ブログ書く時、パパっと検索してウィキペディア情報で済ますこともあるし、今年一発目の大ネタ、洋書の背表紙問題のように10年寝かせていたものもある。
リンク貼りたいところだけど、もういい・・・諦めた・・・(→案外飽きっぽい)

古本業界が廃れてしまう原因、「本を買う人も読む人も絶滅したから」。その原因を作ったのは、みんな疲れて余裕がないからです。
ぱっと調べてぱっと出てくる解答で満足してしまうくらい、みんな時間がないんです。表面だけ整っていれば、それでいいって済ませてしまうんです。済ませるしかないんです。

本を読むには、体力と気力、そして時間が必要。本を買うにも、元気と行動力、時間が必要。好奇心を持つことは、余裕、無駄な時間がたくさんあるということなのです。無駄な時間こそが、好奇心の種であると言えるかもしれません。
知りたいことだけ、検索すればいい・・・だけじゃない世界で、回っているものがあるんですよねぇ。
古本屋さんが書いた本について書いているブログがありますので、ご興味のある方、併せてどうぞ♡

今年は、金にならない「時間」について、私は深めたいと思います!
なんで税金って、お金で支払わなきゃいけないのだろうとつくづく腹立たしく感じる季節です。
みなさまも、どうぞ時々は「この店はどうやって利益をだしているのだろう」と疑問に思うような店にでも入って時間について考えるという無駄な時間を過ごしてみてくださいね!
タロット占いを試してみるという無駄もアリかなと思われた方は、boにご一報ください。

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