ライバルと親友の心理学

記事
コラム
前回掲載の東京オリンピック
体操女子日本代表村上茉愛選手の心理考察です。

あのメダルはどのようなモチベーションで獲得できたものか?
を考えます。

<ライバルの関係性>
前回のテーマに書かれているのは
ライバルであり親友である寺本明日香選手との関係です。

ライバルとは、同等もしくはそれ以上の実力を持つ競争相手
と定義づけられています。

アスリートは、その個人、競技内容の特性より異なりますが
一般の人に比べてライバルができやすいです。

一般の人とどこが違うのか見てみましょう。

アスリートは、常に競争意識が高く
勝敗、順位と言う目標が明確なため
競技そのものに向けて非常にストイックになります。

そのため同じように頑張っている相手ができると
相手に対しても、より自分の優位性を見出そうとするため
その相手を強く意識するようになるのです。

また、相手もその気持ちを察した場合に
お互いにライバルとして切磋琢磨が始まります。

相手とのレベル差が均衡している場合
お互いに技術を磨き合うために
一人で練習する場合に比べて、両者の技術が格段に向上する
と言われています。

このようにライバルの出現は
アスリートにとって、非常にメリットがあるのです。

選手としては遅咲きだった
村上茉愛選手にとって
すでに全日本エースとして活躍していた
寺本明日香選手は
最大の目標であり
越えていかなければならないライバルだったのです。

<ライバルから親友へのポジションチェンジ>
なぜ最大のライバルが親友になりえたのか?
心理学では
人間には5段階欲求と言うものがあり、
そのうちの一つとして組織、仲間への帰属があります。

人は孤独で不安な状態にある時、
そこから脱しようとして早く組織、仲間に属したいと考えます。

つまり
組織仲間に属することで、無意識に不安を解消しようとするのです
例えば、みなさんの自分の親友を思い浮かべてください。
幼稚園、小学校入学、高校入学、仕事の同僚・・
一見、いろいろなきっかけで親友になるように見えます。

しかし
実は周りが知らない人ばかりで不安な状況の時に、
仲良くなった友達が親友になりやすいのです。

これは
不安、恐怖と言う感情の記憶は、鮮烈なイメージで脳に残りますので、
その時に不安を解消してくれた友達が、自分の大事な友人と認識され
その後、親友になる可能性がとても高いと考えられています。

つまり
今回の場合
腰痛に悩まされ続けた村上茉愛選手
アキレス腱切断で引退まで迫られた寺本明日香選手
それぞれが、孤独で不安な状況を過ごす中で、
お互いがその状況下の中で、心の思いを語り合い、認め合い、
励まし合うことで、ライバル関係が親友関係に変わった
としてもなんの不思議もないのです。

今回、寺本明日香選手がオリンピック選考漏れした事で、
村上茉愛選手は、一緒にメダルを目指すと言う目標が失われてしまいましたが、
親友寺本明日香選手の悔しさを十分以上に理解していました。

村上茉愛選手は、その寺本明日香選手の気持ちを引継ぎ、
自分の演技へのモチベーションに変えて勝負に挑んだのです
明日香に喜んでもらえるような演技ができた・・
つまり
このコメントは、まさに二人で一緒に挑んだオリンピックであり
獲得できたメダルだったのではないでしょうか。

今日はここまで

written by Kaz Okayasu
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