「宅録と、実際の声優の現場で何が違いますか?」
という質問を頂いたので、こちらでも回答がてら書きたいと思います。
…何が、というより色々違います(笑)
宅録は自分のペースで、切り貼りしながら進めることが出来ますが、
現場ではキープ時間があり、その間にディレクションに応え、
「OK」をもらわなければいけません。
最近は少なくなりましたが、20人を超えるキャストの場合など、
スタジオ内の椅子が足りなくて、モニター横くらいまでぎっしり椅子を出して座る場合や、出番のないロール(パート)の時はロビーに出ている場合など、色々動き回ることが多いです。
とにかく現場では、自分以外も常に「動いている」ので、
自分の役割を見極めて発揮し、あとは空気の様に沈黙、雑談タイムになったらなるべく笑う様にする、といった切り替えがあります。
特にアテレコの現場だと、収録が開始されると30人31脚で、
走ったり縄跳びを飛んだりするイメージですね。
また、共演者のダメ出し(ディレクション)を自分の台本にも書き込みます。
自分には直接関係ないシーンでも、その芝居いかんによって「波の立ち方」が変わるからです。それは、自分の演技プランにも影響します。
一方、宅録となると、「演じること」「チェック(自己ディレクション)」「編集(ノイズカットなど)」「連絡(クライアントとのやりとり)」を、
基本全てを一人で行いますので、流れ作業に出来るまでに時間が掛かります。(今はルーティンがあるので、スイスイですw)
また、「共演者」「ディレクター(またはクライアント)」「視聴者」が、
その場に居ないことへの不確かさが募ります。
表現(特にセリフ)は生ものですので、
受け手一人一人が受け取るインスピレーションは異なるものです。
100点満点のシンクロなどはありません。
そうなると、宅録でも「ZOOM立ち合い収録」などになります。
(これも慣れましたが、将棋3面打ち! みたいな感じです)
ゲームやナレーションの仕事は、これが出来れば、ほぼ現場ですね(笑)
ただ、機材のレベルは、常に向上心を持って上げて行きたいところです。
マイク・オーディオインターフェース・スピーカー・ヘッドフォン・PC・ソフトウェア・吸音材など、工夫出来るところは沢山あります。
ただ、決定的に宅録のウィークポイントがございます。
…ズバリ「宅録収録慣れ」です。
上述の様に、宅録は、
「自分に都合の良い時間に」「納得が出来るテイクを」「自分の裁量で」
制作することが出来ます。クオリティはもちろん上がります。
しかし、ここでの落とし穴は、「ライブ(生本番)ではない!」ということ。
現場での収録はテストがあるとはいえ「一発本番」が原則です。
そこで発揮される表現が「実力」だからです。
自分も「ライブ感」が鈍らない様に、日々ルーティンを組んで稽古しています。いざというときに実力が出ないのは嫌ですからね…。
今回は、そんなお話でした!
※今、同時進行で10話以上のブログ執筆を行っています。
※声のお仕事ももちろんですが、
ご興味、ご関心があれば、ブログに関するメッセージもお待ちしております。