雇用契約は、使用者(会社)が労働条件を、従業員となるべき方に通知し、双方が合意することで成立します。
雇用契約の締結、労働条件の通知にあたっては、「書面」でもって行うことが、望ましい方法です。
具体的には「雇用契約書」や「労働条件通知書」を使用し、行っていただくことになります。
(※ 雇用契約書と労働条件通知書が一体になっているタイプもあります)
しかし、中には労働条件の通知、場合によっては雇用契約の締結そのものが、書面を使用せずに行われているケースもあります。
では、契約や労働条件の通知を書面で行わないと、どのような問題があるのでしょうか?
例えば、ある従業員が問題のある行為を起こしたとします。
会社は、何かしらの処分を考えるでしょう。(最悪の場合、解雇もあり得る)
この場合、処分を行うための「根拠」が必要になります。
就業規則の中で懲戒の規定を設けておく、従業員数の関係で就業規則がない場合には、雇用契約書の中で懲戒に関する事柄を定めておくことが求められます。
つまり、書面がないということは、根拠がないということであり、この様な場合に処分を行うことは大きな問題があります。
また、労働条件の「口約束」も注意が必要です。
書面があれば、後で自分がどのような条件で雇用されているのかを確認することができます。
しかし、口約束であれば確認する術がないので、言った・言わないの争いになり、労働トラブルの大きな火種となります。
書面に残す=根拠を示す・証拠を残す
ということであり、会社・従業員が労働トラブルに巻き込まれるリスクを低減することにつながります。
なお、就業規則のある会社様であっても、雇用関係が成立したことを証明するために「雇用契約書」、そしてどのような条件で雇い入れるかを示すための「労働条件通知書」は、ご用意されるべきものであると考えます。