はじめに
映像を22言語に展開しています。1つの日付につき22本。それを366日分。動画の本数で言えば8,052本になります。
すべて自動で作って、自動で上げています。人が触るのは、止まったときだけです。
その運用を4か月続けたある日、たまたま1本を開いて、文字が四角に化けているのを見つけました。ヒンディー語でした。調べたら、ヒンディー語・アラビア語・タイ語の3言語が、最初の1本から全部壊れていました。
約1,100本です。
誰も気づきませんでした。私も気づきませんでした。理由は単純で、その3言語の動画は再生回数が0だったからです。
この記事は、その事故の記録です。何が壊れ、なぜ4か月見つからず、真因が何で、どう直したか。数字はすべて実測値です。日付を書いたものは、その時点の値です。
多言語展開を考えている方に、先に読んでおいてほしい内容だけを書きました。「翻訳の質」の話は一行も出てきません。翻訳が完璧でも、この事故は起きます。
第1章 何が壊れていたか
まず実物です。3言語で症状が違いました。
(言語/症状/範囲)
ヒンディー語 全文字が □。完全な豆腐。最初の1本から
アラビア語 字は繋がるが並びが逆。さらに日付の数字だけ □□。最初の1本から
タイ語 字形は正常。ただし単語の途中で改行される。最初の1本から
残る19言語は正常でした。
同じスクリプトが、同じMacで、19言語は正しく描いて、3言語だけ壊していた。 これが最初に分かったことです。
つまりOSのフォント不足ではありません。同じMacで動いている別のチャンネルは、アラビア語を正しく出していました。壊れていたのは、この1つのプロジェクトだけでした。
本数の内訳も実測しました。
(区分/本数/必要な作業)
合計1,098本。366日 × 3言語です。
公開済みより、未公開のほうが多かった。 これは不幸中の幸いでした。上げてしまった分は手で消すしかありませんが、上げていない分はファイルを入れ替えれば終わります。
第2章 なぜ4か月も見つからなかったか
3つ理由があります。どれも多言語展開に固有のものです。
一、自分が読めない言語は、目視の対象から外れる。
日本語と英語の動画は、書き出すたびに自分で見ます。読めるからです。ヒンディー語は読めません。読めないものを見ても「合っているかどうか」が判断できないので、だんだん見なくなります。私は見なくなっていました。
二、メタデータが正しいと、正常だと思い込む。
タイトル・説明文・タグは全部正しく出ていました。管理画面で一覧を見るかぎり、22言語すべてが揃って見えます。壊れていたのは映像に焼き込んだ文字だけでした。
管理画面では分かりません。本編のフレームを見るまで、分かりません。
三、再生回数0は、誰からも指摘されない。
これがいちばん効きました。視聴者が1人でもいれば、コメントか低評価で気づけたはずです。0回なら、壊れていても何も起きません。多言語展開の初期は、ほぼ全言語が0回です。 つまり事故がいちばん起きやすい時期と、いちばん見つからない時期が重なります。
私が使った点検方法を書いておきます。全数を目で見るには、動画を1本ずつ開いていられません。サムネイル用のフレーム画像だけをURLで直接取得して、並べて見ました。1チャンネル数百本を数分で流し見できます。
「本編のフレームを見る」ことが要点です。 メタデータでも、管理画面の一覧でもありません。
点検して分かったことがもう1つあります。壊れていたのは1チャンネルだけでした。同じMacで動いている他の5チャンネルは、同じ言語を正しく描いていました。つまり「Macに問題がある」でも「その言語が難しい」でもなく、このプロジェクトのスクリプトだけの問題でした。
範囲を絞れたことで、原因の探し方が変わりました。OSやフォントを疑う必要がなくなり、正しく描けている側と、壊れている側のスクリプトを比べるだけで済みました。
多言語で事故が起きたら、最初にやることはこれです。同じ言語を正しく出せている実例が、手元にあるかどうかを探す。 あれば、差分を取るだけで終わります。
はじめに
映像を22言語に展開しています。1つの日付につき22本。それを366日分。動画の本数で言えば8,052本になります。
すべて自動で作って、自動で上げています。人が触るのは、止まったときだけです。
その運用を4か月続けたある日、たまたま1本を開いて、文字が四角に化けているのを見つけました。ヒンディー語でした。調べたら、ヒンディー語・アラビア語・タイ語の3言語が、最初の1本から全部壊れていました。
約1,100本です。
誰も気づきませんでした。私も気づきませんでした。理由は単純で、その3言語の動画は再生回数が0だったからです。
この記事は、その事故の記録です。何が壊れ、なぜ4か月見つからず、真因が何で、どう直したか。数字はすべて実測値です。日付を書いたものは、その時点の値です。
多言語展開を考えている方に、先に読んでおいてほしい内容だけを書きました。「翻訳の質」の話は一行も出てきません。翻訳が完璧でも、この事故は起きます。
第1章 何が壊れていたか
まず実物です。3言語で症状が違いました。
(言語/症状/範囲)
ヒンディー語 全文字が □。完全な豆腐。最初の1本から
アラビア語 字は繋がるが並びが逆。さらに日付の数字だけ □□。最初の1本から
タイ語 字形は正常。ただし単語の途中で改行される。最初の1本から
残る19言語は正常でした。
同じスクリプトが、同じMacで、19言語は正しく描いて、3言語だけ壊していた。 これが最初に分かったことです。
つまりOSのフォント不足ではありません。同じMacで動いている別のチャンネルは、アラビア語を正しく出していました。壊れていたのは、この1つのプロジェクトだけでした。
本数の内訳も実測しました。
(区分/本数/必要な作業)
すでに公開済み 約264本 新規アップロードのうえ、旧動画を1本ずつ非公開にする手作業
まだ上げていない 約834本 差し替えるだけ。公開側の作業は不要
合計1,098本。366日 × 3言語です。
公開済みより、未公開のほうが多かった。 これは不幸中の幸いでした。上げてしまった分は手で消すしかありませんが、上げていない分はファイルを入れ替えれば終わります。
第2章 なぜ4か月も見つからなかったか
3つ理由があります。どれも多言語展開に固有のものです。
一、自分が読めない言語は、目視の対象から外れる。
日本語と英語の動画は、書き出すたびに自分で見ます。読めるからです。ヒンディー語は読めません。読めないものを見ても「合っているかどうか」が判断できないので、だんだん見なくなります。私は見なくなっていました。
二、メタデータが正しいと、正常だと思い込む。
タイトル・説明文・タグは全部正しく出ていました。管理画面で一覧を見るかぎり、22言語すべてが揃って見えます。壊れていたのは映像に焼き込んだ文字だけでした。
管理画面では分かりません。本編のフレームを見るまで、分かりません。
三、再生回数0は、誰からも指摘されない。
これがいちばん効きました。視聴者が1人でもいれば、コメントか低評価で気づけたはずです。0回なら、壊れていても何も起きません。多言語展開の初期は、ほぼ全言語が0回です。 つまり事故がいちばん起きやすい時期と、いちばん見つからない時期が重なります。
私が使った点検方法を書いておきます。全数を目で見るには、動画を1本ずつ開いていられません。サムネイル用のフレーム画像だけをURLで直接取得して、並べて見ました。1チャンネル数百本を数分で流し見できます。
「本編のフレームを見る」ことが要点です。 メタデータでも、管理画面の一覧でもありません。
点検して分かったことがもう1つあります。壊れていたのは1チャンネルだけでした。同じMacで動いている他の5チャンネルは、同じ言語を正しく描いていました。つまり「Macに問題がある」でも「その言語が難しい」でもなく、このプロジェクトのスクリプトだけの問題でした。
範囲を絞れたことで、原因の探し方が変わりました。OSやフォントを疑う必要がなくなり、正しく描けている側と、壊れている側のスクリプトを比べるだけで済みました。
多言語で事故が起きたら、最初にやることはこれです。同じ言語を正しく出せている実例が、手元にあるかどうかを探す。 あれば、差分を取るだけで終わります。