① プロローグ:20代の私が求めていた「歪んだ快感」
20代で現場のライン管理者を任されていた頃の私は、「俺がいないとこの現場は回らない」という環境を作ることに必死だった。
トラブルが起きれば自分が現場に飛び込んで「覚醒」し、神対応で火を消す。周りから「やっぱりあなたじゃないと駄目だ」と頼られる。それこそが自分の存在価値であり、信頼を得る唯一の方法だと信じ込んでいた。
現場を自分の「職人技」で支配する、そんな歪んだヒーロー感に浸っていたのだ。
② ああ、あの日起きた大パニック
そんな私の鼻をへし折る事件が起きる。多品種のライン生産。機種変更に伴い、仕様も材料もガラッと変わるタイミングだった。厄介なことに、新旧の材料は「見た目ではほぼ判別がつかない」ものばかり。
ギチギチのスケジュールのなか、機種変更が行われ、ラインが動き出す。
その時、ある作業員が違和感に気づき、声を上げた。
「……あれ? これ、材料違くないですか?」
その一言で、現場の空気は凍りついた。一歩間違えれば、数千個の致命的な不良品が市場に流出して大損害・大クレームになる、九死に一生のシチュエーション。そこからは、まさにパニック状態。
だが、ここで私は自分の感覚を極限まで研ぎ澄ます「覚醒状態」に入った。
焦りたくない一心で、脳みそをフル回転させて指示を出す。
まず、リーダーに「発生源を絶つ(これ以上間違った材料を投入させない)」ように指示を飛ばす。同時に自分は流出を防ぐためにラインの末端へ回り、正しいものへと交換していく。
もちろん、ラインは停めずに、生産を殺さないままだ。
この「発生」と「流出」を同時に遮断する初動対応により、なんとかその場を収め、事なきを得た。
③ 襲ってきた「恐怖」と「本音」
冷や汗を拭いながら、私は猛烈に反省した。
「管理者が毎回覚醒して神対応しないと防げない現場なんて、マネジメントシステム(OS)として破綻している。次も同じ奇跡が起きる保証はどこにもない」
「二度とあんな焦り方はしたくない。自分が徹底的にラクをしたい」
その強烈な本音から、私は「誰がやっても絶対にミスが起き得ない再発防止の仕組み」を作ろうと決意した。
しかし、その瞬間、心の奥底で別の恐怖が首をもたげた。
「誰でも回せる仕組みを作ってしまったら、俺の存在価値はなくなってしまうんじゃないか?」
「自分がいないと回らない現場」に執着して居場所を作っていた私が、どのようにしてこの恐怖を乗り越え、結果として仕事が劇的にラクになり、さらに強固な信頼を掴むことができたのか。実際の仕組み作りのステップと、辿り着いた結論を書き残します。
④ 感情を排除した「ポカミス撲滅システム」6つの仕掛け
① プロローグ:20代の私が求めていた「歪んだ快感」
20代で現場のライン管理者を任されていた頃の私は、「俺がいないとこの現場は回らない」という環境を作ることに必死だった。
トラブルが起きれば自分が現場に飛び込んで「覚醒」し、神対応で火を消す。周りから「やっぱりあなたじゃないと駄目だ」と頼られる。それこそが自分の存在価値であり、信頼を得る唯一の方法だと信じ込んでいた。
現場を自分の「職人技」で支配する、そんな歪んだヒーロー感に浸っていたのだ。
② ああ、あの日起きた大パニック
そんな私の鼻をへし折る事件が起きる。多品種のライン生産。機種変更に伴い、仕様も材料もガラッと変わるタイミングだった。厄介なことに、新旧の材料は「見た目ではほぼ判別がつかない」ものばかり。
ギチギチのスケジュールのなか、機種変更が行われ、ラインが動き出す。
その時、ある作業員が違和感に気づき、声を上げた。
「……あれ? これ、材料違くないですか?」
その一言で、現場の空気は凍りついた。一歩間違えれば、数千個の致命的な不良品が市場に流出して大損害・大クレームになる、九死に一生のシチュエーション。そこからは、まさにパニック状態。
だが、ここで私は自分の感覚を極限まで研ぎ澄ます「覚醒状態」に入った。
焦りたくない一心で、脳みそをフル回転させて指示を出す。
まず、リーダーに「発生源を絶つ(これ以上間違った材料を投入させない)」ように指示を飛ばす。同時に自分は流出を防ぐためにラインの末端へ回り、正しいものへと交換していく。
もちろん、ラインは停めずに、生産を殺さないままだ。
この「発生」と「流出」を同時に遮断する初動対応により、なんとかその場を収め、事なきを得た。
③ 襲ってきた「恐怖」と「本音」
冷や汗を拭いながら、私は猛烈に反省した。
「管理者が毎回覚醒して神対応しないと防げない現場なんて、マネジメントシステム(OS)として破綻している。次も同じ奇跡が起きる保証はどこにもない」
「二度とあんな焦り方はしたくない。自分が徹底的にラクをしたい」
その強烈な本音から、私は「誰がやっても絶対にミスが起き得ない再発防止の仕組み」を作ろうと決意した。
しかし、その瞬間、心の奥底で別の恐怖が首をもたげた。
「誰でも回せる仕組みを作ってしまったら、俺の存在価値はなくなってしまうんじゃないか?」
「自分がいないと回らない現場」に執着して居場所を作っていた私が、どのようにしてこの恐怖を乗り越え、結果として仕事が劇的にラクになり、さらに強固な信頼を掴むことができたのか。実際の仕組み作りのステップと、辿り着いた結論を書き残します。
④ 感情を排除した「ポカミス撲滅システム」6つの仕掛け