ヤクザに憧れて組に入る奴なんて、今どきいるのかって話だ。
でも蓮はそういう奴だった。十八歳、春。
理由を聞かれると「強そうだったから」とだけ答えた。先輩たちは大抵笑った。馬鹿にした笑いじゃなくて、懐かしむみたいな笑い。それが蓮には少し誇らしかった。
最初の仕事は使い走りだ。書類を運んで、弁当を買って、車を洗う。文句はない。組の動きの端っこに自分がいる、それだけで十分だった。
少なくとも、沢村に会うまでは。
桐島さんから茶封筒を渡されたのは、入って二ヶ月目のことだ。
「このマンションの四階に届けてこい」
「どんな人ですか」
「頭のいい人だ」桐島さんは少し間を置いた。「組の資金、あの人が半分以上作ってる。それだけ覚えとけ」
ヤクザに憧れて組に入る奴なんて、今どきいるのかって話だ。
でも蓮はそういう奴だった。十八歳、春。
理由を聞かれると「強そうだったから」とだけ答えた。先輩たちは大抵笑った。馬鹿にした笑いじゃなくて、懐かしむみたいな笑い。それが蓮には少し誇らしかった。
最初の仕事は使い走りだ。書類を運んで、弁当を買って、車を洗う。文句はない。組の動きの端っこに自分がいる、それだけで十分だった。
少なくとも、沢村に会うまでは。
桐島さんから茶封筒を渡されたのは、入って二ヶ月目のことだ。
「このマンションの四階に届けてこい」
「どんな人ですか」
「頭のいい人だ」桐島さんは少し間を置いた。「組の資金、あの人が半分以上作ってる。それだけ覚えとけ」