「売れないのは、きっと表現力が足りないせいだ……」
精魂込めて書いたセールスレターが、まったく反応を生まないとき、多くの人は、自分の非力さを責めてしまいます。
そしてこう考えます。
もっと感情を揺さぶらなければ。
もっと強い言葉(パワーワード)を使うべきだ。
もっと刺さる表現を探さなければ。
しかし、はっきり言います。
それは大きな間違いです。
売れない原因は、決してそのような「表現力の低さ」ではありません。
実際、小説家顔負けの表現力豊かな文章を書く人が、セールスで惨敗する一方で、不器用で飾り気のない文章が、爆発的な売上を生むことは珍しくありません。
この差は、どこから生まれるのでしょうか。
理由は明確です。 「書く技術」以前の、「売れる設計」が構築できているかどうかー。 すべてはここにかかっています。
セールスレターは、気合や勢いで書く文章ではありません。煽りやテクニックを足し算していくものでもありません。
それは、たとえていえば商品とそれを必要とする人との間に「橋をかける」ようなものです。
橋に必要とされるのは、無駄な装飾でも見栄えの良さでもありません。
渡る人に「向こう側に目指す目的地がある」ことを示す明確な標識と、最短かつ安心して渡れる堅牢な構造です。
セールスレターも同じです。構造に欠陥があれば、どれだけ言葉を飾っても、顧客は動きません。逆に構造さえ正しければ、たとえ言葉が拙くても顧客は自ら歩み寄り、あなたの言葉に耳を傾けてくれます。
この記事では、煽らず誠実に、それでいて確実に成約へと導くセールスレターの「構造」とその根底にある「考え方」を、理論と実践の両面から解き明かしていきます。
セールスレターとは?
まずは、セールスレターとは何か、というところから見ていきましょう。
セールスレターは別名、セールスコピーといわれることからもわかるように、一般にコピーライティングのひとつに分類されます。
このコピーライティングにはもともとモノを売るための文章という意味合いがありますが、実際には売ること以外にもブランドイメージを向上させる、特定の行動に導く、といったさまざまな目的があります。
そのため、他のコピーライティングと区別する意味で、売ることに特化したコピーライティングを一般にセールスレターと呼んでいます。
例としてはネット通販における商品説明文や、情報商材などでよくみかけるランディングページの文章がそれに相当します。
また今は少なくなりましたが、郵便物として届くダイレクトメールにある文章も典型的なセールスレターです。
セールスレターの形式
セールスレターは通常のコピーがそうであるのと同じように、基本的にキャッチコピーとボディコピーのふたつのパートからなっています。
ランディングページの場合、ボディコピーの最後の部分を別途切り離してクロージングコピーと呼ぶこともあります

ここで重要なのは、それらのパートは単独で機能しているのではないということです。
つまり、キャッチコピーとボディコピー(およびクロージングコピー)というパートは、それぞれ互いに連携しながら働いているということです。
それはスポーツにおけるチームプレーのようなものです。もちろん主力プレーヤーはいるかもしれませんが、基本的には、それら複数のパートが互いに連携し、協力しあうことではじめて「売る」という共通の目標が達成できるようになっています。

セールスレターテクニックを教える広告などでよく、キャッチコピー部分をいじっただけで、あるいは「誰も知らなかった」特殊なノウハウをひとつ投入しただけで、売上が劇的に向上したなどと謳ったものをよくみかけますが、あれは少々誤解を招く表現です。
セールスレターの効果というのはどこまでもチームプレーによるものであり、その中のいちプレーヤーでしかないキャッチコピーを特別に強化したからといって、またその一部を少しいじったからといって必ずしもチーム全体の強化につながるとはかぎりません。
ここは誤解されやすいばかりでなく、セールスレターの書き方を学ぶ上でも重要なポイントですので、しっかり押さえておきましょう。
セールスレターの書き方(理論編)
さて、このセールスレターですが、どう書いたらより売れるようになるのでしょうか?
そこに踏み込む前にまずは基本的なところからおさらいしておきましょう。
それは、売るためにはどうすればよいかという「そもそも論」的な部分です。
売るためにはどうすればよいのか?
じつのところ、たんに売るだけであれば方法はいくらでもあります。極端なことをいえば暴力で脅すことや嘘八百を並べて騙すこともその手段となりえます。それでも売れることは間違いないからです。
けれど当たり前ですが、それは正しい売り方ではありません。
もちろん押し売りや詐欺は犯罪ですから、それが間違った売り方だということは誰でもわかります。
しかし問題はそこまで極端でなくとも、それに近い、あまりほめられない売り方が公然と、それもあたかもそれが唯一の正しい手法であるかのようにまかりとおっている現状があることです。
ほめられない売り方とは?
あまりほめられない売り方とはなんでしょうか? それは一部の情報商材に見られる誇大広告、もしくは誇大広告すれすれの売り方です。
たしかに実物より誇大に見せかけたり、ありもしないものをあるかのごとく見せかければそれなりに売れることは間違いないでしょう。宣伝文句を疑うことなく頭から信じ込んでしまう人は少なくありませんし、実際、それが真実かどうかは買って試してみるまで買う側にはわからないからです。
同様にいたずらに感情を煽り、不要なものを買わせるという催眠商法まがいの売り方も横行しています。とくに買いたいと思ってもいなかったのに、気がついたら買わされていたというケースです。
しかし、当然ながら期待したものでないとわかった時、もしくは催眠から覚めた時の購入者の落胆はそれに比例して大きなものになります。同時にそこから生じる販売者への批難と怒りは落胆以上のエネルギーで爆発的に湧き上がることになります。
そうして怒った購入者はその勢いでクレームを入れようとするわけですが、たいてい、その時点ではあとの祭りです。多くの場合、販売者はすでに行方をくらませているからです。
たとえ行方をくらませていなくとも、そうした悪徳販売者は「期待した効果が出ないのはあなたの努力が足りないからだ」とかなんだかんだ理屈をこねて責任逃れをすることがほとんどです。
そうして結局のところ、購入者は泣き寝入りせざるをえなくなってしまうのです。
残念ながらこのような誇大広告による売り逃げ型の販売手法が横行しているのが今のセールスレター界隈における偽らざる現状です。


これはとても困ったことです。というのも、このような状況を放置したままではセールスレターを誰も信じてくれなくなってしまうからです。当然、何を書いても見向きもされなくなるでしょうし、もちろんそれによって商品が売れることも期待できないでしょう。
そればかりではありません。
セールスレター自体にマイナスイメージがつきまとっているせいで、その形式の売り方をしているだけで企業や商品の信用やブランドが損なわれてしまう可能性さえあります。
もしそうなってしまったなら、それはセールスレターの事実上の死を意味します。
いや、というより、現状すでにそうなっているといった方が正解かもしれません‥。
では、私たちはどうしたらよいのでしょうか?
セールスレターの信用を回復させるには?
ありきたりの答えかもしれませんが、誠実かつ正直な商売を心がける以外にありません。
商売というのはお客様に満足していただいてはじめて成り立つものです。自分の満足だけを考えた商売は短期的には儲かるかもしれませんが、長期的にはけっして儲かりません。
自分の利益ばかり考える人からはお客様がしだいに離れていくからです。

江戸時代に活躍した近江商人がモットーとしたのは「三方よし」の精神でした。商売にあたっては、売り手、買い手、世間、の三方それぞれが満足しなければならないという考え方です。
ひるがえって今のセールスレターはどうでしょうか? その実態をみるかぎり、売り手の満足しか考えていないのは明白です。買い手のことはもちろん世間のことなどまるで眼中にありません。
そんな現在のセールスレターをかつての近江商人がみたらどう思うでしょうか?
おそらく商人道の風上にも置けない「我よし」の商売であり、邪道であるとして唾棄されるのがおちでしょう。
煽ってでも売れればよいという「我よし」の態度をあらためること、そうして誠実かつ正直を旨とする日本的商道徳の原点に帰ることーー。セールスレター業界とそこに関わる私たち全員に今求められているのはまさにこうした意識改革なのではないでしょうか?

大切なのはポジショニング
では、「誠実かつ正直な商売」とはいったいどんな商売なのでしょうか?
それは、必要な人に必要なものを必要なときに提供すること、です。
どういうことでしょうか?
これはむしろ逆からいうとわかりやすいかもしれません。
不要な人に不要なものを不要なときに売らないこと、です。
これは「商品を欲しい人」と「その人にふさわしい商品」を「適切なタイミング」で結び合わせることと言い換えられます。
では、どうやったら両者を適切に結び合わせることができるのでしょうか?
ここで重要になるのがポジショニングです。
ポジショニングというのは市場における商品の立ち位置を明確にすることです。その商品は消費者のニーズにどうマッチするのか、またそれは他の商品とどこがどう違うのか、を消費者の頭の中で明確にイメージさせることです。
ちなみに、それを二次元軸上に図示したものをポジショニングマップといいます。

では、なぜポジショニングがそれほど重要なのでしょうか?
ポジショニングさえ明確になれば、消費者はそれが今の自分に必要かどうかがすぐに判断できるからです。そしてもし必要と判断したならば迷うことなくそれを選び、購入できるからです。
つまり、それさえ明確になっていれば、よけいな売り込みをせずとも、必要な人はその商品を自然に欲しくなるし、また誰にも強制されることなく自発的に購入してくれる、というわけです。
ここで思い出していただきたいのは、マーケティングの究極の目的はセールス(=売り込み)をなくすことに他ならないということです。
有名な経営学者のP・F・ドラッカーはかつてこう言いました。
マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。
ーーP・F・ドラッカー

マーケティングの手法のひとつであるセールスレターも同じです。セールスレターの目的もまた売り込みをなくし、必要なモノを必要な人に最適なタイミングで提供することにあります。
その意味で、セールスレターという言葉はじつをいえば語義矛盾であり、適切な名称ではありません。セールスレターというのは他ならぬそのセールスをなくすことを目的とした文章だからです。
けれど、これについてはこれ以上、詮索しないことにしましょう。
その代わり、ここではセールスレターというのは本来、売り込むための文章ではなく商品と消費者を最適な形で結びつけるのが本来の役目であること、またそのために必要なのがポジショニングの明確化であること、このふたつだけを心に留めていただければと思います。

ポジショニングを明確にするには?
さて、ではこのポジショニングを明確にするにはどうしたらよいのでしょうか?
いくつか方法がありますが、ここでは直感的に理解しやすい3C分析で説明します。
3C分析はマーケティング環境を分析する際、よく使われるフレームワークで、「Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)」の3つの頭文字を取ったものです。

ここでカスタマーは消費者のニーズ、カンパニーは自社商品(の特徴)、競合は他社商品(の特徴)をさします。通常、それらは図のように重なり合っており、その重なり具合を通して自社商品の立ち位置を決定します。
この立ち位置を決めるのがポジショニングと呼ばれる作業です。
図でいえば、自社商品が消費者のニーズを満たせるのは、「A+B」の領域です。しかし、ご覧のようにBの領域は競合も同じように消費者のニーズを満たすことができます。そのため、ここで戦うのは避けた方が賢明です。競合との消耗戦になってしまうからです。
したがってこの場合、自社が攻略すべきなのはAの領域です。すなわちAの領域こそが自社商品の立ち位置ーーポジショニングであるということになります。
またこのポジショニングは、自社の強みを明確に示すという意味で訴求ポイントと言い換えてもよいでしょう。
コピーライティングについておさらい
ここでコピーライティングの基本についてもおさらいしておきましょう。
コピーを作る際、重要なのは「誰に何をどう言うか」を明確にすることです。コピーライティングというのは、狙った消費者(誰)に、伝えたいメッセージ(何)を、効果的に伝える(どう言うか)ための技術だからです。
「売れないのは、きっと表現力が足りないせいだ……」
精魂込めて書いたセールスレターが、まったく反応を生まないとき、多くの人は、自分の非力さを責めてしまいます。
そしてこう考えます。
もっと感情を揺さぶらなければ。
もっと強い言葉(パワーワード)を使うべきだ。
もっと刺さる表現を探さなければ。
しかし、はっきり言います。
それは大きな間違いです。
売れない原因は、決してそのような「表現力の低さ」ではありません。
実際、小説家顔負けの表現力豊かな文章を書く人が、セールスで惨敗する一方で、不器用で飾り気のない文章が、爆発的な売上を生むことは珍しくありません。
この差は、どこから生まれるのでしょうか。
理由は明確です。 「書く技術」以前の、「売れる設計」が構築できているかどうかー。 すべてはここにかかっています。
セールスレターは、気合や勢いで書く文章ではありません。煽りやテクニックを足し算していくものでもありません。
それは、たとえていえば商品とそれを必要とする人との間に「橋をかける」ようなものです。
橋に必要とされるのは、無駄な装飾でも見栄えの良さでもありません。
渡る人に「向こう側に目指す目的地がある」ことを示す明確な標識と、最短かつ安心して渡れる堅牢な構造です。
セールスレターも同じです。構造に欠陥があれば、どれだけ言葉を飾っても、顧客は動きません。逆に構造さえ正しければ、たとえ言葉が拙くても顧客は自ら歩み寄り、あなたの言葉に耳を傾けてくれます。
この記事では、煽らず誠実に、それでいて確実に成約へと導くセールスレターの「構造」とその根底にある「考え方」を、理論と実践の両面から解き明かしていきます。
セールスレターとは?
まずは、セールスレターとは何か、というところから見ていきましょう。
セールスレターは別名、セールスコピーといわれることからもわかるように、一般にコピーライティングのひとつに分類されます。
このコピーライティングにはもともとモノを売るための文章という意味合いがありますが、実際には売ること以外にもブランドイメージを向上させる、特定の行動に導く、といったさまざまな目的があります。
そのため、他のコピーライティングと区別する意味で、売ることに特化したコピーライティングを一般にセールスレターと呼んでいます。
例としてはネット通販における商品説明文や、情報商材などでよくみかけるランディングページの文章がそれに相当します。
また今は少なくなりましたが、郵便物として届くダイレクトメールにある文章も典型的なセールスレターです。
セールスレターの形式
セールスレターは通常のコピーがそうであるのと同じように、基本的にキャッチコピーとボディコピーのふたつのパートからなっています。
ランディングページの場合、ボディコピーの最後の部分を別途切り離してクロージングコピーと呼ぶこともあります
ここで重要なのは、それらのパートは単独で機能しているのではないということです。
つまり、キャッチコピーとボディコピー(およびクロージングコピー)というパートは、それぞれ互いに連携しながら働いているということです。
それはスポーツにおけるチームプレーのようなものです。もちろん主力プレーヤーはいるかもしれませんが、基本的には、それら複数のパートが互いに連携し、協力しあうことではじめて「売る」という共通の目標が達成できるようになっています。
セールスレターテクニックを教える広告などでよく、キャッチコピー部分をいじっただけで、あるいは「誰も知らなかった」特殊なノウハウをひとつ投入しただけで、売上が劇的に向上したなどと謳ったものをよくみかけますが、あれは少々誤解を招く表現です。
セールスレターの効果というのはどこまでもチームプレーによるものであり、その中のいちプレーヤーでしかないキャッチコピーを特別に強化したからといって、またその一部を少しいじったからといって必ずしもチーム全体の強化につながるとはかぎりません。
ここは誤解されやすいばかりでなく、セールスレターの書き方を学ぶ上でも重要なポイントですので、しっかり押さえておきましょう。
セールスレターの書き方(理論編)
さて、このセールスレターですが、どう書いたらより売れるようになるのでしょうか?
そこに踏み込む前にまずは基本的なところからおさらいしておきましょう。
それは、売るためにはどうすればよいかという「そもそも論」的な部分です。
売るためにはどうすればよいのか?
じつのところ、たんに売るだけであれば方法はいくらでもあります。極端なことをいえば暴力で脅すことや嘘八百を並べて騙すこともその手段となりえます。それでも売れることは間違いないからです。
けれど当たり前ですが、それは正しい売り方ではありません。
もちろん押し売りや詐欺は犯罪ですから、それが間違った売り方だということは誰でもわかります。
しかし問題はそこまで極端でなくとも、それに近い、あまりほめられない売り方が公然と、それもあたかもそれが唯一の正しい手法であるかのようにまかりとおっている現状があることです。
ほめられない売り方とは?
あまりほめられない売り方とはなんでしょうか? それは一部の情報商材に見られる誇大広告、もしくは誇大広告すれすれの売り方です。
たしかに実物より誇大に見せかけたり、ありもしないものをあるかのごとく見せかければそれなりに売れることは間違いないでしょう。宣伝文句を疑うことなく頭から信じ込んでしまう人は少なくありませんし、実際、それが真実かどうかは買って試してみるまで買う側にはわからないからです。
同様にいたずらに感情を煽り、不要なものを買わせるという催眠商法まがいの売り方も横行しています。とくに買いたいと思ってもいなかったのに、気がついたら買わされていたというケースです。
しかし、当然ながら期待したものでないとわかった時、もしくは催眠から覚めた時の購入者の落胆はそれに比例して大きなものになります。同時にそこから生じる販売者への批難と怒りは落胆以上のエネルギーで爆発的に湧き上がることになります。
そうして怒った購入者はその勢いでクレームを入れようとするわけですが、たいてい、その時点ではあとの祭りです。多くの場合、販売者はすでに行方をくらませているからです。
たとえ行方をくらませていなくとも、そうした悪徳販売者は「期待した効果が出ないのはあなたの努力が足りないからだ」とかなんだかんだ理屈をこねて責任逃れをすることがほとんどです。
そうして結局のところ、購入者は泣き寝入りせざるをえなくなってしまうのです。
残念ながらこのような誇大広告による売り逃げ型の販売手法が横行しているのが今のセールスレター界隈における偽らざる現状です。
これはとても困ったことです。というのも、このような状況を放置したままではセールスレターを誰も信じてくれなくなってしまうからです。当然、何を書いても見向きもされなくなるでしょうし、もちろんそれによって商品が売れることも期待できないでしょう。
そればかりではありません。
セールスレター自体にマイナスイメージがつきまとっているせいで、その形式の売り方をしているだけで企業や商品の信用やブランドが損なわれてしまう可能性さえあります。
もしそうなってしまったなら、それはセールスレターの事実上の死を意味します。
いや、というより、現状すでにそうなっているといった方が正解かもしれません‥。
では、私たちはどうしたらよいのでしょうか?
セールスレターの信用を回復させるには?
ありきたりの答えかもしれませんが、誠実かつ正直な商売を心がける以外にありません。
商売というのはお客様に満足していただいてはじめて成り立つものです。自分の満足だけを考えた商売は短期的には儲かるかもしれませんが、長期的にはけっして儲かりません。
自分の利益ばかり考える人からはお客様がしだいに離れていくからです。
江戸時代に活躍した近江商人がモットーとしたのは「三方よし」の精神でした。商売にあたっては、売り手、買い手、世間、の三方それぞれが満足しなければならないという考え方です。
ひるがえって今のセールスレターはどうでしょうか? その実態をみるかぎり、売り手の満足しか考えていないのは明白です。買い手のことはもちろん世間のことなどまるで眼中にありません。
そんな現在のセールスレターをかつての近江商人がみたらどう思うでしょうか?
おそらく商人道の風上にも置けない「我よし」の商売であり、邪道であるとして唾棄されるのがおちでしょう。
煽ってでも売れればよいという「我よし」の態度をあらためること、そうして誠実かつ正直を旨とする日本的商道徳の原点に帰ることーー。セールスレター業界とそこに関わる私たち全員に今求められているのはまさにこうした意識改革なのではないでしょうか?
大切なのはポジショニング
では、「誠実かつ正直な商売」とはいったいどんな商売なのでしょうか?
それは、必要な人に必要なものを必要なときに提供すること、です。
どういうことでしょうか?
これはむしろ逆からいうとわかりやすいかもしれません。
不要な人に不要なものを不要なときに売らないこと、です。
これは「商品を欲しい人」と「その人にふさわしい商品」を「適切なタイミング」で結び合わせることと言い換えられます。
では、どうやったら両者を適切に結び合わせることができるのでしょうか?
ここで重要になるのがポジショニングです。
ポジショニングというのは市場における商品の立ち位置を明確にすることです。その商品は消費者のニーズにどうマッチするのか、またそれは他の商品とどこがどう違うのか、を消費者の頭の中で明確にイメージさせることです。
ちなみに、それを二次元軸上に図示したものをポジショニングマップといいます。
では、なぜポジショニングがそれほど重要なのでしょうか?
ポジショニングさえ明確になれば、消費者はそれが今の自分に必要かどうかがすぐに判断できるからです。そしてもし必要と判断したならば迷うことなくそれを選び、購入できるからです。
つまり、それさえ明確になっていれば、よけいな売り込みをせずとも、必要な人はその商品を自然に欲しくなるし、また誰にも強制されることなく自発的に購入してくれる、というわけです。
ここで思い出していただきたいのは、マーケティングの究極の目的はセールス(=売り込み)をなくすことに他ならないということです。
有名な経営学者のP・F・ドラッカーはかつてこう言いました。
マーケティングの理想は、販売を不要にすることである。マーケティングが目指すものは、顧客を理解し、製品とサービスを顧客に合わせ、おのずから売れるようにすることである。
ーーP・F・ドラッカー
マーケティングの手法のひとつであるセールスレターも同じです。セールスレターの目的もまた売り込みをなくし、必要なモノを必要な人に最適なタイミングで提供することにあります。
その意味で、セールスレターという言葉はじつをいえば語義矛盾であり、適切な名称ではありません。セールスレターというのは他ならぬそのセールスをなくすことを目的とした文章だからです。
けれど、これについてはこれ以上、詮索しないことにしましょう。
その代わり、ここではセールスレターというのは本来、売り込むための文章ではなく商品と消費者を最適な形で結びつけるのが本来の役目であること、またそのために必要なのがポジショニングの明確化であること、このふたつだけを心に留めていただければと思います。
ポジショニングを明確にするには?
さて、ではこのポジショニングを明確にするにはどうしたらよいのでしょうか?
いくつか方法がありますが、ここでは直感的に理解しやすい3C分析で説明します。
3C分析はマーケティング環境を分析する際、よく使われるフレームワークで、「Customer(市場・顧客)、Competitor(競合)、Company(自社)」の3つの頭文字を取ったものです。
ここでカスタマーは消費者のニーズ、カンパニーは自社商品(の特徴)、競合は他社商品(の特徴)をさします。通常、それらは図のように重なり合っており、その重なり具合を通して自社商品の立ち位置を決定します。
この立ち位置を決めるのがポジショニングと呼ばれる作業です。
図でいえば、自社商品が消費者のニーズを満たせるのは、「A+B」の領域です。しかし、ご覧のようにBの領域は競合も同じように消費者のニーズを満たすことができます。そのため、ここで戦うのは避けた方が賢明です。競合との消耗戦になってしまうからです。
したがってこの場合、自社が攻略すべきなのはAの領域です。すなわちAの領域こそが自社商品の立ち位置ーーポジショニングであるということになります。
またこのポジショニングは、自社の強みを明確に示すという意味で訴求ポイントと言い換えてもよいでしょう。
コピーライティングについておさらい
ここでコピーライティングの基本についてもおさらいしておきましょう。
コピーを作る際、重要なのは「誰に何をどう言うか」を明確にすることです。コピーライティングというのは、狙った消費者(誰)に、伝えたいメッセージ(何)を、効果的に伝える(どう言うか)ための技術だからです。