オンラインを通じて「全国の専門家」に協力を依頼〜地方農家の事業拡大への挑戦

東日本大震災をきっかけに実家の熊本県に戻り、出版社勤務から農家に転身したなかせ農園代表の中瀬さん。転身後は農産物の「ブランド化」を進めるとともに、障がい者の就業支援事業を立ち上げるなど、事業の拡大を推進しています。
これらのプロジェクトを支えたのが、ココナラ。今回は中瀬さんにココナラを利用することになったきっかけや実際の取引に関するエピソードなどを伺いました。
東日本大震災の経験をきっかけに、出版社勤務から農家へ転身

本日はよろしくお願いいたします。まずはなかせ農園について教えてください
熊本県大津町にある農業法人です。熊本は昭和初期からさつまいもの熟成の歴史が長い産地のひとつですが、日本の主要産地としてはあまり知られていません。しかし、阿蘇の火山灰土という恵まれた環境のおかげで、おいしいさつまいもが育つ地域でもあります。
当社が生産しているのは紅はるかという品種で、「蔵出しベニーモ」というブランドで販売しています。蔵出しベニーモは弊社に現存する築150年の土壁の蔵が由来となっており、熊本地震被災後にはその伝統的な蔵を最新技術で再現した芋専用の貯蔵庫で長期熟成させたさつまいもです。独自の熟成技術によりしっとりとした食感と甘みが特徴になっており、過去にはさつまいもの全国品評会で「さつまいも・オブ・ザ・イヤー」などを受賞しました。

また最近では障害を持つ方々と協力する「農福連携」(農業と福祉の連携)に力を入れ、障がい者の就業支援を行っており、現在は事業化に向けて準備を進めています。
中瀬さんは以前出版社に勤められていたと伺いましたが、なぜ実家の農業に戻られたのでしょうか?
もともとは東京の出版社に勤めていたのですが、東日本大震災を経験したことが大きな転機となりました。震災後の数日間、街の店先から生鮮食品が一気に消えていくのを目の当たりにし、食の大切さを改めて実感したのです。
それまでは、農業に対して「ダサい」という印象を持っていたのですが、この経験を通じて「食こそが人の生活の根幹」と考えるようになり、その重要性を見直しました。そうした中で、出版のような付加価値型の産業から一次産業へと進むのもいいのではと思い、家業に戻る決意をしたのです。
また、実家のさつまいもが「おいしいのに高く売れていない」という状況でして、私自身の出版社での経験を生かすことができるのでは?と考えたのも理由の一つです。
家業に戻られてからは、どのような取り組みを始められたのでしょうか?
まずは通販に出すためにパッケージデザインやリーフレットを作成したり、マルシェやイベントに出店して直接お客さまに販売したりと販路の拡大を目指しました。一方これらは利益率こそ高いものの、売上がなかなか伸びないことも実感しました。
その経験を通じ、やはりブランディングが重要だと感じました。どの農家さんも「自分のさつまいもが一番おいしい」と言いますが、客観的においしさを伝えるのは難しい。だからこそパッケージやストーリーといった別の要素が必要だと考え、現在ではさまざまな工夫をしながら販売を拡大しています。
新規事業の立ち上げからブランディングまで、ココナラをフル活用

ココナラを最初に利用されたのは、どのようなきっかけだったのでしょうか?
実はビジネス利用ではありません(笑)。最初は個人的な趣味で、ダイエット方法をプロに教えてもらうために利用したんです。地方にいるとさまざまな分野の専門家と繋がるのは難しいのですが、ココナラなら手軽に依頼できることを実感しました。
その経験を通じてこれはビジネスでも使えるのでは?と感じ、その後は会社の人事評価シート作成を税理士に依頼したり、知人が力を入れている地域活動の応援のために、これまでの人生をアニメーションにする依頼をしました。
また、新規事業の立ち上げの検討が始まってからは幅広い形で利用しています。現在当社では福祉関連の事業立ち上げを進めているのですが、当初相談できる専門家が周囲に全くいなかったんです。
ココナラで検索してみたところ、福祉関連の専門家が事業計画書や収支計画書の作成をサポートしているのを簡単に見つけることができました。
新規事業の立ち上げという重要な案件に対し、オンラインで未知の方に仕事を頼むことに懸念はありませんでしたか?
はい、全くなかったです。当社では収穫作業などの繁忙期にスポットでアルバイトを頼むこともあるのですが、地元のハローワークではなく、オンラインのサービスを通じて依頼をしています。というのもココナラもですが、過去の実績や口コミのレビューなどが豊富に記載されていることが大きな理由です。事前に過去依頼をした第三者の評価を確認できるのは、頼む側としては大きな安心感につながります。
事業の立ち上げにあたって、まずは新規事業立ち上げ時のコツに関する簡単なレポートを依頼し、その後収支計画書や就業継続支援施設設立の補助金申請のために必要なパース図、プレゼン資料などあらゆる資料づくりをサポートしてもらいました。

事業計画書の作成などは相談の仕方が難しい印象もありますが、やり取りはスムーズでしたか?
テンプレートが用意されていたので、それに沿って情報を記入する形でした。例えば、開業予定や経営理念、人件費の内訳など14項目に分かれていて、具体的に記入するのみだったので、比較的スムーズに進めることができました。
さまざまな形でココナラをご利用いただきましたが、費用に対する感想も教えてください。
かなりリーズナブルでびっくりしました!たとえばパース作成などは設計事務所に依頼すると数十万円程度かかると思いますが、ココナラでは数万円程度に収まったんです。正式な設立に向けては改めて作成し直す必要はありますが、補助金申請向けとしては十分なクオリティでした。
パースも含め、作成した資料はさまざまな人に見てもらいましたが、かかったコストを伝えたところ皆さん一様に驚かれていましたね。
地方在住の一次産業従事者こそ、ココナラで全国の専門家を頼るべき

先ほど中瀬さんは「ブランディングの重要性」について語られていましたが、その取り組みにあたってココナラを利用されたケースはありますか?
農産物って本当に難しいんです。新技術や糖度など、客観的な事象や数値などはもちろん強みにはなりますが、それだけで差別化することはできません。やはり歴史や生産者の思いなども含め、「ストーリー」を伝えることがとても大切であると考えています。
そのような中、ココナラで利用したのが「家系図の作成」や「文献資料から先祖の情報を探す」といったサービスです。こんなサービスがあることに驚きました(笑)。結果としては現状商品のブランディングに活用するような情報を得ることはまだできていないのですが、明治時代に国家運営に尽力した中瀬利蔵という先祖がいたことを知りました。その思いを受け継ぐ意味で、新たに立ち上げた福祉事業の法人を「株式会社ReZou」と名付けるなど、事業全体としては役立てることができています。
ありがとうございます。
それでは最後にココナラの利用を検討されている方に向けてメッセージをお願いします。
今後農業は競争力をつける意味でも、当たり前の「ビジネス」として事業化していく必要がより強くなっていき、現在その過渡期にあると感じています。一方で農業に携わっているのはほとんど地方の方で、家族経営が中心となっており、有用な情報はあまり入ってきません。結果として、多くの農家は良い農産物を「作る」ことだけに集中し、お客さまに「伝える」ことや、雇用を生むような事業へと成長させるところにまで手が回らないのではないでしょうか。
仮にそういったことに対して課題や不安を感じたとしても、周りに相談できる人がなかなかいないというのも現状です。そんな時こそ、ココナラを通じてさまざまな分野の専門家に相談してみてはいかがでしょうか?思ったよりも簡単に協力してくれる人が見つかるはずです!
株式会社なかせ農園
設立 :2016年7月1日
公式サイト:https://www.nakase-nouen.com/
ご利用サービス
