気づいたらもうその世界線は近い近未来小説:パパ+【朗読動画】

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 おはようございます。こんにちは。こんばんは。ブログを閲覧いただきありがとうございます。

 youtubeにて「語り部朗読BAR」というチャンネルを運営しております。
 自身で小説を書き、声優さんに朗読していただいたものに動画編集をして公開しております。
 たまに作者自身の北条むつき朗読もございます。
 今回ご紹介の朗読動画は、気づいたら、人となりにいるかもしれないお話です。
 良かったら聴いていただけると嬉しいです。

・朗読動画もご用意しております。
・文字をお読みになりたい方は、動画の下に小説(文字)がございます。
◉パパ 第1話
作者:北条むつき
朗読:徳留理沙

 男性は、朝7:00に目覚ましで目が覚めた。セミダブルのベッドには、史奈《ふみな》が寝息を立てていた。
 男性は、史奈を揺すり起こした。史奈はゆっくりと目を覚ました。

「やだあ、今何時?」
「7:00」
「ああ、よかったあ。朝ご飯の支度するわね」
「ゆっくりで、いいよ? 麗蘭《れいら》起こしてくる」

 男性は、隣の部屋でひとり眠る娘の麗蘭の部屋をノックする。

「はーい」

 中からもうすでに起きているのか、娘の麗蘭の声がした。

「パパね? もう麗蘭起きてるから大丈夫」

 男性は、麗蘭の言葉を聞くと、無言でその場を離れた。男性は、史奈のいるキッチンへとゆっくりと動き、やってきた。

「ああ、パパは、仕事の準備でもして、待ってて、あと45秒だから」

 男性は、キッチン横にあるリビング部屋に行き、カーテンを遮光カーテンを開け、ブラインドへと切り替えた。
 男性は、壁掛けモニタに言葉を出し、モニタの電源を入れた。画面上では、本日の天気予報と同時に、1日の占い予報が放送されている。男性は、史奈と、麗蘭を呼んだ。

「ああ、ごめんごめん。パパ。これ大事だもんね」

 史奈と麗蘭は慌てて、部屋にやってきて、モニタに釘づけになる。

『11月A型生まれのあなた:今日は絶好の告白日和。良い出会いに巡り合えるでしょう。11時15分頃、異性の視線を感じたら、積極的に声をかけてみましょう』
「麗蘭、あなたのことよ? でも、変な男には気をつけなさい?」

 母の史奈が、学生の麗蘭に諭すように言った後だった。12月生まれO型の史奈の1日占い予報が流れ出した。

『12月O型のあなた:今日の出会いはbudな予感。出かける際は、車に注意してみましょう。ラッキーアイテムは、先取りマフラーです』

「ああ、うっそ。マフラーってまだ早いわよ!」

 史奈はモニタにひとり突っ込む。男性は、史奈に近寄り、肩に手を充てた。

「まあ、まあ、史奈。今日は出かけるのは、控えようか?」
「パパ? そんなことより、キッチンの朝ごはん用意して」
「わかったよ。Hey! Android! 料理をテーブルへ」

 男性が声をかけると、一瞬でテーブルに料理が乗った。

「パパ、仕事行ってる間、洗濯物と掃除、買い出し、夕ご飯の支度お願いね?」
「わかったよ。史奈。いつもの通りに」
「ああ、パパ、私の部屋の掃除もお願い」麗蘭が小さく誤りながら、男性に声をかけた。
「わかったよ。麗蘭。その代わり、今日の占い、当たったら相手を教えてくれ」
「いいわよ? パパ」

 2025年の世界。
 宅用家政ロボットpapaというアンドロイドAIが発売された。見かけは、普通の男性の平均身長175cmで、顔は自分の好きな顔に映るように自動設定される。見る人によって、顔が変わる。体格はロボットでなく、生身に近い骨格。好きな服装にチェンジができる。
 同時に宅用家政ロボットmamaも同時発売。
 価格は2019年のiphone11と同様の値段らしい。単身家庭の強い味方になるかどうかは不明。


◉パパ 第2話「パパとママ」
作者:北条むつき
朗読:Meg

 女性は、朝6:00に目覚ましで目が覚めた。ダブルベッドには、ヒロキが寝息を立てていた。
 女性は、ヒロキを揺すり起こす。ヒロキは目を擦りながら、鼻声で女性に言う。

「ん? ぅうん? 今、何時?」
『6:00』
「ああ、よかったあ。まだ間に合う! ジョギングしてくるから、ママは朝ごはんの用意したら娘のサヤを起こして。あっ、ちょっと水を用意しておいて」
『無理です。お父様……』

 女性は、そうヒロキに答えると、扉を開けてキッチンへと向かった。ヒロキは片目を瞑り、頭を掻いて独り言を言った。

「やれやれ……。また不具合か?」

 ヒロキは、ベッド脇のローボードにおいてあるスマートフォンを手に取り、あるアプリを開いた。
 虹彩認証を要求されて、スマホのカメラを顔に向けた。

【認証完了! ヒロキさま、どうされました?】

 スマートAIの音声にヒロキは問いかけた。

「あぁ! これで何度目かな? 先日、お宅で購入した宅用家政ロボットがまた不良で、可笑しいんだけど」

 すると、スマートAIがまた問いかけた。
【ヒロキさま……。申し訳ありません。現在学習段階のフェーズを経ております。もうしばらく時間が必要です】

 スマートAIの音声を聞くと、ヒロキはため息を吐きながら、スマートフォンに向けて朝6時にも関わらず叫んだ。

「あのさ? 高い買い物したんだよ! 幾ら払ったと思ってんだよ! 旧世代のお手伝いロボットとは違うって言ったよね?」

【では、本日お取り替えをしますので、何時に伺えばよろしいでしょうか?】

「はあ? これで3台目! わかってんの? 次ダメだったら返品だからな!」

 そうスマートAIに告げるとヒロキは朝7時までに来いと言い、アプリをシャットダウンをしてスマートフォンをベッドに放り投げた。
 ヒロキとスマートAIとのやり取りが聞いていたのか、キッチンへいくと、宅用家政ロボットmamaが、しゃがみ込み目元に手をあて泣いているようにも見えた。
 まさか、家政ロボットが人間みたいに泣くのかと思い、ヒロキはmamaに声をかけた。

「何を泣いてんだ? ロボットでも涙が出るのか?」

 そう言うヒロキを見上げmamaは目を潤ませていた。

「おいおい! 感情があるとは聞いてたけど、そこまで人間っぽいんじゃやりにくいなぁ……。ってかさっきのアプリとの通話聞こえたの?mama」

『聞こえました。返品ですか? お父様……』

「チッ……。お父様って……誰? 俺、お前の父親でも何でもないの! 娘のママ代わりと家政婦代わりに購入したのに……。使えねーな……」

 そんな痴話喧嘩風に家政ロボットmamaの相手をしていると声が聞こえたのか、キッチン横の部屋からサヤが現れヒロキに言う。

「パパ……。ナナミちゃんをいじめないで……」

 ヒロキはサヤに振り向くとこう言った。

「ナナミちゃんって誰? mamaは家政婦のロボット。お手伝いさんだよ? サヤちゃん?」

 するとサヤはヒロキを睨みつけて言った。

「papaなんて嫌い! 何がヒロキよ! あなた人間のつもり? ロボットはあなたよ。papaシャットダウン」

 サヤは、ヒロキの腰横にある再起動ボタンを長押しした。

「おい! サヤ! やめなさい……わ・た・し・は……ぱ・ぱ……」

 サヤはやれやれと手を挙げ、リビングへ向かう。ベッド脇のスマートフォンを取りアプリを立ち上げた。

【虹彩認証完了! 社長、どうされましたか?】

 スマートAIの音声がサヤに聞き返す。

「mamaはまだマシだけど、papaはまだ改造の余地ありそうね……。今月の実験テストはこれで完了にしたいの。まだまだ先は長そうね? 私を幼稚園児に設定してたのはいいけど、他がダメ! やり直し! これじゃあ、次世代の家政ロボットの販売は見送りよ!」

 するとスマートAIから男の声がする。

【申し訳ありません社長。テストフェーズはこれで終了しますね】

「えぇ。さっさと回収して、実験繰り返して! 発売目標は来春なのよ?」

 女社長であるサヤがそう言うと、スマートフォンの音声は切れた。

 2025年の世界。家庭用家政婦ロボットが販売開始されて数年。こんな実験が行われ、製品作りに携わる人がいるかもしれない……。


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