キャリアと収入について考えたこと ~所得と税のはなし~

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自分のキャリアを考える時に、収入のことを考えない人はほとんどいないのではないかと思います。自分のやりたいことができるかどうかの度合いと、収入は増えるのか、減るのか、あまり変わらないのか、を総合的に考えて生活が無理のない水準で成り立つように決断をしてゆくでしょう。

ご自分や家族の人生がかかっていますので、安易な思考や拙速な決断をできるだけ避け、自分自身の内省と周囲からの助言に耳を傾け、悔いのない道を選ばれるように、自律的な思考と行動を意識してまいりましょう。そうすることでコミットメントが高まり、より良い成果につなげる意欲も湧き出てくると思います。

ご自身のキャリアプランを計画する際には、ファイナンス面、とりわけ時系列のキャッシュフローをおさえておくべき、という話を、以前のnoteで書きました。キャッシュフローを明らかにするための変数となるのは大きく収入・支出・貯蓄・投資であります。今回は「所得と税」の話から、収入について考えてみたいと思います。

収入と所得は別のものでして、簡単に言うと、収入に対して最低限考慮されるべき経費や担税上・社会政策上の物的人的配慮を差し引いて(控除)、課税の対象にしますよ、というのが所得です。その所得に対して、所得の金額の大きさに応じた税率が課され(超過累進税率といいます)、「所得税」として国家に納めることとなります。

所得にはいくつかの種類があって、みなさんがキャリアを考えたときに、自分の収入はどの分類の所得になるのか?ということをおさえておくと、今後いわゆる「手取り額」の検討をするのに役立つと思います。

【所得税における所得の種類】
 ・利子所得
 ・配当所得
 ・不動産所得
 ・事業所得
 ・給与所得
 ・譲渡所得(総合)
 ・一時所得
 ・雑所得
 ・退職所得
 ・山林所得
 ・譲渡所得(土地建物等)
 ・譲渡所得(株式等)

たくさんありますよね。みなさんの今後のキャリアに深くかかわりそうなものはどれでしょうか。今回は細かくご説明しませんが、各所得にはそれぞれの算出のしかたがあります。会社員なら給与所得と退職所得はしっかりおさえておきたいですね。会社員をしながらフリーで副業をするとなると、雑所得や内容によっては事業所得について知っておく必要がありますね。土地建物等の資産をお持ちで活用しようという場合は不動産所得や譲渡所得でしょうか。投資家になるんだ!という人は利子所得や配当所得、株式等の譲渡所得など。

とりわけ給与所得は給与の支払い者に源泉徴収義務がありますので、会社員の方は普段はあまりその詳細な内容に触れることがないのではないか、と思います。今ぐらいの季節なら、もうすぐ年末調整の時期だな~、といった感じでしょうか。一度、ご自分の給与収入と実際の手取り額について給与明細を頼りに1年分追いかけてみるとよいでしょう。自分の見えないところでずいぶん多くの支払いをしているものだなあ、と実感するのではないかと思います。そしてその支払っているものの中身にも関心が向いてくるでしょう。

(注:年間の給与収入103万円以下の場合は所得税の納税対象になりません)
また、課税の対象になる所得金額を決める上では、以下のような控除(所得控除)があります。

【所得税における所得控除】
・雑損控除
・医療費控除
・社会保険料控除
・小規模企業共済等掛金控除
・生命保険料控除
・地震保険料控除
・寄附金控除
・障害者控除
・寡婦控除
・ひとり親控除
・勤労学生控除
・配偶者控除
・配偶者特別控除
・扶養控除
・基礎控除

すごい数ですね。こちらも今回は細かいご説明はしませんが各控除にはそれぞれ算出のしかたがあります。これだけの、言ってみれば課税上の配慮があるのです。さらには、課税額が決定した後に差し引く「税額控除」がありますが、住宅ローン控除や配当控除はその代表格です。これらを適用できるものはしっかり適用することで、収入から適切な額の納税をし、また社会保険(公的年金や健康保険など)を支出し、ようやく「手取り額」となります。

このように、仕事と生活全般にかかわりがある所得税の成り立ちを概要だけでも知っておくと、今後のご自身のキャリアや家族のライフプランを検討する際に、いろいろと役立つことがあると思います。特に、会社員を続けながら副業・複業をこれからなさる方や、定年退職を機に起業・独立をなさる方は、これまでなじみのない確定申告が必要になる場合もあります。どういった種類の収入や金額に対して準備が必要になるのか?は、ご自身のキャリアプランに応じた収入見通しを明らかにした上で、一般的な情報を得たい場合はFP、個別の税額相談や税申告相談は税理士に相談していただくのがよいでしょう。

キャリアプランとファイナンスプランの両面をできるだけリアリティのある数字を用いて検討することは有意味なことです。将来に向けて実現性の高いキャッシュフローの確保を明らかにすることができれば、ご自身の意欲を高めたり、自分だけではない周囲の安心感を醸成したりすることにもつながります。ひいては、一歩を踏み出そうとするあなたのことを応援してくれる人を得ることにもなるでしょう。ぜひ、ご自身のキャリアと収入について、一度見つめなおしていただけたらと思います。

今回はキャリアと収入についてお話しました。私は2023年9月からライフキャリアデザインカウンセラーを名乗り、個人や世帯の職業生活設計や資産設計のお手伝いをしようと決意し、今の会社での仕事を続けながら複業をすることにしました。保持資格としては国家資格キャリアコンサルタントとAFP(日本FP協会会員)をコアスキルとして、これまでの会社生活や人生経験で学んできたことを活かして会社内や地域社会に向けた価値創造につなげようと考えています。

私は来談者の方に今回お話ししたような支援でお役に立つことを使命とするライフキャリアデザインカウンセラーでありたいと思っています。ご関心を持っていただいた方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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