人に相談するということ ~人間中心の実践~

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コラム
人間誰しもが、うれしいことがあったり、困ったことがあったり、悲しいことがあったり、色々な出来事が起こりますよね。その時、誰かに話をするということは、とても意味のあることだと思います。

誰かに自分のことを聞いてほしい、と思い、すぐにその「誰か」がそばにいて話を聞いてくれることは、本当にありがたいことではないでしょうか。自分で独り言を言うのとは違って、話す先に相手がいるということで、その相手が自分の鏡になってくれることがよく起こることなのだと思います。

相手に話している自分や相手から返ってきた言葉に何かを感じたり、気づいたりする自分が映ったり、はたまた相手から返ってきた言葉に驚いて内省を深めたりする自分を相手の中に見ることもあります。最初相談したかったことを話しているうちに、自分が気付いていなかった本当に相談したかったことが自分の中ではっきりしてくるとか、そのような作用は聞き手が話し手の自分にしっかりと寄り添ってくれている結果としてあらわれたりするものです。

「あなたがいてくれることで、気付けたよ。」「ふたりで話したことが良かったよね。」「ひとりで悩んでいたら抜け出せなかった。」などの言葉を、聞き手としての私が受け取ることがしばしばあります。その時に、私は、ああ、この場にいることができてよかったなあ、と心の底から感じます。話し手の方が何かを自分で掴み取る瞬間のために、かかわり、貢献できていることが私の生きがいになっていると思います。

私がどのような自分自身の在りようを大事にして人の話を聞いているのか?についてお話ししようと思います。

他者にかかわる時に、「その人は自分で建設的・成長的方向に向かう力を持っている。」という観点を持つことを唱えたのは、心理学者のカール・ロジャーズです。さらにロジャーズは「その力は、人間尊重の姿勢が貫かれた人間関係においてよりよく発揮される。」と言っています。このような仮説(ロジャーズの基本仮説といいます)に基づいた人間中心の実践を「パーソンセンタード・アプローチ(PCA)」と言います。

先日、私はPCA実践の学びの場に参加をしました。そこで、PCAを実践するカウンセラーの基本的態度として、下記の3つが挙げられました。
 「自分自身が相手との関係において体験していることに向き合い一致していること」
 「相手の存在に対して無条件に積極的関心をもつこと」
 「相手の気持ちをあたかも相手が感じているがごとく共感的に理解すること」
 (※以上は私自身の理解にもとづいた表現にしています。)
そしてその3つは一体となって実践されていることが求められます。私はワークを通じて、この3つの実践の大切さと難しさを体感的に理解しました。

話す・聞く(聴く)という人間相互の営みは、感情・思考・記号化・送信・受信・解読・受容・価値観・自己概念・他者認知・性格、などの要素が絡み合い連鎖する非常に高度なプロセスです。このプロセスとともに3つの基本的態度を統合し実践してゆくことは、実際にやってみると並大抵のことではないことを実感します。

例えば、「話し手が言ったことをしっかり味わい受け止め、話し手に伝え返す。」ということひとつとっても会話の中でそれを意識的に実践し成立させることは難しいことなのですが(考える速さは話す速さの10倍以上だと言われることもあります)、聞き手として3つの基本的態度を実践して話し手の方に伝え返すことで、話し手の方が少しずつ内省的に自分自身のことを振り返り、場がいっそう深まっていくことを体感しました。この人間中心の実践があるからこそ、建設的・成長的方向に向かおうとする他者への貢献が生まれるのだと、深く理解することができました。

私はPCAの学びの場を通じて、人に相談するということは、それを受け止める側(聞き手)の資質により結果が大きく左右されるということ、「誰に相談するかで、自分の人生がどうとでも変わる可能性がある。しかもその結果は自分が選びとったものである。」ということを学びました。これは話し手の方にとって、極めて重大なことではないでしょうか。そして、聞き手の側も、話し手の方に対して、「聞く(聴く)」ということに果たすべき責任をもっているのではないでしょうか。

ですから、私は、私の思う解決方法や私の好みの行動パターンを話し手の方に披露したり押し付けたりするよりは、やはり話し手の方が私を媒介にすることで自分自身で気付いたり、決断したりするための「何か」を手に入れてほしいと思うのです。そのために、私は基本的態度の実践を心掛け、自分自身のリソースを話し手の方に誠実な態度で提供し、聞き手としての責任を果たします。その結果、話し手の方に「この人に相談してよかったな。」と思っていただけたのなら、私にとってこれ以上嬉しいことはありません。この記事を読んでいただいているみなさんはいかがでしょうか。人に相談する時、または人から相談されるときにどのようなことを大事にしようと思いますか?

今回は人に相談するということについてお話しました。私は2023年9月からライフキャリアデザインカウンセラーを名乗り、個人や世帯の職業生活設計や資産設計のお手伝いをしようと決意し、今の会社での仕事を続けながら複業をすることにしました。保持資格としては国家資格キャリアコンサルタントとAFP(日本FP協会会員)をコアスキルとして、これまでの会社生活や人生経験で学んできたことを活かして会社内や地域社会に向けた価値創造につなげようと考えています。

私は来談者の方に今回お話ししたような支援でお役に立つことを使命とするライフキャリアデザインカウンセラーでありたいと思っています。ご関心を持っていただいた方がいらっしゃいましたら、ぜひお声がけください。

最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

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