愛猫

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コラム
 我が家には20歳になる雌猫メルがいる。生後間もなく拾われてきたのだから長い付き合いになるのだが、私とメルが親密になったのは、ここ3年のことだ。
 うちのまわりには沢山の猫たちがいて、餌だけをもらいにくる外猫、家を自由に出入りする猫、ここ何年の間入れ替わり立ち替わりしてきた。そんな中唯一の完全な家猫がこのメルである。
 メルが拾われてきてから17年間は、家の中で会っても挨拶程度の仲で撫ぜたり触ったことすら無かった。と言うのもメルは家族の中でも父にしか心を許していなかったからだ。父以外の家族にとってメルは他の愛嬌たっぷりの猫達に比べ可愛げのない存在だった。
 3年前父が他界し、メルの世話は全面的に私が引き継ぐこととなった。最初は、この気難しい猫と上手くやっていけるのか大いに不安であったが、いざ付き合ってみるとこれが堪らなくかわいい。本人の気分次第なところはあるのだが、座れば膝の上、うつ伏せになれば顎の下、仰向けになれば胸の上と離れない。人間でいえばとっくに老婆の年齢なのだが、まるで赤ちゃんのようにかわいい。
 メルの愛くるしさを17年間も知らずにすごしてきたとは、なんともったいないことだろう。

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