ABRSM(英国王立音楽検定)の音楽理論グレード8にDistictionで合格しました!

告知
音声・音楽
6月にイギリスで行われた音楽理論(Music theory)のグレード8の筆記試験を受けてきました。

今日は、今回試験約3カ月前からグレード6~8の内容を全て勉強し、無事グレード8にDistinctionで合格した経験を書いてみたいと思います。

ABRSMの音楽理論の一番高いレベルであるグレード8。
グレード5までの答えが決まっている問題とは違い、6からは和声学や作曲の課題、スコアリーディングも加わるため大きなレベルの差があります。
グレード6はまだ比較的基礎問題が多いですが、8になるとレベルもぐっと上がります。

今回受けてみて良かったことは、和声学や音楽理論をこれまでと違った角度からも勉強できて、新しいことができるようになるのは本当に面白いなぁと楽しみを見いだせたことです。

音楽理論グレード8の試験の内容

公式ページに記載されている試験内容は、以下の通りです。
公益財団法人かけはし芸術文化振興財団のサイトより引用)
■グレード8 
グレード7までの内容に加えて、和声上の範囲がさらに拡がり、全音階的音階、半音階的音階におけるすべての和音が含まれます。

1. 与えられた冒頭部分に続けての創作課題。出題はバロック様式のトリオ・ソナタで、編成はト音記号で記譜される2つの楽器と通奏低音。

2.鍵盤楽器のための短い楽曲の、抜けている部分を書いて楽譜を完成させる。ハイドン以降の時代の作曲技法の知識を要する。

3.与えられた曲の冒頭部分に続けて、旋律を創作(楽器の選択肢あり)。

4.ピアノ譜、または混声合唱のオープン・スコア、または声楽を含むアンサンブル・スコアからの抜粋より設問。装飾記号の奏法や和音分析、楽句の構成、様式、声楽や楽器の演奏法を含め、楽曲分析や読譜力の知識が広く問われる。

もう少し簡単な言葉にまとめると、こんな内容です。求められる知識もそれぞれ違います。

sheet-music-4121938_1280.jpg


問題1. バロック時代のトリオソナタの楽譜の上2声の音を書き足し、曲を完成させる問題です。
→時代に合った和声学や、その曲のパターンを見つけ展開していく技術が必要になります

問題2. 古典派以降のピアノ曲の抜けているところを埋め、曲を完成させる問題です。
→その曲の時代やキャラクターを見抜き、作曲をする上での構造を組み立てる技術が必要になります。

問題3. 指定された楽器や、曲の冒頭部を使って、メロディーを作曲します。
→楽器の音域や特性を理解していることや、調性に関する知識(転調の仕方など)、また法則を守っただけの単調な曲ではなく、いかに完成された「作品」を書けるかが問われます。

問題4. 鍵盤楽器の楽曲分析の問題です。
→楽譜を読む上で大切な、時代ごとの特性や和声学の知識があること、また形式や音楽用語の知識も求められます。

問題5. オーケストラスコアの楽曲分析の問題です。
→スコアを読む上で大切な、全ての楽器の知識が幅広く問われます。演奏法についても一通り知っていなければ解けません。

グレード8のレベルは、音楽大学生のレベルです

専門的な知識を付ける勉強をしてきていないと、すぐに解ける内容ではないです。
また、作曲の課題は、「規則を守れているかどうか」という単純な採点ではなく、その曲のキャラクターを理解した上で「いかに工夫された、芸術的に完成されたものであるか」という評価基準であるというのも、難しい点だと思います。
でも、その分とてもやりがいのある、内容が詰まった試験ですね!

グレード8の勉強法

試験のときは、もちろん自分が書いた音をピアノを弾きながら確かめる…なんてことはできません。
普段から、音を頭の中で鳴らせる音がいくつ同時になったとしても和声の響きを頭の中でイメージできる音楽がどう展開していくかを組み立てられる、など試験のときにピアノがなくても作曲できるような訓練も必要です。

グレード5までは、音楽理論が得意な方であれば、独学でも可能かもしれません。
しかしグレード8になると、問題集にも答えは載っておらず、必ず先生に採点してもらいアドバイスをいただくことが必要になります。
これはABRSMの公式本にも書かれており「和声学を学ぶときは、どんな天才でも先生が必要だ」を記載されています。

私の場合は、問題4と5は独学で勉強しました。答えが決まっている問題は、自分で準備できると判断したためです。
グレード5までとは違って、音楽用語は範囲が決まっていません。そのため楽器名も含め、英語、イタリア語、ドイツ語、フランス語で全て意味を覚えなければいけません。かなり膨大な量ですが、こちらも勉強法は色々あります!

問題1~3は、イギリスで現地の先生に何度か課題をチェックしていただきました。
先生はもちろん音楽理論グレード8を持っている方で、音大出身のプロの作曲家であり、オルガニストであり、指揮者であり…とたくさんの経歴を持つ方です。

グレード6、7をそれぞれ2回ずつレッスンを受け、グレード8に進みました。(毎回たくさんの課題をまとめて提出しましたが、丁寧にチェックして、コツをたくさん教えていただけました!)

こう書くと「そんなに短期間で簡単にできるんだ」と思われるかもしれませんが、私は中学生から和声や音楽理論を本格的に勉強していて、ある程度の基礎知識があるためです。
和声学も、高校・大学と最低7年は勉強しています。残念ながら、和声学は少しやっただけですぐにできるような簡単なものではなく、苦手に感じる方も多いでしょう。
私自身、和声学はとても好きですが、最初は苦労した記憶があります。そのため勉強法や対処法もレッスンでお伝えし、より短期間で分かりやすく理解していただけるようにお手伝いできればと思っています。

関連記事
音楽理論グレード5合格!
音楽理論グレード2合格!




そしてグレード8のレッスンを3回ほど受けたところで、先生から
「もう何も言うことはないし、とてもよくできている!絶対合格するから頑張ってきてください!」
と言われ、試験を受けることになりました。


試験時間は3時間!

幅広い試験内容を考えると、見直しをたっぷりするためにも試験時間の3時間は全部使おうと決めていました。

試験会場では、私も含め皆緊張している様子でしたが、問題を解くのに1時間半、後半はひたすら見直しをしてじっと過ごしました。
最後の10分にふと間違いを見つけたりしたので、やはり持ち時間は全て使うことをお勧めします。

ちなみに、私がイギリスで音楽理論のグレード5(筆記試験)を受けたときは、2回の見直しを含め15分で終わり、退出許可の出る試験開始40分の時点ですぐに会場を後にしました。
こう書くと、グレード5と8の間にいかにレベルの差があるかご想像いただけるかと思います。

結果として、Distinctionで合格でき、とても嬉しく思っています。
慎重に、徹底して準備をしてきたので、いい結果に繋がり良かったです。
グレード8までの内容の攻略法や勉強法を自分で知り理解できたので、これからはこの経験をレッスンでも生かしていきたいと思います。


よりレベルの高い音楽理論の勉強をされたい方には、グレード6~8の試験は本当にお勧めの検定です!

グレード6~8のオンラインレッスンをご希望の方には、分かりやすく最短で合格できるよう、レッスン内容を計画して進めてまいります。メッセージまたはお見積もりからご相談ください。あなたのお力になれたらとても嬉しいです!


その他のレッスンはこちらをご覧ください。

ABRSMの音楽理論グレード5合格までご指導します。60分ビデオチャットレッスン


↓今年合格したい方へ ABRSMのグレード5合格のための90分×5回集中レッスン


↓英国王立音楽検定のための60分ピアノレッスン


↓これまでの自身の演奏経験や本番で集中するための方法を研究してきた経験から、このようなレッスンを新しく始めました。あなたの集中力を妨害するものを、レッスンで一緒に取り除いていきます。
「緊張する本番で最高の演奏をするための対策を教えます 最大限のパフォーマンスをするための30分カウンセリングレッスン」









サービス数40万件のスキルマーケット、あなたにぴったりのサービスを探す