【私を見て~!】

記事
コラム
 私は、女子スポーツ界の中で、スピード
 スケートの高木菜那選手が大好きである。
 平昌オリンピック時に「一言惚れ」した。
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 姉妹揃って平昌オリンピックに出場して、
 女子団体追い抜きで共に金メダル。更に、
 女子マススタートで二個目の金メダルを
 獲得した。五輪で日本の女子選手が同一
 大会で「金」2個を獲得するのは夏季を
 含めて史上初の快挙となったのだそうで、
 競技終了後のコメントで「取りたいとは
 思っていたけど、まさか取れると思って
 いなかったので一寸信じられない気持ち
 でいっぱい。新しい種目で結果を残せた。
 美帆だけじゃなくて、菜那もいるんだぞ
 と見せられた」と喜びを口にしたという。
 「美帆だけじゃなくて菜那もいるんだぞ」
 この一言に私はすっかり参ってしまった。
 正に「一言惚れ」してしまったのである。
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 この大会で注目を集めていたのは、妹の
 高木美帆選手であった。姉と共に団体で
 金メダル、1500メートルで銀メダル、
 1000メートルで銅メダルと、一つの
 大会で金銀銅メダル全てを獲得していた。
 そのためか、高木菜那選手にしてみれば、
 「高木美帆の姉」として見られていると
 感じることが多かったのだろう。自身も
 オリンピックに出場するほどの一流選手
 でありながら、「高木菜那」ではなくて、
 「高木美帆の姉」として見られることに
 複雑な気持ちもあるだろう。それだけに、
 自身2個目の金メダル獲得という快挙を
 成し遂げて、「高木美帆の姉」ではなく、
 「高木菜那」として輝いたことに対する
 喜びが、「美帆だけじゃなくて、菜那も
 いるんだぞ」と言わせたのだろうと思う。
 「私だってやるんだぞ」という自己主張。
 そこに私は健気なまでの自己承認欲求を
 見た。そして、とてもいじらしく思った。
 世間に対して、「俺もいるぞ!」という
 気持ちは私にもある。だから共感できる。
 そんな訳で、「一言惚れ」したこの人の
 ことが私は大好きでたまらないのである。
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 人は誰でも、人生において複数の役割を
 持っている。つまり、親にとっては子供、
 子供にとっては親、上司にとっては部下、
 妻にとっては夫、というように向き合う
 相手によって自分の立場・役割が変わる。
 この複数の役割は「ライフロール(人生
 役割)」と呼ばれ、この論理で言うなら、
 高木菜那選手は高木美帆選手にとって姉。
 その範囲内で世間から、「高木美帆の姉」
 と呼ぶ分には良いだろうが、一般社会で
 一個の社会人として向き合っていくなら、
 「高木美帆の姉」ではなく、「高木菜那」
 として本人が構え、世間もそう見るべき。
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 渡瀬恒彦は、あるドラマで共演した役者
 に「○○(当時の人気芸人)の弟の××
 です」と挨拶された際に、「それは違う、
 あなたは××でしょ」、「誰かの弟では
 なく、あなたはあなた自身」と諭したと
 いう。「○○の弟の××」は、あくまで
 「ライフロール(人生役割)」上の立場。
 一社会人としては「××」という一人の
 独立した人間である、という構えでいろ、
 ということなのだろう。「誰誰の姉」や、
 「誰誰の弟」としてではなく、そうした
 「ライフロール(人生役割)」も持って
 いる「自分自身」として生きろ、世間に
 見せていけ、ということでもあるだろう。
 「美帆だけじゃなくて菜那もいるんだぞ」
 という言葉は、正に、これにあてはまる。
 「高木美帆の姉」としてではなく、その
 「ライフロール(人生役割)」も持って
 いる「高木菜那」自身として見てほしい。
 自己承認欲求として当然の気持ちである。
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 松本白鴎と言えば、歌舞伎界の大御所で、
 様々なテレビドラマにも出演し、NHK
 大河ドラマでも、市川染五郎だった時と
 松本幸四郎だった時の二度主演している
 凄い人だ。尚且つ、松たか子の父である
 (上の娘さんは、「相棒」の伊丹刑事と
 結婚されています)。で、もう何年も前、
 松たか子が大ブレークしていた頃、ある
 舞台挨拶に父娘で出た時のことだったが、
 当時松本幸四郎だったこの方、いきなり、
 一言、「松たか子の父です」と言ったと
 スポーツ新聞か何かで読んだことがある。
 親子の情か?余裕のファンサービスか?
 はたまた自虐か?(それほどこの当時の
 松たか子の人気は凄かった)、いずれに
 せよ、自分自身がこれまでに十分自分を
 見せることができていて「俺もいるぞ!」
 という気負いがないからこそ、こういう
 対応ができるのだろう。私には不可能だ。
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 それでは、最後に一言、「私を見て~!」
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 駄文の御閲覧、心より感謝申し上げます。
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