元商業デザイナーが考える受注しやすいデザイナー、イラストレーターの条件と制作現場の実態、いかに効率的に仕事を回すかの方法論

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ビジネス・マーケティング
前回に続きまして仕組みのお話です。

クライアントサイド、代理店サイドにいるとなかなか見えない、制作現場のお話。

何度修正させても期待通りのデザインが上がって来ない、イメージしたイラストと違う(まあこのあたりは代理店やディレクターの裁量の見せ所ではありますが)
いったいどうなっているのか、どこに問題があるのか、なんてケース。
クライアントサイドのADに制作知識があったりするとスムーズなケースは多いですが(逆にADが仕事が出来すぎると自分は出来るので新人デザイナーの苦難の修行みたいなケースも)
結構な頻度で「それは非効率だろう」「中間が機能しておらず逆に混乱させている」みたいな指示を見ます。

※笑い話ですが、WEBの案件であるにも関わらず、デザインは紙の会社に発注、コーディングはWebの会社に発注して回していたプロデューサーがいて、AIデータから書き出したJPEG1枚をPSDに貼り付けてコーディング用に納品して回していて、コーダーが発狂してびっくりして仕切り直しに入り、クライアント以外を全員集めてコーディングとは、背景とは、レイヤー分けとは、から説明した事も

正直、機能面は日々進化するので、そこに関して実制作者以外が常に詳細な知識をアップデートしなければとまでは思っておらず、分からなければ作る人に聞くみたいなやり方で良いと思っています。任せる所は信頼して任せる。
ただ、制作サイドも分からないなら分からないからと予算と納期をごまかしてうまい事言う人もいるので、無理難題を無茶ぶりして進行を滅茶苦茶にしない程度の知識と、あとは信頼関係と勘とバランスかなと。
制作現場サイドにも問題がある所は多いと思っていて、そのあたりどうなのかみたいな所も含めて書いてみたいと思います。
※企画、構成、撮影やライティングに関してはまた色々ありますが、今回はデザイン、イラストに話を絞ります
まず、制作会社にも色々あるとは思うのですが、ハッキリ言って社長に必要なのはデザインスキルや実績ではなく経営スキルで、クライアントとのアポに参加していない社長がデザインに口を出すのは非効率でしかないと思っています。
どこの会社もそうかもしれませんが、制作会社も同じく、「資金を稼ぐ運用部隊」「実績として会社の看板する為の運用部隊の稼いだ費用を使った実績部隊」があります。
この運用部隊に回されるとまあ大変です。いわゆる「美味しくない」仕事が多いのですが、会社としては重要。
大体の世の中の忍耐と理不尽耐性は身に付きます。
昔現実にあった話ですが、当たり前の新人ルーティンとして、
①制作会社ADチェック
②制作会社Dチェック
③制作会社社長チェック(ちょっと意味が分からない)
④代理店Dチェック
⑤クライアントADチェック
①~⑤を数回繰り返す、最終的にクライアント都合で施策方針、企画から変わる、はたまたなくなるまでありました
※実稼働費は勿論もらいます
このエンドレス繰り返しチェック&デザイン修正は、どんどんブラッシュアップされるならかなりメンバーに恵まれていて、そういうパターンも勿論あります、そういうパターンの時は周囲に感謝しかないです。
ただこの仕組みの罠は、必ずしも上記のパターンばかりではないという事。
最悪の場合、複数人が携わるチェック/FB/修正に一貫性がなく、
①から②の段階でひっくり返り作り直し
③の段階でひっくり返り一から作り直し
④以降同様、繰り返し
こんなケース、実はあったりします。
このようなケースの場合、制作会社のデザイナーはどんな生活を送っているか(経験則の一部)
①寝袋、スリッパ、毛布持参(予算削減でお客様に見られない制作スペースは寒い)、打ち合わせルームにて異性同僚と3時間仮眠、食事は会社が取り寄せる250円~の健康に悪いお弁当を食べる(たまに同僚と近隣でランチ)
深夜に会社にあるお菓子ボックスのお菓子をつまむ
※来客に見せられる場所にはシャンデリアとかワインブースとかある会社もあります
※撮影スタジオが隣接し社内でスタジオ所持してる制作会社もあります
②早朝シャワーを浴びて土日に衣類一式を洗濯に持ち帰り、1週間分の衣類、コンタクトなど宿泊に必要な一式をを会社に持ち込み出社
ある程度実績を積み、クライアントの前に出る場合身なりやスーツや靴も重要なので、それも持ち込み社内ハンガーにかけます
※緊急アポの場合最悪ドンキで衣類を買うケースあり
③タクシー代は出ないので自費
④企業によるかと思いますが、中途デザイナー泊まり込みで手取り20万は良い方の場合もあり
⑤近隣スポーツクラブ提携割引はあるが、営業時間内に通う時間は微塵たりともない
これは代理店の子会社ではない制作会社の一例なので、
大手代理店子会社の制作会社は、
親会社営業が新人の場合の苦労だったりまた別の苦労はあれど、社内環境はマッサージルームがあったり、親会社代理店と同じビルにある為環境はもう少し恵まれていたりするので、一長一短あったりはします。

他にも書き出したらキリがないのですが、この世界には、「収入度外視、三度の飯よりデザインが好き」と言い切る人が珍しくありません。

そうした価値観のライバル達が多いので、雇う側としては待遇を上げなくても代えがきいてしまう。
基本的に、「金銭以外でやりたい人が多い業界」の待遇は良くないのが世の中の仕組みです。

ただ、ここまで随分脅かしてしまったかもしれませんが、あまり怖がらないで下さい。キツいのは最初のうちだけで、その経験はいきますし、そんなキツい状況が永遠に続くわけではありません。
※そもそも、それをしも好きな事を仕事にしたいので、そんな事は気にならないという人も多いかもしれないですね。実際に見てきました

ではどうすればある程度余裕を持って生活できるような収入が得られるようにキャリアアップ出来るのか。

これについては、若いうちに修行して実力をつけるのももちろん有効ですが、一方でスキルアップの為の「時間捻出」も重要になります。
その為にはいかに効率化するか

一旦、親会社が代理店でない場合の制作会社に絞り、
まずはスムーズに効率化する改善策について記載します。

【対応策-制作会社サイド】

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