賃金デジタル払いが解禁されます。

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法律・税務・士業全般
4月から賃金をデジタル通貨で支払うことが解禁されます。

具体的には、厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者の口座へ資金移動する方法により、賃金が支払われる形となります。

労働基準法第24条では、賃金は通貨で、直接労働者に支払うことが原則となっております。ただし、労働者の同意を得た場合は、本人の口座へ振り込むことができます。

つまり、一般的に多い「銀行口座への振込」による賃金の支払は、あくまで例外的な方法なのです。

そして今回、デジタル通貨による支払いが解禁されます。
背景としては、やはりキャッシュレス決済が普及してきていることが一つ挙げられるでしょう。
厚生労働大臣の指定を受けた資金移動業者(指定資金移動業者)の要件としては、
① 銀行以外で為替取引(現金輸送によらない送金)を業として行う者
② 破産時の資金保全・不正引き出しによる損失補償
③ ATMで1円単位の受け取り
当の要件を満たした業者です。

なお、指定資金移動業者となるための審査に数か月かかるとのことですので、実際のスタートは、夏以降と見込まれています。
指定資金移動業者の一覧リストが公表されることになっております。

デジタル通貨で賃金を受けた場合(デジタル口座へ振り込まれた場合)、残高で電子マネーのように買い物をすることができます。

なお、ビットコイン等の暗号資産や、現金化できないポイントでの賃金支払は認められません。

デジタル通貨での受取額は、従業員が個々に決めることができます。ですので、賃金の全額でも良いし、一部でも良いことになります。
ただし、デジタル口座の残高上限が100万円までと決められておりますので、上限を超過した部分については、あらかじめ登録しておいた銀行口座へ送金されることになっており、その手続は先ほどの業者が行うことになります。

デジタル通貨による賃金支払が解禁されることにより、会社はどのような対応が求められるのでしょうか?

まず、デジタル通貨での支払いは、あくまでも従業員の希望が前提ですので、会社側が強要することはできません。
デジタル通貨での支払いを希望する従業員がいない場合、導入する必要はありません。

その上で、デジタル通貨での支払いを希望する従業員がいる(出てくる)事を想定し、以下の事柄をあらかじめ決めておくことが望ましいと考えます。
① デジタル払いとする項目(月給のみとするか、賞与も含めるか)
② 対象とする従業員(正社員のみか、すべての従業員を対象とするか)

また、今後デジタル通貨での支払いが具体化した際には、会社様にて
① どの指定業者にするかを検討・選定
② 希望する従業員との間で合意書を交わす

ことが必要となります。

また、賃金に関する事柄は就業規則や雇用契約書に絶対に記載しなければならないものですので、就業規則や雇用契約書の内容にもデジタル通貨払いに関する事柄を盛り込んでおくことも重要になってくるものと考えます。

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