NOと言えない私たち

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コラム
以前、私は外国人の多い企業で働いていた。

ある日、同僚が雑談として私に愚痴を漏らした。

同僚:「新しく日本に来た〇〇君、まだ車を持っていないから、買い物に連れ   て行ってほしいって頼まれたのよ〜。」
私:「うん。うん。」
同僚:「最初は、食料品ってことだったのに、次は寝具を買いに行ってもいいですか?次は家具を見てもいいですか?…って、結局いろろ回って、終わったの16時よ〜!はぁぁああ、まじありえない!疲れた。」
私:「…え?」

その同僚は、「2~3時間と思っていたのに休日が潰れた」、と嘆いていた。

私は思った。いや…、ふつうに「NO」って言えばよかったんじゃ…、と。

確認のため聞いてみると、やはり、その外国人の彼は”強要”したわけでなく、”(この後も時間があるか)尋ねた”のだ。そのうえで、「もう一軒いっていいか」とお願いしたのだ。

私は言った。

「多分、彼は、あなたから返ってくる答えが、YESとNOの可能性がどちらも半々くらいの予想で尋ねたんじゃないかな?」と。そして、「あなたが、次も次もYES、YESと言うから、逆にびっくりしたんじゃない?」とも。

***

私が海外に滞在していた時、強烈に思ったことがある。

「なんて、NOって言いやすい環境なんだ!!!」

みんな、気軽に何か頼んでくる。でも、周りを見ていると、本当に自分に余裕があるときしかYESと言わない。その代わり、余裕があるときは、みな気持ちよく引き受ける、さっぱりとりた時間の「貸し・借り」をしていた。

オフィスでものを頼む時は「言ってみるだけならタダ」みたいな雰囲気だった。その代わり、相手にも断る権利があることを承知している。そうして、ダメだったらまた暇そうな人を見つけに行く…。

それから、めちゃくちゃ気軽にデートに誘ったりもしていた(地域柄もあるかもしれないけど)。誘うのも自由!断るのも自由!そんなかんじだ。

自分がイイならYES、イヤならNO

本当の気持ちはNOなのに、無理してYESという人はいない。だからこそ、頼む側も無駄に気を使うこともなかったように思う。


***

けっこう昔だが、こんなこともあった。

友人が仕事帰りにご飯に誘ってきので、「今日は無理だが、明日ならOK」という返事をした。

翌日、友人は浮かない顔で口を開いた。

友人「…言いにくいんだけどさぁ。昨日、この時間、予定あるって言ったよね?」
私「うん。」
友人「…SNS更新してたよね?」
私「……( ゚Д゚)ナニカ?」

私は、一瞬なにが気に入らないのか理解できなかった。

当時、副業をはじめたばかりの私にとって、SNSの更新はビジネスの一環であった。

(こういうのは、時間を決めてやらないと、どんどんいろんな雑務に押されて結局できなくなるので)◯曜日の◯時〜はSNSを更新すること、と決めていた。

自分で決めた就業時間を守っただけだ。

ああ、そうか。友人から見れば、SNSの更新は遊び…自由時間なのだ。誘いを断ったのに、”自分ごと”やってんじゃん。暇だったんじゃん。予定あるって嘘ついたじゃん、って怒ってるのか。

…たぶん、理解し合えない感覚だと思ったので、丁重に謝ったが、フェードアウトされてしまった。(当時はドライに割り切ることができず、SNSを全削除したりして本業とリアルの友人に集中したりしたなぁ…)

***

まぁそんなわけで、日本の人間関係はなかなか生きづらい。

そもそも、暇だったら、その時間を相手の要求に合わせて使わないといけないのか?

…もちろん私だって、相手が困っていたり、急を要するようであれば、すぐに手を止めて手伝ったり話を聞いたりする。

しかし、冒頭の同僚と外国人の彼との出来事のように、なんだか日本では、「相手が納得するだけの理由」がない限り、断ってはいけない…ような雰囲気があるような気がするのだ。

そして、「なんかモヤモヤする」という感情が蔓延し、ネット上に「これって、私の心が狭いのでしょうか」という文言とともに吐き出される。


「その日は、自分の予定があるから無理」

と、気軽に言える人間関係がちょうどよいよね…と思う、今日この頃。


なんかモヤる日は、コールしてね。

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