個人事業主として従業員を雇う際、雇用保険への加入が必要かどうか悩んでいませんか?特に学生やダブルワークの従業員に対して、どのような条件で雇用保険が適用されるのか不明確で困っている方も多いでしょう。そこで、この記事では、個人事業主が知っておくべき雇用保険の加入義務や手続き方法について、具体的な対象者の例も交えながら解説します。この記事を最後まで読むことで、雇用保険に関する不安を解消し、スムーズに必要な手続きを進めることができるでしょう。
目次
個人事業主の雇用保険への加入手続きは義務?【学生・ダブルワーク】
雇用保険とは、従業員が休業や失業をしたときに給付金を受け取れる保険制度。
つまり、雇用保険は従業員のための保険制度と言っていいでしょう。個人事業主の方は「従業員」という立場ではありませんから、雇用保険には加入できません。
ただ、個人事業主の方が従業員を雇う場合、加入手続きの義務が発生することがあります。ここでのポイントは、「どんな方を雇った場合、加入義務が発生するか知っておくこと」です。
こちらでは、雇用保険に関する基礎知識と、加入義務が発生する対象者についてご紹介します。
雇用保険とはなにか
雇用保険とは、社会保険という枠組みのなかで分類された一つの保険制度。
社会保険 | 医療保険(健康保険) | |
年金保険 | ||
労働保険 | 雇用保険 | |
労災保険 | ||
介護保険 |
雇用保険は、労働保険の一つとして位置付けられており、従業員が休業や失業したときに、給付金を受け取ることができます。
- 求職者給付:基本手当と言われている給付金
- 就職促進給付:早期の再就職を目的とした給付金
- 教育訓練給付:キャリアアップ支援を目的とした給付金
- 雇用継続給付:高齢者・育児・介護の支援を目的とした給付金
参考:雇用保険|全労済協会
雇用保険への加入義務が発生する従業員
雇用保険の加入義務が発生する従業員とは、ずばり下記2つの条件を満たす全ての方です。
- 1週間の所定労働時間が20時間以上
- 31日以上の雇用見込みがあること
一方で、例外も多いのが雇用保険の被保険者(=加入義務が発生する人)の特徴。
こちらでは、なかでも特徴的な3つの例外をご紹介します。
- 専従者
- 学生
- 季節雇用
例外①:専従者は原則、雇用保険に加入できない
個人事業主の方のなかには、家族を従業員として雇っている場合もあるかもしれません。個人事業主が雇う家族の従業員のことを「専従者」と呼びますが、専従者は先ほどご紹介した2つの条件を満たしていても雇用保険に加入することは原則できません。
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ただ、専従者の方も下記3つの条件を全て満たすと、雇用保険に加入できます。- 業務を行うにつき、事業主の指揮命令にしたがっていることが明確であること。
- 就業の実態が当該事業所における他の労働者と同様であり、賃金もこれに応じて支払われていること。
- 事業主と利益を一にする地位(取締役等)にないこと。
要するに、「家族以外の従業員と、なんら変わらない条件で雇用されていれば加入できる」と理解しておけば良いでしょう。
例外③:学生アルバイトは雇用保険に原則加入できない
学生の多く、いわゆる「昼間学生(通信教育・夜間・定時制以外の学生)」がアルバイトとして働いている場合、こちらも原則雇用保険に加入することはできません。
しかしこれもまた、下記4つのいずれかの条件を満たせば、昼間学生でも雇用保険に加入することができます。
- 卒業見込証書を有する者であって、卒業前に就職し、卒業後も引き続き同一事業所に勤務する予定の者
- 休学中の方(この場合、その事実を証明する文書が必要となります)
- 事業主の命により又は、事業主の承認を受け(雇用関係を存続させたまま)大学院等に在学する者
- 一定の出席要件を課程修了の要件としていない学校に在学する者であって、当該事業において、同種の業務に従事する他の労働者と同様に勤務し得ると認められる方 。(この場合、その事実を証明する文書が必要となります)
要するに、「学生の本分(勉強)よりも、働くことを優先していい理由(休学、卒業間近)があれば加入できる」と理解しておけば良いでしょう。
例外④:季節的に雇用される人の特別な加入条件
日本には色んな仕事がありますが、なかには「季節」に左右される仕事をされている方もいらっしゃいます。
例えば、
- スキー場業者(雪が降らないと仕事ができない)
- 海水浴場で働く人(海開きしないと仕事ができない)
といった仕事です。
実は、このような仕事に従事されている従業員も原則、雇用保険に加入することができません。
そもそも、雇用保険とはある程度の期間、雇用され続けている従業員が加入できる保険制度だからです。
その点、短期雇用を毎年繰り返すような仕事に就く従業員は本来加入が認められません。しかし、「短期雇用特例被保険者」としての条件を満たすことで、先ほど挙げたような仕事(=スキー場業者、海水浴場の業者)に就く従業員でも雇用保険に加入することができます。
季節的に雇用される者のうち、次のいずれにも該当しないこと。
- 4か月以内の期間を定めて雇用される者
- 1週間の所定労働時間が30時間未満である者
その他の例外についてもっと詳しく知りたい
3つほど、特徴的な例外についてご説明してきましたが、他にも被保険者に関する例外事項は多く存在します。とはいえ、公的な書類を読み込むのも時間がかかってしまい、本業が疎かになってしまいますよね。
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【個人事業主の雇用保険】必要な手続きと保険料の納付

個人事業主が雇った従業員が雇用保険に加入する義務が発生することがあります。そして、雇用保険に加入する手続きは雇用主である「個人事業主」が行うのが原則。
こちらでは、具体的にどのような手続きが必要かご紹介します。
【雇用保険への加入手続き①】提出書類を確認する
雇用保険に加入する手続きは、3つの書類を提出して完了です。
提出書類①:「労働保険保険関係成立届」
まずは、「労働保険保険関係成立届」という書類を、管轄の労働基準監督署に提出しましょう。提出し、無事受理されると、受理印を押された「労働保険保険関係成立届事業主控え」と「その他確認書類」受け取ることができます。
ここで強調しておきたいことがあります。それは、このとき受け取った書類と合わせて、残り2つの書類を提出することができるということです。
確かに3つの書類を提出するだけの手続きではありますが、まずは「労働保険保険関係成立届」を提出しなければならないという順序があると押さえておきましょう。
また、農林水産や建設、一部の港湾運送の事業に従事されている事業主は、この書類を労働基準監督署ではなく「ハローワーク」に提出しましょう。
提出書類②③:「雇用保険適用事業所設置届」「雇用保険被保険者資格取得届」
「労働保険保険関係成立届」を提出したあと、労働基準監督署から受け取った書類を持って、2つの書類をハローワークに提出しましょう。
それが、
- 雇用保険適用事業所設置届
- 雇用保険被保険者資格取得届
です。
ちなみにどちらの書類も、提出期限は保険関係が成立した日の翌日から10日以内となっていますので、2つまとめて提出できると良いですね。
▼2つの提出書類と、必要な持ち物(提出・確認書類)をチェック
手続き一覧表|厚生労働省
▼2つの提出書類をダウンロードする
・雇用保険適用事業所設置届
・雇用保険被保険者資格取得届
▼管轄のハローワークを探す
全国ハローワークの所在案内|厚生労働省
雇用保険の手続きを代行することも
雇用保険の手続きには3つの書類を提出することが必要でした。しかし、事業によっては提出先が違ったり、その度にハローワークに出向いて相談しに行く必要もあるので少し大変ですよね。
そこで、こちらの方に相談してみてはいかがでしょうか。実は電子申請もできる雇用保険の手続きを、この方が代行してくださいます。
「本業に割く時間を買えるもの」と捉えてみるのも良いかもしれませんね。

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【雇用保険への加入手続き②】保険料の納付
雇用保険の保険料は、「事業主と被保険者(=従業員)」との折半。基本的には年度ごとに概算で申告・納付を行い、翌年度の確定申告で精算をするという流れです。
ちなみに、保険料の計算方法は労働者の賃金に定率を掛けて算出するものとされています。
▼雇用保険料率を確認する
雇用保険料率について |厚生労働省
雇用保険料って安くならないの?
手続きを円滑に進めて「義務と言われたことはやり切る」ことも大切ですが、それが終わると、「保険料を抑える」ことも気になってくる方も多いのではないでしょうか。
そんなときは、こちらの社労士の方に相談してみることをおすすめします。雇用保険料が安くなるわけではありませんが、雇用関係の助成金の申請方法を教えてくださいます。
もらえる助成金はもらっておいた方が、当然お得かと思いますので、この機会にチェックしてみてはいかがでしょうか。
まとめ
雇用保険とは、従業員の生活と安全を守るための保険。
雇用保険は、雇用される従業員の保護を目的とした重要な制度です。個人事業主は、従業員の雇用保険加入義務を正しく理解し、手続きを適切に行う必要があります。一方で、専従者や学生アルバイトなど、加入義務が適用されない例外も存在します。また、保険料の納付や必要書類の提出など、具体的な手続きについても把握しておくことが大切です。本記事を参考に、雇用保険に関する知識を活用して、円滑な手続きを進めましょう。