あの異変からの週末がやってきた
私たちは、ある人物に会うために車を走らせていた。
目的地は、妻が知っているという、霊感のある女性がいる場所だった。
車内には、どこか重たい空気が漂っていた。
お互い、なるべく普段どおりに振る舞おうとしていたのかもしれない。
けれど、心のどこかでは気になっていた。
妻が見たという、髪の長い女性。
あの夜、玄関に立っていたという、正体の分からない存在。
いったい、あれは何だったのだろう。
本当のことを知りたい。
でも、もし知ってはいけないようなことだったら……。
そんな、うまく言葉にできない不安が、今も心の片隅に残っていた。
やがて、目的地の近くに到着した。
約束の時間には、まだ少し早い。
私たちは近くのコンビニに立ち寄り、飲み物を買った。
車の中で飲み物を手にしながら、落ち着かない気持ちで時間が過ぎるのを待つ。
時計を見る。
まだか。
いや、そろそろか。
……なんだ、このそわそわした感じは。
普段なら何とも思わない、ただの待ち時間。
それなのに、この日ばかりは妙に長く感じられた。
そして、約束の時間が近づいてきた。
私たちは車を降り、女性が住んでいるというアパートへ向かった。
建物の入口付近で待っていると――
ガチャッ。
ドアが開いた。
そして、中から出てきた人物は……。
中年の女性だった。
いわゆる、おばさんである。
……え?
いや、失礼。
本当に、どこにでもいそうな普通の女性だったのだ。
すると、その女性は私たちを見るなり、
「……キャッ💦」
と、何やら驚いたような声を上げた。
えっ?
今度は、こちらがびっくりする番だった。
「こんにちはー! どうぞ、どうぞ。中に入って!」
明るく声をかけられ、私たちは案内されるまま部屋の中へと入っていった。
「久しぶりだったね。〇〇さん、今日どうしたの?」
どうやら、妻とその女性は以前から面識があるらしい。
そう。
今回、私たちが会いに来たのは、占いを生業としている女性だった。
今回の出来事については、妻があらかじめ相談内容を伝えてくれていた。
私たちが知りたかったのは、単に「何かがいた」という話だけではない。
妻が見たものは何だったのか。
なぜ、そんなことが起きたのか。
そして、そもそもの発端は何だったのか。
できることなら、その一つひとつを詳しく知りたかった。
だからこそ、霊感のある人に相談してみようということになったのだ。
私たちは、その女性に案内され、部屋の中へと足を踏み入れた。
そこには、白いテーブルと三脚の椅子。
壁には目立った装飾もなく、部屋全体がきれいに整えられていた。
……あれ?
なんか、普通だな。
いや、普通という表現も失礼なのだが。
実は私には、占い師に対する勝手なイメージがあった。
薄暗い部屋。
その中でキラキラと輝く、不思議な装飾品。
ローブをまとい、顔の下半分を隠すような怪しげな衣装。
アロマやお香の香りが漂い、どこからともなく神秘的な雰囲気が感じられる。
そして、とにかく怪しい。
……でも、なぜか魅力的。
そんなイメージを、勝手に抱いていたのである。
ところが、目の前にいる女性はどうだろう。
どこにでもいそうな、普通の主婦。
気取った様子もなければ、特別に神秘的な格好をしているわけでもない。
街ですれ違っても、きっと気づかないだろう。
いや、もしかしたら、すれ違ったことがあっても思い出せないかもしれない。
それくらい、自然体だった。
もちろん、本人は何かを隠そうとしていたわけではないのだろう。
ただ、私が勝手に想像していた占い師像と、あまりにも違っていたのだ。
今になって思えば、そんな偏見を持っていた自分が、少し恥ずかしい。
……すみませんでした💦
心の中で、そっと謝っておこう。
それにしても、本当に分からないものだ。
人は見た目だけでは判断できない。
そんな当たり前のことを、私はこのとき、改めて感じていた。
そして、私たちは白いテーブルを前に、椅子へと腰を下ろした。
いよいよ、これから話が始まる。
妻が見た、あの髪の長い女性。
そして、私たちの家で起きているという、説明のつかない出来事。
私は、目の前にいる女性を見つめた。
この人は、いったい何を話してくれるのだろう。
私たちが知りたかった「その何か」の正体。
その答えを、これから聞くことになる。
――そう思っていた。
しかし、このときの私は、まだ知らなかったんだ。
本当に驚くことになる未来が待っていることを…
あの異変からの週末がやってきた
私たちは、ある人物に会うために車を走らせていた。
目的地は、妻が知っているという、霊感のある女性がいる場所だった。
車内には、どこか重たい空気が漂っていた。
お互い、なるべく普段どおりに振る舞おうとしていたのかもしれない。
けれど、心のどこかでは気になっていた。
妻が見たという、髪の長い女性。
あの夜、玄関に立っていたという、正体の分からない存在。
いったい、あれは何だったのだろう。
本当のことを知りたい。
でも、もし知ってはいけないようなことだったら……。
そんな、うまく言葉にできない不安が、今も心の片隅に残っていた。
やがて、目的地の近くに到着した。
約束の時間には、まだ少し早い。
私たちは近くのコンビニに立ち寄り、飲み物を買った。
車の中で飲み物を手にしながら、落ち着かない気持ちで時間が過ぎるのを待つ。
時計を見る。
まだか。
いや、そろそろか。
……なんだ、このそわそわした感じは。
普段なら何とも思わない、ただの待ち時間。
それなのに、この日ばかりは妙に長く感じられた。
そして、約束の時間が近づいてきた。
私たちは車を降り、女性が住んでいるというアパートへ向かった。
建物の入口付近で待っていると――
ガチャッ。
ドアが開いた。
そして、中から出てきた人物は……。
中年の女性だった。
いわゆる、おばさんである。
……え?
いや、失礼。
本当に、どこにでもいそうな普通の女性だったのだ。
すると、その女性は私たちを見るなり、
「……キャッ💦」
と、何やら驚いたような声を上げた。
えっ?
今度は、こちらがびっくりする番だった。
「こんにちはー! どうぞ、どうぞ。中に入って!」
明るく声をかけられ、私たちは案内されるまま部屋の中へと入っていった。
「久しぶりだったね。〇〇さん、今日どうしたの?」
どうやら、妻とその女性は以前から面識があるらしい。
そう。
今回、私たちが会いに来たのは、占いを生業としている女性だった。
今回の出来事については、妻があらかじめ相談内容を伝えてくれていた。
私たちが知りたかったのは、単に「何かがいた」という話だけではない。
妻が見たものは何だったのか。
なぜ、そんなことが起きたのか。
そして、そもそもの発端は何だったのか。
できることなら、その一つひとつを詳しく知りたかった。
だからこそ、霊感のある人に相談してみようということになったのだ。
私たちは、その女性に案内され、部屋の中へと足を踏み入れた。
そこには、白いテーブルと三脚の椅子。
壁には目立った装飾もなく、部屋全体がきれいに整えられていた。
……あれ?
なんか、普通だな。
いや、普通という表現も失礼なのだが。
実は私には、占い師に対する勝手なイメージがあった。
薄暗い部屋。
その中でキラキラと輝く、不思議な装飾品。
ローブをまとい、顔の下半分を隠すような怪しげな衣装。
アロマやお香の香りが漂い、どこからともなく神秘的な雰囲気が感じられる。
そして、とにかく怪しい。
……でも、なぜか魅力的。
そんなイメージを、勝手に抱いていたのである。
ところが、目の前にいる女性はどうだろう。
どこにでもいそうな、普通の主婦。
気取った様子もなければ、特別に神秘的な格好をしているわけでもない。
街ですれ違っても、きっと気づかないだろう。
いや、もしかしたら、すれ違ったことがあっても思い出せないかもしれない。
それくらい、自然体だった。
もちろん、本人は何かを隠そうとしていたわけではないのだろう。
ただ、私が勝手に想像していた占い師像と、あまりにも違っていたのだ。
今になって思えば、そんな偏見を持っていた自分が、少し恥ずかしい。
……すみませんでした💦
心の中で、そっと謝っておこう。
それにしても、本当に分からないものだ。
人は見た目だけでは判断できない。
そんな当たり前のことを、私はこのとき、改めて感じていた。
そして、私たちは白いテーブルを前に、椅子へと腰を下ろした。
いよいよ、これから話が始まる。
妻が見た、あの髪の長い女性。
そして、私たちの家で起きているという、説明のつかない出来事。
私は、目の前にいる女性を見つめた。
この人は、いったい何を話してくれるのだろう。
私たちが知りたかった「その何か」の正体。
その答えを、これから聞くことになる。
――そう思っていた。
しかし、このときの私は、まだ知らなかったんだ。
本当に驚くことになる未来が待っていることを…