― 知識ゼロから、自分で企業を分析して「買う・待つ・売る」を考えられるようになるまでー
第0章 最初に
最初に、この記事をよむあなたに伝えておきたいことがあります。
「絶対に上がる株」はありません。
「絶対に勝てる投資手法」もありません。
もし「この株を買えば必ず儲かる」「このサインが出たら絶対に勝てる」というものが存在するなら、投資で悩む人はもっと少ないはずです。
そのような情報をもとめているんだったら、今すぐこの記事を去ってください。ここにはありません。
では、何のために投資を勉強するのでしょうか。
僕は、**「未来を当てるため」ではなく、「自分で考えて判断するため」**だと思っています。
また、そのようなことを知ることは将来のビジネスにも強く影響するでしょう。
いい投資家になる。はすなわちいい経営者になる。
と一緒です。
この記事では
キャッシュフロー
売上や利益などの業績
PER・PBR・ROEなどの指標
自己資本比率
株価や出来高
チャートの見方
実際の企業分析
投資での失敗と改善
などを扱っていきます。
しかし、これらを使って「この条件なら絶対に買い」といった答えを出すことが目的ではありません。
数字や株価を見て、「なぜ自分はこの会社を買いたいのか」「なぜ今は待つのか」を自分の言葉で説明できるようになること。
それが、この記事の目標です。
しっかりとした根拠のあるエントリーを積み重ねることによって、
共に成長していきましょう。
だからこそ、この記事では「成功者が教える必勝法」ではなく、一人の高校生が実際に投資を学び、企業を分析し、失敗しながら考え方を変えてきた過程も含めて書いていきます。
投資に正解はありません。
だからこそ、自分で考える力が必要です。
この本が、あなたが投資を始めるとき、そして自分なりの投資判断を作っていくときの一つの材料になれば嬉しいです。
第1章 そもそも投資とは何か
「株を買う」とはなんなのか
「株を買う」と聞くと、どんなイメージを持つでしょうか。
株価が上がったら売って利益を出す。
ニュースを見て、これから伸びそうな会社を探す。
チャートを見て、買うタイミングを考える。
もちろん、これらも株式投資の一部です。
しかし、株式投資を理解するうえで、最初に知っておきたいことがあります。
あなたが買っているのは、単なる「株価の数字」ではありません。
株式とは、簡単に言えば会社の一部を所有する権利です。
例えば、ある会社が100株に分けられていて、そのうち1株を持っていれば、その会社の一部を持っていることになります。
もちろん、1株持ったからといって会社を自由に動かせるわけではありません。
しかし、その会社が事業によって利益を生み出し、成長していけば、その価値が評価されて株価に反映される可能性があります。
つまり、
「株価が上がりそうだから買う」
だけではなく、
「この会社はこれから価値を生み出していけるのか?」
と考えることが、企業への投資を考える第一歩になります。
株価はなぜ動くのか
では、なぜ株価は毎日変化するのでしょうか。
理由は一つではありません。
会社の業績。
将来の成長期待。
景気。
金利。
為替。
業界の状況。
ニュース。
そして、投資家たちの心理。
さまざまな要因によって、株を「買いたい」と考える人と「売りたい」と考える人のバランスが変化します。
その結果、株価も動きます。
ここで重要なのは、
「良い会社だから必ず株価が上がるわけではない」
ということです。
例えば、とても優秀な会社でも、すでに市場から高く評価されていれば、期待されていたほど業績が伸びなかっただけで株価が下がることがあります。
逆に、現在の業績があまり良くなくても、将来の成長を期待されて株価が上がることもあります。
だからこそ、
「良い会社かどうか」と「今の株価が割安かどうか」は分けて考える必要があります。
投資で利益を得る方法
株式投資で利益を得る方法は、大きく分けると二つあります。
一つ目は、株価の値上がりによる利益です。
例えば、1,000円で購入した株が1,300円になったときに売れば、単純計算で1株あたり300円の利益になります。
二つ目は、配当金による利益です。
会社が生み出した利益の一部を、株主に還元することがあります。
ただし、すべての会社が配当を出すわけではありません。
また、配当金を出すことだけが良い会社の条件でもありません。
成長のために利益を事業へ再投資する会社もあります。
つまり、
「配当が高い=良い会社」
と単純に判断することもできません。
株価だけを見てはいけない
投資を始めたばかりの頃は、どうしても株価が気になります。
「今日は上がった」
「今日は下がった」
「含み益が出た」
「含み損になった」
もちろん株価を見ることは大切です。
しかし、株価だけを見ていると、その会社が実際にどのような状態なのかが見えなくなってしまいます。
例えば、
株価が1,000円の会社と株価が10,000円の会社では、どちらが割安でしょうか?
株価だけでは判断できません。
会社の利益や資産、発行されている株式数などを考える必要があります。
だから投資では、
「株価を見る」だけではなく、「会社を見る」
ことが重要になります。
投資はギャンブルなのか
ここは投資を始める前に、一度考えておきたいところです。
株価が短期間で大きく動く以上、株式投資には当然リスクがあります。
自分の予想と反対方向に株価が動くこともあります。
その意味では、投資に「絶対」はありません。
しかし、企業の業績や財務状況、将来性などを調べたうえで、
「この会社にはこういう強みがある」
「この価格なら割安だと考える」
「このリスクがあるから今は買わない」
と、自分なりの根拠を持って判断することはできます。
僕が投資を勉強する中で重要だと感じたのは、
「上がるか下がるかを当てること」ではなく、「なぜそう考えたのかを説明できること」
でした。
では、会社の何を見るのか
ここまで読んで、
「会社を見るのが大切なのは分かった。でも、具体的に何を見ればいいの?」
と思ったかもしれません。
そこで次の章から、実際に企業を分析するための材料を見ていきます。
売上高。
営業利益。
EPS。
ROE。
自己資本比率。
キャッシュフロー。
PER。
PBR。
これらは最初は難しく見えるかもしれません。
しかし、一つずつ意味を理解していけば、決して特別な知識ではありません。
数字を覚えることが目的ではありません。
数字を使って、
「この会社はどんな会社なのか」
「どんな強みがあるのか」
「何がリスクなのか」
「今の株価はどう評価できるのか」
を自分で考えられるようになること。
それが、この記事で目指す投資です
第2章 企業分析の基本
株価の前に、まず会社を見る
第1章では、株式投資では「株価」だけではなく「会社そのものを見ること」が重要だと説明しました。
では、実際に会社を見るとき、何を見ればいいのでしょうか。
企業分析を始めると、最初はたくさんの数字が出てきます。
売上高、営業利益、純利益、EPS、ROE、自己資本比率、キャッシュフロー、PER、PBR……。
初めて見ると、何が何だか分からないかもしれません。
僕自身も最初はそうでした。
しかし、これらの数字をただ暗記する必要はありません。
大切なのは、
「この数字は何を表しているのか」
そして、
「この数字から、この会社について何が分かるのか」
を考えることです。
ここから、企業分析で特に重要だと僕が考える数字を一つずつ見ていきます。
① 売上高――会社はどれだけ商品・サービスを売ったのか
まず見るのが売上高です。
売上高とは、会社が商品やサービスを提供することで得た金額の合計です。
例えば、1個1,000円の商品を1万個販売した場合、単純計算で売上高は1,000万円になります。
売上高を見ることで、
「この会社の事業規模はどれくらいなのか」
を知ることができます。
しかし、売上高が大きければ必ず良い会社というわけではありません。
売上が100億円あっても、利益がほとんど残らない会社もあります。
逆に、売上規模がそれほど大きくなくても、高い利益率で利益を生み出している会社もあります。
そのため、売上高だけではなく、次に利益を見る必要があります。
② 営業利益――本業でどれだけ稼いだのか
そこで重要になるのが営業利益です。
営業利益とは、簡単に言えば、会社の本業によってどれだけ利益を生み出したのかを見る数字です。
例えば、
売上高100億円
営業利益10億円
なら、本業から10億円の利益を生み出していることになります。
ここで、
「売上高が増えているか」
だけではなく、
「営業利益も一緒に増えているか」
を見ることが重要です。
売上高が増えていても、営業利益が減っているのであれば、利益を生み出す力が弱くなっている可能性があります。
反対に、売上高の伸び以上に営業利益が伸びているのであれば、事業の効率が改善している可能性があります。
だから僕は、企業分析をするときに数字を単体で見るのではなく、過去からの変化を見ることを意識しています。
③ 純利益――最終的にどれだけ利益が残ったのか
次に見るのが純利益です。
純利益は、さまざまな費用や税金などを差し引いた後に会社に残る最終的な利益です。
会社が最終的にどれだけ利益を残したのかを見るうえで重要な数字です。
ただし、純利益だけを見るのも危険です。
一時的な利益や損失などによって、大きく変動する場合があるからです。
そのため、
売上高 → 営業利益 → 純利益
という流れで、会社がどのように利益を生み出しているのかを見ることが大切です。
④ EPS――1株あたりどれだけ利益を生み出しているのか
企業分析をしていると、EPSという言葉が出てきます。
EPSは「1株あたり利益」を表す指標です。
簡単に言えば、
「会社が生み出した利益を、1株あたりにするとどれくらいなのか」
を見る数字です。
例えば、会社の利益が10億円で、発行済み株式数が1,000万株なら、
EPSは100円になります。
EPSを見ることで、単純な会社全体の利益だけではなく、1株あたりの利益がどう変化しているのかを見ることができます。
特に、
EPSが長期的に成長しているか
は、企業を見るうえで重要なポイントの一つです。
⑤ ROE――株主のお金をどれだけ効率よく使っているのか
次にROEです。
ROEは「自己資本利益率」と呼ばれ、
株主から集めた自己資本を使って、どれだけ利益を生み出しているか
を見る指標です。
例えばROEが10%なら、単純化すると、自己資本100に対して10の利益を生み出しているイメージです。
ROEが高い会社は、自己資本を効率的に使って利益を生み出している可能性があります。
ただし、
「ROEが高ければ絶対に優良企業」
というわけではありません。
借入金などを多く利用していることでROEが高くなる場合もあります。
そのため、ROEだけを見るのではなく、自己資本比率や負債なども一緒に確認する必要があります。
⑥ 自己資本比率――会社の財務は安定しているのか
企業分析で僕が特に見るようになったのが自己資本比率です。
自己資本比率は、会社の資産のうち、どれくらいを自己資本でまかなっているのかを見る指標です。
一般的に、自己資本比率が高いほど、借入金などに依存する割合が低く、財務面で安定している可能性があります。
ただし、ここでも「高ければ高いほど良い」と単純には言えません。
業種によって必要な設備や資金の量が大きく違うからです。
銀行などの金融業と、メーカーを同じ基準だけで比較することはできません。
つまり、企業分析では、
数字を見るだけではなく、「その会社がどんな業種なのか」まで考える必要があります。
⑦ キャッシュフロー――実際にお金は動いているのか
そして、忘れてはいけないのがキャッシュフローです。
利益が出ている会社でも、実際のお金の流れが良いとは限りません。
キャッシュフローには大きく、
営業活動によるキャッシュフロー
投資活動によるキャッシュフロー
財務活動によるキャッシュフロー
があります。
特に僕が企業を見るときに注目しているのが、営業キャッシュフローです。
本業によって実際にどれだけお金を生み出しているのかを見ることができます。
例えば、営業キャッシュフローが継続的にプラスになっている会社なら、本業から現金を生み出す力がある可能性があります。
一方で、利益は出ているのに営業キャッシュフローが長期間マイナスになっている場合は、
「なぜ利益が出ているのに現金が増えていないのか?」
と疑問を持つことができます。
この「疑問を持つこと」が企業分析では非常に重要です。
数字は「良い・悪い」で終わらせない
ここまで、いくつもの指標を紹介しました。
しかし、ここで一番伝えたいことがあります。
企業分析は、数字に点数をつけるゲームではありません。
例えば、
「ROEが高いから買い」
「自己資本比率が高いから買い」
「PERが低いから割安」
と、一つの数字だけで判断するのは危険です。
大切なのは、複数の数字を組み合わせて、
「この会社はなぜこの数字になっているのか?」
と考えることです。
売上高は伸びているのか。
利益は伸びているのか。
EPSはどうなっているのか。
ROEは高いのか。
財務は安定しているのか。
営業キャッシュフローはどうなのか。
そして、その会社の現在の株価はどう評価されているのか。
こうやって少しずつ情報をつなげていくことで、単なる数字の羅列が「会社の姿」に変わっていきます。
企業分析に正解はない
最後に、企業分析には一つの正解があるわけではありません。
同じ決算資料を見ても、
「成長性が高いから魅力的だ」
と考える人もいれば、
「すでに株価に期待が織り込まれている」
と考える人もいます。
重要なのは、他人の意見をそのまま信じることではありません。
自分で数字を確認し、自分なりの仮説を立てること。
そして、その仮説が間違っていたら、なぜ間違ったのかを振り返ること。
これを繰り返すことで、少しずつ企業を見る力が身についていくのだと思います。
次の章では、企業の数字だけではなく、「その会社の株価は今、高いのか安いのか」を考えるために、PER・PBRなどの株価指標について見ていきます。
第3章 株価は高いのか、安いのか
「株価が安い」の意味を考える
第2章では、売上高や利益、ROE、キャッシュフローなど、会社そのものを見るための数字について説明しました。
しかし、ここで一つ疑問が出てきます。
「良い会社なのは分かった。でも、その会社の株は今買ってもいい価格なの?」
ここが、企業分析と投資判断の大きな違いです。
どれだけ良い会社でも、株価が高すぎれば、すでに将来の成長が株価に織り込まれている可能性があります。
逆に、今の業績がそれほど良くなくても、株価が将来の成長をほとんど織り込んでいなければ、投資対象として魅力的に見えることもあります。
つまり、
「良い会社を探す」ことと、
「良い価格で買える会社を探す」ことは別です。
そこで登場するのが、PERやPBRといった株価指標です。
① PER――利益に対して株価は何倍なのか
まず覚えておきたいのがPERです。
PERは「株価収益率」と呼ばれ、
株価が1株あたり利益(EPS)の何倍まで買われているのか
を見る指標です。
計算式は、
PER = 株価 ÷ EPS
です。
例えば、
株価が2,000円
EPSが100円
だった場合、
2,000 ÷ 100 = PER 20倍
となります。
これは簡単に言えば、
「1株あたり100円の利益を生み出している会社に対して、株価はその20倍の水準で評価されている」
ということです。
PERを見ることで、株価だけでは分からなかった「利益に対して株価がどれくらい評価されているのか」を考えることができます。
PERが低ければお買い得なのか?
ここで注意してほしいことがあります。
PERが低い=必ず割安
ではありません。
例えば、PERが10倍の会社があったとします。
一見すると、PERが30倍の会社よりも安く見えます。
しかし、その会社の利益が今後減少すると予想されているなら、PERが低いのには理由があるかもしれません。
反対に、PERが30倍でも、今後利益が大きく成長すると期待されている会社なら、投資家から高く評価されている理由があります。
つまり、
「PERが何倍だから買い」
という考え方ではなく、
「なぜこの会社のPERはこの水準なのか?」
と考えることが重要です。
PERは「同じ条件」で比較する
PERを見るときは、他の会社やその会社自身の過去のPERと比較することも重要です。
例えば、同じ業界に、
A社:PER 12倍
B社:PER 25倍
という2社があったとします。
数字だけを見ると、A社のほうが割安に見えます。
しかし、A社は利益が減少傾向で、B社は利益が毎年成長しているかもしれません。
そうなると、単純に
「12倍だからA社のほうがお得」
とは言えません。
会社の成長率や収益性、財務状況などを一緒に見る必要があります。
だからPERは、
「割安かどうかを決める数字」ではなく、「株価が利益に対してどのくらい評価されているのかを見る数字」
と考えると分かりやすいです。
② PBR――会社の純資産に対して株価は何倍なのか
次にPBRです。
PBRは「株価純資産倍率」と呼ばれ、
株価が1株あたり純資産(BPS)の何倍で評価されているのか
を見る指標です。
計算式は、
PBR = 株価 ÷ BPS
です。
BPSとは「1株あたり純資産」のことです。
例えば、
株価が1,500円
BPSが1,000円
なら、
1,500 ÷ 1,000 = PBR 1.5倍
となります。
つまり、会社が持っている純資産に対して、株式市場からどの程度の評価を受けているのかを見ることができます。
PBR 1倍はどういう意味?
PBRを見ていると、
「PBR 1倍」
という数字を目にすることがあります。
PBRが1倍ということは、単純化すると、
株価と1株あたり純資産が同じ水準
ということです。
では、
「PBR 1倍以下なら絶対に割安なのか?」
というと、そうではありません。
会社が持っている資産を使って、どれだけ利益を生み出しているのかも考える必要があります。
例えば、たくさんの資産を持っていても、その資産をうまく活用できず、利益をほとんど生み出していない会社なら、市場から高く評価されないことがあります。
逆に、資産がそれほど大きくなくても、高い利益を安定して生み出している会社なら、高いPBRがつくことがあります。
ここでも、
PBRだけで判断しない
ことが重要です。
PERとPBRを組み合わせて考える
ここまでで、
PER=利益に対する株価の評価
PBR=純資産に対する株価の評価
ということが分かりました。
では、この2つをどう使えばいいのでしょうか。
例えば、
PERが低い
PBRも低い
ROEも高い
利益も成長している
という会社があったとします。
この場合、
「市場からまだ十分に評価されていない可能性はないか?」
と考えるきっかけになります。
一方で、
PERが低い
PBRも低い
利益が減少している
ROEも低下している
という会社なら、
「安く見えるのには何か理由があるのではないか?」
と疑う必要があります。
このように、指標を一つずつ見るのではなく、
PER × PBR × ROE × 利益成長
のように、複数の情報を組み合わせて考えることが企業分析では重要になります。
「割安株」を探すことが目的ではない
投資を始めたばかりの頃は、
「PERが低い株を探そう」
「PBRが低い株を探そう」
と考えたくなります。
僕自身も、最初はそういう見方をしていました。
しかし、企業分析を続けていくと、それだけでは足りないことに気づきます。
重要なのは、
「なぜ安いのか」
です。
株価が低い。
PERが低い。
PBRが低い。
それだけでは投資する理由にはなりません。
市場から評価されていない理由があるかもしれないからです。
逆に、PERが高い会社にも、
「利益が今後大きく成長すると期待されている」
「強いブランドや技術を持っている」
「高い利益率を維持している」
など、評価されている理由があるかもしれません。
だから僕は、
「低PER=お宝」
ではなく、
「この評価にはどんな理由があるのか?」
と考えることを意識しています。
数字の裏側にある「理由」を探す
ここまで読んで、企業分析で何度も同じ話が出てくることに気づいたかもしれません。
売上高を見る。
利益を見る。
ROEを見る。
自己資本比率を見る。
キャッシュフローを見る。
PERを見る。
PBRを見る。
でも、最終的に大切なのは、
「なぜその数字になっているのか?」
です。
例えばPERが10倍だったとしても、
「利益が落ちているから安いのか?」
「一時的な要因で利益が増えているのか?」
「今後の成長が期待されていないのか?」
「単純に市場から見落とされているのか?」
理由によって意味は全く変わります。
だから企業分析は、数字を集めて終わりではありません。
数字を見て、
「なぜ?」
を繰り返していく作業です。
ここまでの企業分析を一度整理する
ここまでの内容を整理すると、僕は企業を見るときに、次のような流れで考えています。
① 売上高を見る
↓
会社の事業規模や成長を確認する。
② 営業利益・純利益を見る
↓
利益を生み出す力を確認する。
③ EPSを見る
↓
1株あたりの利益がどう変化しているかを見る。
④ ROE・自己資本比率を見る
↓
資本を効率よく使えているか、財務に問題がないかを見る。
⑤ キャッシュフローを見る
↓
実際のお金の流れを確認する。
⑥ PER・PBRを見る
↓
現在の株価が、利益や純資産に対してどのように評価されているかを見る。
そして最後に、
「この会社はなぜこの評価を受けているのか?」
を考える。
これが、僕が企業分析をするときの基本的な考え方です。
ただし、これだけではまだ買えない
ここまで分析すると、
「じゃあ、数字が良くてPERも低かったら買えばいいの?」
と思うかもしれません。
しかし、まだ一つ足りません。
それが、
「株価そのものが今どう動いているのか」
です。
どれだけ企業の数字が良くても、株価が長期間下落していることがあります。
逆に、企業の業績がそれほど変わっていなくても、株価が上昇していることがあります。
企業の価値を見ることと、株価の動きを見ること。
この二つを組み合わせることで、投資判断はさらに深くなります。
次の章では、チャート・移動平均線・出来高・RSIなどを使って、「株価は今どんな状態なのか」を考える方法について見ていきます。
第4章 チャートから株価の動きを考える
企業分析だけでは「いつ買うか」が分からない
ここまでの章では、売上高や利益、ROE、PER、PBRなどを使って、会社そのものを分析してきました。
しかし、企業分析をしていると、こんな疑問が出てきます。
「この会社は良さそう。でも、いつ買えばいいんだ?」
ここが難しいところです。
企業の業績や財務状況を調べることで、
「この会社に投資する価値があるか」
を考えることはできます。
一方で、株価は毎日動いています。
同じ会社でも、
1,000円で買うのと
1,500円で買うのとでは、
投資判断は変わってきます。
そこで役立つのが、チャートです。
チャートを見ることで、株価がこれまでどのように動いてきたのか、現在どのような状態なのかを確認できます。
ただし、ここでも大切なのは、
「チャートを使えば未来の株価を当てられる」わけではない
ということです。
チャートは未来を予言するものではありません。
あくまで、現在までの株価の動きを整理し、投資判断の材料にするものです。
ローソク足を見る
チャートを見ると、まず目に入るのがローソク足です。
ローソク足には、その期間の、
という4つの価格が記録されています。
例えば1日のローソク足なら、
「その日の最初はいくらだったのか」
「一番高いところはいくらだったのか」
「一番安いところはいくらだったのか」
「最後はいくらで終わったのか」
を見ることができます。
ローソク足を並べて見ることで、
「株価が上昇しているのか」
「下落しているのか」
「一定の範囲で動いているのか」
といった大きな流れを確認できます。
トレンドを見る
チャートを見るとき、まず確認したいのがトレンドです。
大きく分けると、
上昇トレンド
株価が高値・安値を切り上げながら上昇している状態。
下降トレンド
株価が高値・安値を切り下げながら下落している状態。
横ばい
一定の範囲の中で株価が動いている状態。
というように考えることができます。
例えば、株価が長期間下落したあと、少し上昇したからといって、
「これで上昇トレンドに変わった」
とすぐに判断するのは危険です。
一時的な反発かもしれないからです。
そのため、
「今の上昇は、本当に流れが変わったのか?」
と考えることが重要になります。
移動平均線――株価の流れを見やすくする
チャートを見るときに、僕がよく使っているのが移動平均線です。
移動平均線とは、一定期間の株価の平均値を計算して、それを線としてチャートに表示したものです。
例えば、
5日移動平均線
25日移動平均線
75日移動平均線
などがあります。
短い期間の移動平均線は、最近の株価の動きを反映しやすくなります。
一方、長い期間の移動平均線は、より大きな流れを見るのに使われます。
例えば、
「5日線が上向いている」
なら短期的に株価が強くなっている可能性があります。
一方で、
「5日線は上向いているけど、25日線や75日線はまだ下向き」
という場合、
「短期的には反発しているが、長期的な流れはまだ変わっていないのでは?」
と考えることができます。
このように、移動平均線は「買いサイン」を出すためだけではなく、株価の現在地を把握するためにも使えます。
ゴールデンクロスは「絶対の買いサイン」ではない
移動平均線を見ていると、ゴールデンクロスという言葉を聞くことがあります。
一般的には、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上抜ける形を指します。
例えば、
5日移動平均線が25日移動平均線を上抜ける
といった動きです。
これを「買いサイン」として紹介している情報もあります。
しかし、
ゴールデンクロスが起きたから必ず株価が上がる
というわけではありません。
ゴールデンクロスが発生したあとに、株価が下落することもあります。
なぜなら、移動平均線は過去の株価をもとに計算される指標だからです。
つまり、ゴールデンクロスは、
「過去から現在にかけて、株価の流れが変化している可能性がある」
と考える材料の一つであって、
「これから必ず上がる」という予言ではありません。
この違いを理解しておくことが大切です。
出来高――どれくらい売買されているのか
チャートを見るとき、株価だけではなく出来高も確認することが重要です。
出来高とは、一定期間にどれだけ株式が売買されたのかを表す数字です。
例えば、普段あまり売買されていない株で突然出来高が大きく増えた場合、
「いつもより多くの投資家がこの株を売買している」
ことが分かります。
株価が上昇しているときに出来高も大きく増えているなら、
「多くの投資家が参加しながら株価が上昇しているのではないか」
と考えることができます。
ただし、これも単純に、
「出来高が増えた=買い」
ではありません。
買いたい人が増えているだけではなく、売りたい人も増えているからこそ売買が成立します。
だからこそ、
株価の動きと出来高をセットで見る
ことが重要です。
RSI――買われすぎ・売られすぎを見る
もう一つ、僕がチャートを見るときに使うことがあるのがRSIです。
RSIは、一定期間の株価の上昇・下落をもとに、相場の過熱感を見るための指標です。
一般的には0〜100の範囲で表示されます。
RSIが高いと、
「短期間でかなり買われているのではないか」
と考える材料になります。
逆にRSIが低いと、
「短期間でかなり売られているのではないか」
と考える材料になります。
ただし、
RSIが高いから必ず下がる
RSIが低いから必ず上がる
というわけではありません。
強い上昇トレンドでは、RSIが高い状態が長く続くこともあります。
そのため、RSIだけを見て売買を決めるのではなく、
「今の株価のトレンドはどうなのか?」
「企業の業績はどうなのか?」
などと合わせて考える必要があります。
指標を増やしすぎない
チャート分析を始めると、たくさんの指標があることに気づきます。
MACD。
ボリンジャーバンド。
一目均衡表。
ストキャスティクス。
その他にも、数え切れないほどのテクニカル指標があります。
しかし、指標を増やせば増やすほど投資判断が正確になるわけではありません。
むしろ、
「RSIでは買い」
「MACDでは売り」
「別の指標では買い」
というように、判断が複雑になってしまうことがあります。
僕自身、投資を勉強していく中で感じたのは、
「指標をたくさん使うこと」より、「一つ一つの指標を理解して、なぜ見るのかを説明できること」のほうが重要
ということです。
ファンダメンタルズとチャートを組み合わせる
ここまで企業分析とチャート分析を別々に見てきました。
しかし、本当に重要なのは、この二つを組み合わせることです。
例えば、
企業分析
売上が成長している。
利益も成長している。
ROEも高い。
財務も安定している。
PERも極端に高くない。
ここまで見て、
「会社としては魅力的だ」
と考えたとします。
しかし、チャートを見ると、
長期間下落している。
移動平均線も下向き。
出来高も少ない。
この場合、
「会社は良いけど、今すぐ買う必要はあるのか?」
と考えることができます。
逆に、企業分析が良くても、株価がすでに急上昇していて割高になっているなら、
「良い会社だけど、今の価格では買わない」
という判断もできます。
つまり、
ファンダメンタルズで「何を買うか」を考え、
チャートで「今どういう状態なのか」を考える。
このように役割を分けて考えると、チャートに振り回されにくくなります。
「買わない」という選択肢
投資では、
「買う」
だけが選択肢ではありません。
企業分析をして、
「この会社は良い」
と思っても、
「今は待つ」
という判断をすることができます。
例えば、
「業績は良いけど株価が急上昇している」
「長期的には魅力的だけど、短期的には下降トレンド」
「もう少し決算を確認したい」
などです。
投資では、何もしないことに焦りを感じることがあります。
しかし、
「良い会社を見つけた=すぐ買う」
ではありません。
自分が納得できる条件が揃うまで待つことも、立派な投資判断です。
チャートは「答え」ではなく「材料」
ここまでの内容をまとめると、
ローソク足で株価の動きを見る。
移動平均線でトレンドを確認する。
出来高で売買の活発さを見る。
RSIなどで相場の過熱感を見る。
そして、それらを企業分析と組み合わせる。
これがチャートを見る基本的な考え方です。
ただし、最後にもう一度伝えておきたいことがあります。
チャートに「絶対の答え」はありません。
どれだけ綺麗な形になっていても、予想と反対に動くことはあります。
だからこそ、
「この形だから買う」
ではなく、
「なぜ今この株価になっているのか?」
「自分の考えが間違っていた場合、何が起きるのか?」
まで考えることが重要です。
投資で必要なのは、未来を完璧に当てる能力ではありません。
不確実な未来に対して、自分なりの仮説を立て、リスクを考えながら判断する力。
それが、企業分析とチャート分析を学ぶ本当の意味だと僕は考えています。
次の章では、ここまで学んだ知識を実際に使って、一つの企業を最初から最後まで分析する方法を見ていきます。
第5章 実際に企業を分析してみる
知識を覚えるだけでは投資はできない
ここまでの章では、企業分析に必要な数字や、チャートの基本について説明してきました。
しかし、ここで一つ問題があります。
「結局、実際の会社をどうやって分析するの?」
PERとは何か。
ROEとは何か。
キャッシュフローとは何か。
それぞれの意味を覚えただけでは、実際の投資判断にはつながりません。
投資で本当に大切なのは、知識を使って、
「この会社はどういう会社なのか」
「今の株価はどう評価できるのか」
「自分なら買うのか、待つのか」
を考えることです。
そこでこの章では、実在する企業を一つ取り上げて、実際に分析してみます。
― 知識ゼロから、自分で企業を分析して「買う・待つ・売る」を考えられるようになるまでー
第0章 最初に
最初に、この記事をよむあなたに伝えておきたいことがあります。
「絶対に上がる株」はありません。
「絶対に勝てる投資手法」もありません。
もし「この株を買えば必ず儲かる」「このサインが出たら絶対に勝てる」というものが存在するなら、投資で悩む人はもっと少ないはずです。
そのような情報をもとめているんだったら、今すぐこの記事を去ってください。ここにはありません。
では、何のために投資を勉強するのでしょうか。
僕は、**「未来を当てるため」ではなく、「自分で考えて判断するため」**だと思っています。
また、そのようなことを知ることは将来のビジネスにも強く影響するでしょう。
いい投資家になる。はすなわちいい経営者になる。
と一緒です。
この記事では
キャッシュフロー
売上や利益などの業績
PER・PBR・ROEなどの指標
自己資本比率
株価や出来高
チャートの見方
実際の企業分析
投資での失敗と改善
などを扱っていきます。
しかし、これらを使って「この条件なら絶対に買い」といった答えを出すことが目的ではありません。
数字や株価を見て、「なぜ自分はこの会社を買いたいのか」「なぜ今は待つのか」を自分の言葉で説明できるようになること。
それが、この記事の目標です。
しっかりとした根拠のあるエントリーを積み重ねることによって、
共に成長していきましょう。
だからこそ、この記事では「成功者が教える必勝法」ではなく、一人の高校生が実際に投資を学び、企業を分析し、失敗しながら考え方を変えてきた過程も含めて書いていきます。
投資に正解はありません。
だからこそ、自分で考える力が必要です。
この本が、あなたが投資を始めるとき、そして自分なりの投資判断を作っていくときの一つの材料になれば嬉しいです。
第1章 そもそも投資とは何か
「株を買う」とはなんなのか
「株を買う」と聞くと、どんなイメージを持つでしょうか。
株価が上がったら売って利益を出す。
ニュースを見て、これから伸びそうな会社を探す。
チャートを見て、買うタイミングを考える。
もちろん、これらも株式投資の一部です。
しかし、株式投資を理解するうえで、最初に知っておきたいことがあります。
あなたが買っているのは、単なる「株価の数字」ではありません。
株式とは、簡単に言えば会社の一部を所有する権利です。
例えば、ある会社が100株に分けられていて、そのうち1株を持っていれば、その会社の一部を持っていることになります。
もちろん、1株持ったからといって会社を自由に動かせるわけではありません。
しかし、その会社が事業によって利益を生み出し、成長していけば、その価値が評価されて株価に反映される可能性があります。
つまり、
「株価が上がりそうだから買う」
だけではなく、
「この会社はこれから価値を生み出していけるのか?」
と考えることが、企業への投資を考える第一歩になります。
株価はなぜ動くのか
では、なぜ株価は毎日変化するのでしょうか。
理由は一つではありません。
会社の業績。
将来の成長期待。
景気。
金利。
為替。
業界の状況。
ニュース。
そして、投資家たちの心理。
さまざまな要因によって、株を「買いたい」と考える人と「売りたい」と考える人のバランスが変化します。
その結果、株価も動きます。
ここで重要なのは、
「良い会社だから必ず株価が上がるわけではない」
ということです。
例えば、とても優秀な会社でも、すでに市場から高く評価されていれば、期待されていたほど業績が伸びなかっただけで株価が下がることがあります。
逆に、現在の業績があまり良くなくても、将来の成長を期待されて株価が上がることもあります。
だからこそ、
「良い会社かどうか」と「今の株価が割安かどうか」は分けて考える必要があります。
投資で利益を得る方法
株式投資で利益を得る方法は、大きく分けると二つあります。
一つ目は、株価の値上がりによる利益です。
例えば、1,000円で購入した株が1,300円になったときに売れば、単純計算で1株あたり300円の利益になります。
二つ目は、配当金による利益です。
会社が生み出した利益の一部を、株主に還元することがあります。
ただし、すべての会社が配当を出すわけではありません。
また、配当金を出すことだけが良い会社の条件でもありません。
成長のために利益を事業へ再投資する会社もあります。
つまり、
「配当が高い=良い会社」
と単純に判断することもできません。
株価だけを見てはいけない
投資を始めたばかりの頃は、どうしても株価が気になります。
「今日は上がった」
「今日は下がった」
「含み益が出た」
「含み損になった」
もちろん株価を見ることは大切です。
しかし、株価だけを見ていると、その会社が実際にどのような状態なのかが見えなくなってしまいます。
例えば、
株価が1,000円の会社と株価が10,000円の会社では、どちらが割安でしょうか?
株価だけでは判断できません。
会社の利益や資産、発行されている株式数などを考える必要があります。
だから投資では、
「株価を見る」だけではなく、「会社を見る」
ことが重要になります。
投資はギャンブルなのか
ここは投資を始める前に、一度考えておきたいところです。
株価が短期間で大きく動く以上、株式投資には当然リスクがあります。
自分の予想と反対方向に株価が動くこともあります。
その意味では、投資に「絶対」はありません。
しかし、企業の業績や財務状況、将来性などを調べたうえで、
「この会社にはこういう強みがある」
「この価格なら割安だと考える」
「このリスクがあるから今は買わない」
と、自分なりの根拠を持って判断することはできます。
僕が投資を勉強する中で重要だと感じたのは、
「上がるか下がるかを当てること」ではなく、「なぜそう考えたのかを説明できること」
でした。
では、会社の何を見るのか
ここまで読んで、
「会社を見るのが大切なのは分かった。でも、具体的に何を見ればいいの?」
と思ったかもしれません。
そこで次の章から、実際に企業を分析するための材料を見ていきます。
売上高。
営業利益。
EPS。
ROE。
自己資本比率。
キャッシュフロー。
PER。
PBR。
これらは最初は難しく見えるかもしれません。
しかし、一つずつ意味を理解していけば、決して特別な知識ではありません。
数字を覚えることが目的ではありません。
数字を使って、
を自分で考えられるようになること。
それが、この記事で目指す投資です
第2章 企業分析の基本
株価の前に、まず会社を見る
第1章では、株式投資では「株価」だけではなく「会社そのものを見ること」が重要だと説明しました。
では、実際に会社を見るとき、何を見ればいいのでしょうか。
企業分析を始めると、最初はたくさんの数字が出てきます。
売上高、営業利益、純利益、EPS、ROE、自己資本比率、キャッシュフロー、PER、PBR……。
初めて見ると、何が何だか分からないかもしれません。
僕自身も最初はそうでした。
しかし、これらの数字をただ暗記する必要はありません。
大切なのは、
「この数字は何を表しているのか」
そして、
「この数字から、この会社について何が分かるのか」
を考えることです。
ここから、企業分析で特に重要だと僕が考える数字を一つずつ見ていきます。
① 売上高――会社はどれだけ商品・サービスを売ったのか
まず見るのが売上高です。
売上高とは、会社が商品やサービスを提供することで得た金額の合計です。
例えば、1個1,000円の商品を1万個販売した場合、単純計算で売上高は1,000万円になります。
売上高を見ることで、
「この会社の事業規模はどれくらいなのか」
を知ることができます。
しかし、売上高が大きければ必ず良い会社というわけではありません。
売上が100億円あっても、利益がほとんど残らない会社もあります。
逆に、売上規模がそれほど大きくなくても、高い利益率で利益を生み出している会社もあります。
そのため、売上高だけではなく、次に利益を見る必要があります。
② 営業利益――本業でどれだけ稼いだのか
そこで重要になるのが営業利益です。
営業利益とは、簡単に言えば、会社の本業によってどれだけ利益を生み出したのかを見る数字です。
例えば、
売上高100億円
営業利益10億円
なら、本業から10億円の利益を生み出していることになります。
ここで、
「売上高が増えているか」
だけではなく、
「営業利益も一緒に増えているか」
を見ることが重要です。
売上高が増えていても、営業利益が減っているのであれば、利益を生み出す力が弱くなっている可能性があります。
反対に、売上高の伸び以上に営業利益が伸びているのであれば、事業の効率が改善している可能性があります。
だから僕は、企業分析をするときに数字を単体で見るのではなく、過去からの変化を見ることを意識しています。
③ 純利益――最終的にどれだけ利益が残ったのか
次に見るのが純利益です。
純利益は、さまざまな費用や税金などを差し引いた後に会社に残る最終的な利益です。
会社が最終的にどれだけ利益を残したのかを見るうえで重要な数字です。
ただし、純利益だけを見るのも危険です。
一時的な利益や損失などによって、大きく変動する場合があるからです。
そのため、
売上高 → 営業利益 → 純利益
という流れで、会社がどのように利益を生み出しているのかを見ることが大切です。
④ EPS――1株あたりどれだけ利益を生み出しているのか
企業分析をしていると、EPSという言葉が出てきます。
EPSは「1株あたり利益」を表す指標です。
簡単に言えば、
「会社が生み出した利益を、1株あたりにするとどれくらいなのか」
を見る数字です。
例えば、会社の利益が10億円で、発行済み株式数が1,000万株なら、
EPSは100円になります。
EPSを見ることで、単純な会社全体の利益だけではなく、1株あたりの利益がどう変化しているのかを見ることができます。
特に、
EPSが長期的に成長しているか
は、企業を見るうえで重要なポイントの一つです。
⑤ ROE――株主のお金をどれだけ効率よく使っているのか
次にROEです。
ROEは「自己資本利益率」と呼ばれ、
株主から集めた自己資本を使って、どれだけ利益を生み出しているか
を見る指標です。
例えばROEが10%なら、単純化すると、自己資本100に対して10の利益を生み出しているイメージです。
ROEが高い会社は、自己資本を効率的に使って利益を生み出している可能性があります。
ただし、
「ROEが高ければ絶対に優良企業」
というわけではありません。
借入金などを多く利用していることでROEが高くなる場合もあります。
そのため、ROEだけを見るのではなく、自己資本比率や負債なども一緒に確認する必要があります。
⑥ 自己資本比率――会社の財務は安定しているのか
企業分析で僕が特に見るようになったのが自己資本比率です。
自己資本比率は、会社の資産のうち、どれくらいを自己資本でまかなっているのかを見る指標です。
一般的に、自己資本比率が高いほど、借入金などに依存する割合が低く、財務面で安定している可能性があります。
ただし、ここでも「高ければ高いほど良い」と単純には言えません。
業種によって必要な設備や資金の量が大きく違うからです。
銀行などの金融業と、メーカーを同じ基準だけで比較することはできません。
つまり、企業分析では、
数字を見るだけではなく、「その会社がどんな業種なのか」まで考える必要があります。
⑦ キャッシュフロー――実際にお金は動いているのか
そして、忘れてはいけないのがキャッシュフローです。
利益が出ている会社でも、実際のお金の流れが良いとは限りません。
キャッシュフローには大きく、
営業活動によるキャッシュフロー
投資活動によるキャッシュフロー
財務活動によるキャッシュフロー
があります。
特に僕が企業を見るときに注目しているのが、営業キャッシュフローです。
本業によって実際にどれだけお金を生み出しているのかを見ることができます。
例えば、営業キャッシュフローが継続的にプラスになっている会社なら、本業から現金を生み出す力がある可能性があります。
一方で、利益は出ているのに営業キャッシュフローが長期間マイナスになっている場合は、
「なぜ利益が出ているのに現金が増えていないのか?」
と疑問を持つことができます。
この「疑問を持つこと」が企業分析では非常に重要です。
数字は「良い・悪い」で終わらせない
ここまで、いくつもの指標を紹介しました。
しかし、ここで一番伝えたいことがあります。
企業分析は、数字に点数をつけるゲームではありません。
例えば、
「ROEが高いから買い」
「自己資本比率が高いから買い」
「PERが低いから割安」
と、一つの数字だけで判断するのは危険です。
大切なのは、複数の数字を組み合わせて、
「この会社はなぜこの数字になっているのか?」
と考えることです。
売上高は伸びているのか。
利益は伸びているのか。
EPSはどうなっているのか。
ROEは高いのか。
財務は安定しているのか。
営業キャッシュフローはどうなのか。
そして、その会社の現在の株価はどう評価されているのか。
こうやって少しずつ情報をつなげていくことで、単なる数字の羅列が「会社の姿」に変わっていきます。
企業分析に正解はない
最後に、企業分析には一つの正解があるわけではありません。
同じ決算資料を見ても、
「成長性が高いから魅力的だ」
と考える人もいれば、
「すでに株価に期待が織り込まれている」
と考える人もいます。
重要なのは、他人の意見をそのまま信じることではありません。
自分で数字を確認し、自分なりの仮説を立てること。
そして、その仮説が間違っていたら、なぜ間違ったのかを振り返ること。
これを繰り返すことで、少しずつ企業を見る力が身についていくのだと思います。
次の章では、企業の数字だけではなく、「その会社の株価は今、高いのか安いのか」を考えるために、PER・PBRなどの株価指標について見ていきます。
第3章 株価は高いのか、安いのか
「株価が安い」の意味を考える
第2章では、売上高や利益、ROE、キャッシュフローなど、会社そのものを見るための数字について説明しました。
しかし、ここで一つ疑問が出てきます。
「良い会社なのは分かった。でも、その会社の株は今買ってもいい価格なの?」
ここが、企業分析と投資判断の大きな違いです。
どれだけ良い会社でも、株価が高すぎれば、すでに将来の成長が株価に織り込まれている可能性があります。
逆に、今の業績がそれほど良くなくても、株価が将来の成長をほとんど織り込んでいなければ、投資対象として魅力的に見えることもあります。
つまり、
「良い会社を探す」ことと、
「良い価格で買える会社を探す」ことは別です。
そこで登場するのが、PERやPBRといった株価指標です。
① PER――利益に対して株価は何倍なのか
まず覚えておきたいのがPERです。
PERは「株価収益率」と呼ばれ、
株価が1株あたり利益(EPS)の何倍まで買われているのか
を見る指標です。
計算式は、
PER = 株価 ÷ EPS
です。
例えば、
株価が2,000円
EPSが100円
だった場合、
2,000 ÷ 100 = PER 20倍
となります。
これは簡単に言えば、
「1株あたり100円の利益を生み出している会社に対して、株価はその20倍の水準で評価されている」
ということです。
PERを見ることで、株価だけでは分からなかった「利益に対して株価がどれくらい評価されているのか」を考えることができます。
PERが低ければお買い得なのか?
ここで注意してほしいことがあります。
PERが低い=必ず割安
ではありません。
例えば、PERが10倍の会社があったとします。
一見すると、PERが30倍の会社よりも安く見えます。
しかし、その会社の利益が今後減少すると予想されているなら、PERが低いのには理由があるかもしれません。
反対に、PERが30倍でも、今後利益が大きく成長すると期待されている会社なら、投資家から高く評価されている理由があります。
つまり、
「PERが何倍だから買い」
という考え方ではなく、
「なぜこの会社のPERはこの水準なのか?」
と考えることが重要です。
PERは「同じ条件」で比較する
PERを見るときは、他の会社やその会社自身の過去のPERと比較することも重要です。
例えば、同じ業界に、
A社:PER 12倍
B社:PER 25倍
という2社があったとします。
数字だけを見ると、A社のほうが割安に見えます。
しかし、A社は利益が減少傾向で、B社は利益が毎年成長しているかもしれません。
そうなると、単純に
「12倍だからA社のほうがお得」
とは言えません。
会社の成長率や収益性、財務状況などを一緒に見る必要があります。
だからPERは、
「割安かどうかを決める数字」ではなく、「株価が利益に対してどのくらい評価されているのかを見る数字」
と考えると分かりやすいです。
② PBR――会社の純資産に対して株価は何倍なのか
次にPBRです。
PBRは「株価純資産倍率」と呼ばれ、
株価が1株あたり純資産(BPS)の何倍で評価されているのか
を見る指標です。
計算式は、
PBR = 株価 ÷ BPS
です。
BPSとは「1株あたり純資産」のことです。
例えば、
株価が1,500円
BPSが1,000円
なら、
1,500 ÷ 1,000 = PBR 1.5倍
となります。
つまり、会社が持っている純資産に対して、株式市場からどの程度の評価を受けているのかを見ることができます。
PBR 1倍はどういう意味?
PBRを見ていると、
「PBR 1倍」
という数字を目にすることがあります。
PBRが1倍ということは、単純化すると、
株価と1株あたり純資産が同じ水準
ということです。
では、
「PBR 1倍以下なら絶対に割安なのか?」
というと、そうではありません。
会社が持っている資産を使って、どれだけ利益を生み出しているのかも考える必要があります。
例えば、たくさんの資産を持っていても、その資産をうまく活用できず、利益をほとんど生み出していない会社なら、市場から高く評価されないことがあります。
逆に、資産がそれほど大きくなくても、高い利益を安定して生み出している会社なら、高いPBRがつくことがあります。
ここでも、
PBRだけで判断しない
ことが重要です。
PERとPBRを組み合わせて考える
ここまでで、
PER=利益に対する株価の評価
PBR=純資産に対する株価の評価
ということが分かりました。
では、この2つをどう使えばいいのでしょうか。
例えば、
PERが低い
PBRも低い
ROEも高い
利益も成長している
という会社があったとします。
この場合、
「市場からまだ十分に評価されていない可能性はないか?」
と考えるきっかけになります。
一方で、
PERが低い
PBRも低い
利益が減少している
ROEも低下している
という会社なら、
「安く見えるのには何か理由があるのではないか?」
と疑う必要があります。
このように、指標を一つずつ見るのではなく、
PER × PBR × ROE × 利益成長
のように、複数の情報を組み合わせて考えることが企業分析では重要になります。
「割安株」を探すことが目的ではない
投資を始めたばかりの頃は、
「PERが低い株を探そう」
「PBRが低い株を探そう」
と考えたくなります。
僕自身も、最初はそういう見方をしていました。
しかし、企業分析を続けていくと、それだけでは足りないことに気づきます。
重要なのは、
「なぜ安いのか」
です。
株価が低い。
PERが低い。
PBRが低い。
それだけでは投資する理由にはなりません。
市場から評価されていない理由があるかもしれないからです。
逆に、PERが高い会社にも、
「利益が今後大きく成長すると期待されている」
「強いブランドや技術を持っている」
「高い利益率を維持している」
など、評価されている理由があるかもしれません。
だから僕は、
「低PER=お宝」
ではなく、
「この評価にはどんな理由があるのか?」
と考えることを意識しています。
数字の裏側にある「理由」を探す
ここまで読んで、企業分析で何度も同じ話が出てくることに気づいたかもしれません。
売上高を見る。
利益を見る。
ROEを見る。
自己資本比率を見る。
キャッシュフローを見る。
PERを見る。
PBRを見る。
でも、最終的に大切なのは、
「なぜその数字になっているのか?」
です。
例えばPERが10倍だったとしても、
「利益が落ちているから安いのか?」
「一時的な要因で利益が増えているのか?」
「今後の成長が期待されていないのか?」
「単純に市場から見落とされているのか?」
理由によって意味は全く変わります。
だから企業分析は、数字を集めて終わりではありません。
数字を見て、
「なぜ?」
を繰り返していく作業です。
ここまでの企業分析を一度整理する
ここまでの内容を整理すると、僕は企業を見るときに、次のような流れで考えています。
① 売上高を見る
↓
会社の事業規模や成長を確認する。
② 営業利益・純利益を見る
↓
利益を生み出す力を確認する。
③ EPSを見る
↓
1株あたりの利益がどう変化しているかを見る。
④ ROE・自己資本比率を見る
↓
資本を効率よく使えているか、財務に問題がないかを見る。
⑤ キャッシュフローを見る
↓
実際のお金の流れを確認する。
⑥ PER・PBRを見る
↓
現在の株価が、利益や純資産に対してどのように評価されているかを見る。
そして最後に、
「この会社はなぜこの評価を受けているのか?」
を考える。
これが、僕が企業分析をするときの基本的な考え方です。
ただし、これだけではまだ買えない
ここまで分析すると、
「じゃあ、数字が良くてPERも低かったら買えばいいの?」
と思うかもしれません。
しかし、まだ一つ足りません。
それが、
「株価そのものが今どう動いているのか」
です。
どれだけ企業の数字が良くても、株価が長期間下落していることがあります。
逆に、企業の業績がそれほど変わっていなくても、株価が上昇していることがあります。
企業の価値を見ることと、株価の動きを見ること。
この二つを組み合わせることで、投資判断はさらに深くなります。
次の章では、チャート・移動平均線・出来高・RSIなどを使って、「株価は今どんな状態なのか」を考える方法について見ていきます。
第4章 チャートから株価の動きを考える
企業分析だけでは「いつ買うか」が分からない
ここまでの章では、売上高や利益、ROE、PER、PBRなどを使って、会社そのものを分析してきました。
しかし、企業分析をしていると、こんな疑問が出てきます。
「この会社は良さそう。でも、いつ買えばいいんだ?」
ここが難しいところです。
企業の業績や財務状況を調べることで、
「この会社に投資する価値があるか」
を考えることはできます。
一方で、株価は毎日動いています。
同じ会社でも、
1,000円で買うのと
1,500円で買うのとでは、
投資判断は変わってきます。
そこで役立つのが、チャートです。
チャートを見ることで、株価がこれまでどのように動いてきたのか、現在どのような状態なのかを確認できます。
ただし、ここでも大切なのは、
「チャートを使えば未来の株価を当てられる」わけではない
ということです。
チャートは未来を予言するものではありません。
あくまで、現在までの株価の動きを整理し、投資判断の材料にするものです。
ローソク足を見る
チャートを見ると、まず目に入るのがローソク足です。
ローソク足には、その期間の、
始値
高値
安値
終値
という4つの価格が記録されています。
例えば1日のローソク足なら、
「その日の最初はいくらだったのか」
「一番高いところはいくらだったのか」
「一番安いところはいくらだったのか」
「最後はいくらで終わったのか」
を見ることができます。
ローソク足を並べて見ることで、
「株価が上昇しているのか」
「下落しているのか」
「一定の範囲で動いているのか」
といった大きな流れを確認できます。
トレンドを見る
チャートを見るとき、まず確認したいのがトレンドです。
大きく分けると、
上昇トレンド
株価が高値・安値を切り上げながら上昇している状態。
下降トレンド
株価が高値・安値を切り下げながら下落している状態。
横ばい
一定の範囲の中で株価が動いている状態。
というように考えることができます。
例えば、株価が長期間下落したあと、少し上昇したからといって、
「これで上昇トレンドに変わった」
とすぐに判断するのは危険です。
一時的な反発かもしれないからです。
そのため、
「今の上昇は、本当に流れが変わったのか?」
と考えることが重要になります。
移動平均線――株価の流れを見やすくする
チャートを見るときに、僕がよく使っているのが移動平均線です。
移動平均線とは、一定期間の株価の平均値を計算して、それを線としてチャートに表示したものです。
例えば、
5日移動平均線
25日移動平均線
75日移動平均線
などがあります。
短い期間の移動平均線は、最近の株価の動きを反映しやすくなります。
一方、長い期間の移動平均線は、より大きな流れを見るのに使われます。
例えば、
「5日線が上向いている」
なら短期的に株価が強くなっている可能性があります。
一方で、
「5日線は上向いているけど、25日線や75日線はまだ下向き」
という場合、
「短期的には反発しているが、長期的な流れはまだ変わっていないのでは?」
と考えることができます。
このように、移動平均線は「買いサイン」を出すためだけではなく、株価の現在地を把握するためにも使えます。
ゴールデンクロスは「絶対の買いサイン」ではない
移動平均線を見ていると、ゴールデンクロスという言葉を聞くことがあります。
一般的には、短期の移動平均線が長期の移動平均線を上抜ける形を指します。
例えば、
5日移動平均線が25日移動平均線を上抜ける
といった動きです。
これを「買いサイン」として紹介している情報もあります。
しかし、
ゴールデンクロスが起きたから必ず株価が上がる
というわけではありません。
ゴールデンクロスが発生したあとに、株価が下落することもあります。
なぜなら、移動平均線は過去の株価をもとに計算される指標だからです。
つまり、ゴールデンクロスは、
「過去から現在にかけて、株価の流れが変化している可能性がある」
と考える材料の一つであって、
「これから必ず上がる」という予言ではありません。
この違いを理解しておくことが大切です。
出来高――どれくらい売買されているのか
チャートを見るとき、株価だけではなく出来高も確認することが重要です。
出来高とは、一定期間にどれだけ株式が売買されたのかを表す数字です。
例えば、普段あまり売買されていない株で突然出来高が大きく増えた場合、
「いつもより多くの投資家がこの株を売買している」
ことが分かります。
株価が上昇しているときに出来高も大きく増えているなら、
「多くの投資家が参加しながら株価が上昇しているのではないか」
と考えることができます。
ただし、これも単純に、
「出来高が増えた=買い」
ではありません。
買いたい人が増えているだけではなく、売りたい人も増えているからこそ売買が成立します。
だからこそ、
株価の動きと出来高をセットで見る
ことが重要です。
RSI――買われすぎ・売られすぎを見る
もう一つ、僕がチャートを見るときに使うことがあるのがRSIです。
RSIは、一定期間の株価の上昇・下落をもとに、相場の過熱感を見るための指標です。
一般的には0〜100の範囲で表示されます。
RSIが高いと、
「短期間でかなり買われているのではないか」
と考える材料になります。
逆にRSIが低いと、
「短期間でかなり売られているのではないか」
と考える材料になります。
ただし、
RSIが高いから必ず下がる
RSIが低いから必ず上がる
というわけではありません。
強い上昇トレンドでは、RSIが高い状態が長く続くこともあります。
そのため、RSIだけを見て売買を決めるのではなく、
「今の株価のトレンドはどうなのか?」
「企業の業績はどうなのか?」
などと合わせて考える必要があります。
指標を増やしすぎない
チャート分析を始めると、たくさんの指標があることに気づきます。
MACD。
ボリンジャーバンド。
一目均衡表。
ストキャスティクス。
その他にも、数え切れないほどのテクニカル指標があります。
しかし、指標を増やせば増やすほど投資判断が正確になるわけではありません。
むしろ、
「RSIでは買い」
「MACDでは売り」
「別の指標では買い」
というように、判断が複雑になってしまうことがあります。
僕自身、投資を勉強していく中で感じたのは、
「指標をたくさん使うこと」より、「一つ一つの指標を理解して、なぜ見るのかを説明できること」のほうが重要
ということです。
ファンダメンタルズとチャートを組み合わせる
ここまで企業分析とチャート分析を別々に見てきました。
しかし、本当に重要なのは、この二つを組み合わせることです。
例えば、
企業分析
売上が成長している。
利益も成長している。
ROEも高い。
財務も安定している。
PERも極端に高くない。
ここまで見て、
「会社としては魅力的だ」
と考えたとします。
しかし、チャートを見ると、
長期間下落している。
移動平均線も下向き。
出来高も少ない。
この場合、
「会社は良いけど、今すぐ買う必要はあるのか?」
と考えることができます。
逆に、企業分析が良くても、株価がすでに急上昇していて割高になっているなら、
「良い会社だけど、今の価格では買わない」
という判断もできます。
つまり、
ファンダメンタルズで「何を買うか」を考え、
チャートで「今どういう状態なのか」を考える。
このように役割を分けて考えると、チャートに振り回されにくくなります。
「買わない」という選択肢
投資では、
「買う」
だけが選択肢ではありません。
企業分析をして、
「この会社は良い」
と思っても、
「今は待つ」
という判断をすることができます。
例えば、
「業績は良いけど株価が急上昇している」
「長期的には魅力的だけど、短期的には下降トレンド」
「もう少し決算を確認したい」
などです。
投資では、何もしないことに焦りを感じることがあります。
しかし、
「良い会社を見つけた=すぐ買う」
ではありません。
自分が納得できる条件が揃うまで待つことも、立派な投資判断です。
チャートは「答え」ではなく「材料」
ここまでの内容をまとめると、
ローソク足で株価の動きを見る。
移動平均線でトレンドを確認する。
出来高で売買の活発さを見る。
RSIなどで相場の過熱感を見る。
そして、それらを企業分析と組み合わせる。
これがチャートを見る基本的な考え方です。
ただし、最後にもう一度伝えておきたいことがあります。
チャートに「絶対の答え」はありません。
どれだけ綺麗な形になっていても、予想と反対に動くことはあります。
だからこそ、
「この形だから買う」
ではなく、
「なぜ今この株価になっているのか?」
「自分の考えが間違っていた場合、何が起きるのか?」
まで考えることが重要です。
投資で必要なのは、未来を完璧に当てる能力ではありません。
不確実な未来に対して、自分なりの仮説を立て、リスクを考えながら判断する力。
それが、企業分析とチャート分析を学ぶ本当の意味だと僕は考えています。
次の章では、ここまで学んだ知識を実際に使って、一つの企業を最初から最後まで分析する方法を見ていきます。
第5章 実際に企業を分析してみる
知識を覚えるだけでは投資はできない
ここまでの章では、企業分析に必要な数字や、チャートの基本について説明してきました。
しかし、ここで一つ問題があります。
「結局、実際の会社をどうやって分析するの?」
PERとは何か。
ROEとは何か。
キャッシュフローとは何か。
それぞれの意味を覚えただけでは、実際の投資判断にはつながりません。
投資で本当に大切なのは、知識を使って、
「この会社はどういう会社なのか」
「今の株価はどう評価できるのか」
「自分なら買うのか、待つのか」
を考えることです。
そこでこの章では、実在する企業を一つ取り上げて、実際に分析してみます。