白斑事件の涙と、カネボウ消滅の痛みを語る。
私は長い会社員人生の中で、三つの大きな試練を経験しました。
第1の試練:カネボウの経営破綻と産業再生機構支援
かつて日本を代表する企業だったカネボウが、深刻な経営危機に陥り、 2004年、産業再生機構の支援を受けることになりました。
本社管理部門にいた私は、「沈み始めた船の中で、最初に水が入ってくる場所」 にいました。
会社の数字が悪化し、内部に不穏な空気が漂い始めた頃、 同じ部署の仲間数人が転職活動を始めました。
私は必死に言いました。
「まだ会社は再生できる。 今ここで逃げるのは早い。」
しかし、誰一人として耳を傾けてくれませんでした。
仲間が次々と辞めていく状況に耐えられず、 私は直属の上司に相談しました。
「転職を思いとどまるよう、説得していただけませんか。」
そのとき返ってきた言葉は、 私の想像をはるかに超えるものでした。
「転職阻止は無理だ。この会社に未来は無い。 私も転職する。 お前も自分の将来をよく考えろ。」
私は言葉を失いました。
仲間が去り、上司まで去る。 沈み始めた船の中で、 自分だけが取り残されたような感覚でした。
しかし、私は逆にこう決めました。
「自分は逃げない」
沈み始めた船を最後まで見届ける。 それが本社管理部門にいた自分の責任だと思ったからです。
そして私は産業再生機構の企業再生プロジェクトに志願し、 昼夜を忘れて会社の再生に向き合いました。
第2の試練:カネボウ白斑事件
企業再生を終えた後、私は花王でマーケティングに携わりました。
そして2013年、 ロドデノール配合製品による白斑様症状が発生し、 自主回収が発表されました。
化粧品は本来、 「肌と心のキレイ」を届ける仕事です。
それが、お客様の肌と心を傷つけてしまった。
そして最前線で謝罪し続けたのは、 毎日お客様の肌と向き合ってきた美容部員さんたちでした。
返品の山。 震える手で商品を受け取る美容部員。 泣きながら対応する姿。
その中で、お客様の中にはこう言ってくださる方がいました。
「悪いのは会社です。あなたは悪くない。」
私はこの言葉を聞いたとき、胸が詰まりました。
第3の試練:カネボウ消滅
企業再生に身を捧げた私が、 最後に経験した最も重い試練。
それは―― カネボウという会社そのものが消えていくことでした。
私は社長室部長として、 社員にこう伝える立場にいました。
「明日からカネボウのバッチを外し、 月のマークのバッチを付けることになります。」
そのとき、昔の仲間から言われた言葉。
「おまえは、月のマークに魂を売ったのか?」
私はこの言葉を忘れません。
逃げずに残り、 企業再生に身を捧げた自分が、 最後にはカネボウのバッチを外す側に立っていた。
この皮肉は、 言葉では表現できないほど苦しいものでした。
会社は永遠ではない
三つの試練を通して、私は知りました。
会社は永遠ではない
会社がなくなっても、自分まで消えるわけではない
経験は奪われない
そして今、私は個人事業主として働いています。
ここから先では、 白斑事件の核心、 美容部員の涙、 経営危機の兆候、 カネボウ消滅の裏側、 そして私自身の再生の物語をお話しします。
白斑事件の涙と、カネボウ消滅の痛みを語る。
私は長い会社員人生の中で、三つの大きな試練を経験しました。
第1の試練:カネボウの経営破綻と産業再生機構支援
かつて日本を代表する企業だったカネボウが、深刻な経営危機に陥り、 2004年、産業再生機構の支援を受けることになりました。
本社管理部門にいた私は、「沈み始めた船の中で、最初に水が入ってくる場所」 にいました。
会社の数字が悪化し、内部に不穏な空気が漂い始めた頃、 同じ部署の仲間数人が転職活動を始めました。
私は必死に言いました。
「まだ会社は再生できる。 今ここで逃げるのは早い。」
しかし、誰一人として耳を傾けてくれませんでした。
仲間が次々と辞めていく状況に耐えられず、 私は直属の上司に相談しました。
「転職を思いとどまるよう、説得していただけませんか。」
そのとき返ってきた言葉は、 私の想像をはるかに超えるものでした。
「転職阻止は無理だ。この会社に未来は無い。 私も転職する。 お前も自分の将来をよく考えろ。」
私は言葉を失いました。
仲間が去り、上司まで去る。 沈み始めた船の中で、 自分だけが取り残されたような感覚でした。
しかし、私は逆にこう決めました。
「自分は逃げない」
沈み始めた船を最後まで見届ける。 それが本社管理部門にいた自分の責任だと思ったからです。
そして私は産業再生機構の企業再生プロジェクトに志願し、 昼夜を忘れて会社の再生に向き合いました。
第2の試練:カネボウ白斑事件
企業再生を終えた後、私は花王でマーケティングに携わりました。
そして2013年、 ロドデノール配合製品による白斑様症状が発生し、 自主回収が発表されました。
化粧品は本来、 「肌と心のキレイ」を届ける仕事です。
それが、お客様の肌と心を傷つけてしまった。
そして最前線で謝罪し続けたのは、 毎日お客様の肌と向き合ってきた美容部員さんたちでした。
返品の山。 震える手で商品を受け取る美容部員。 泣きながら対応する姿。
その中で、お客様の中にはこう言ってくださる方がいました。
「悪いのは会社です。あなたは悪くない。」
私はこの言葉を聞いたとき、胸が詰まりました。
第3の試練:カネボウ消滅
企業再生に身を捧げた私が、 最後に経験した最も重い試練。
それは―― カネボウという会社そのものが消えていくことでした。
私は社長室部長として、 社員にこう伝える立場にいました。
「明日からカネボウのバッチを外し、 月のマークのバッチを付けることになります。」
そのとき、昔の仲間から言われた言葉。
「おまえは、月のマークに魂を売ったのか?」
私はこの言葉を忘れません。
逃げずに残り、 企業再生に身を捧げた自分が、 最後にはカネボウのバッチを外す側に立っていた。
この皮肉は、 言葉では表現できないほど苦しいものでした。
会社は永遠ではない
三つの試練を通して、私は知りました。
会社は永遠ではない
会社がなくなっても、自分まで消えるわけではない
経験は奪われない
そして今、私は個人事業主として働いています。
ここから先では、 白斑事件の核心、 美容部員の涙、 経営危機の兆候、 カネボウ消滅の裏側、 そして私自身の再生の物語をお話しします。