オリジナルのテンプレートは600以上。『ココナラAIスタジオ』は「誰でも使える」AI業務サポートプラットフォーム(事業開発者インタビュー)

2024年11月、ココナラが新たに立ち上げた『ココナラAIスタジオ』は、誰でも簡単にテキストや画像などを生成できるビジネス向け業務サポートAIツールです。今までの生成AIの課題である「使い方がわからない、期待どおりに生成できない」といった課題を解決して、ユーザーが自然に生成AIを活用できることを目指して開発されました。
今回は、事業責任者の外崎に『ココナラAIスタジオ』の特徴だけでなく、生成AIの課題や、ココナラAIスタジオではその課題をどのように解決しているのか、そして生成AIで業務をサポートするアイデアなどについて話を伺いました。
外崎 匠 『ココナラAIスタジオ』事業責任者/Head of Design
青山学院大学卒。Yahoo!にUIUXデザイナーとして入社。前職ではbitFlyer Holdingsで海外事業のPdMやデザインマネージャーを経験。2020年9月ココナラにデザイン責任者として入社。デザイン統括部長をしつつ、2024年11月から『ココナラAIスタジオ』の事業責任者に就任 。
生成AIの業務活用が進まないのはなぜか?

『ココナラAIスタジオ』とはどのようなサービスですか
生成AIを使って、マーケティングやSNS運用、文章作成や画像生成などのビジネスシーンを中心に、業務に必要なテキストや画像を作成するサービスです。今、世の中には「テキストだけ」「画像だけ」を生成するサービスは多くありますが、1つのプラットフォームで誰でも簡単にテキストから画像まで生成できるようにしたのが『ココナラAIスタジオ』です。

このようなサービスを開発した理由を教えてください
私たちはココナラスキルマーケットをはじめとしたさまざまなサービスを通じ、多くのユーザーのスキルの可視化・マッチングを行ってきました。これまでもオフライン・オンライン問わずユーザーとコミュニケーションを取ってきましたが、多くの方から話に出てきたのが、実は高いクオリティのスキルを提供されている一方、「必ずしも得意ではない業務や非効率な単純作業に追われている」という状況だったのです。そのような業務による負担を軽減し、本当にやるべきタスクに集中することで、成果を高められる環境を作りたいという想いで『ココナラAIスタジオ』を開発しました。
現状、生成AIの活用はどれくらい進んでいるのですか
生成AIは日本でもトレンドになっていて、聞いたことがある、使ったことがあるという人は多くいます。ただ、プライベートでも業務でも生成AIの活用はまだ進んでいません。総務省の統計を見ても、海外(「中国」56.3%、「米国」46.3%)と比べて日本での生成AIの利用率は9.1%と低いことがわかっています(総務省「デジタルテクノロジーの高度化とその活用に関する調査研究」より)。
その理由は3つあると考えています。まず、多くの生成AIはチャット形式でフリーフォーマットとなっており、何でもできる反面、どのような業務に活用できるのかユースケースが分かりにくくなっています。とりあえず少し使ってみたけど、使い道がわからず、その後は使っていないという方も多いのではないでしょうか。
次に、AIへの指示が難しいという問題があります。生成AIを使うときには、「プロンプト」とよばれる指示文がアウトプットの品質に大きく関わります。ユーザーが望むアウトプットとなるように指示文を工夫する「プロンプトエンジニアリング」という知識が必要になります。これが難しく、知識がないまま使うと期待外れのテキストや画像が生成され、これでは使えないとがっかりするわけです。
最後に、複数のサービスが乱立していることも、AI活用が進んでいない理由です。サービスが多すぎると使い分けが面倒になり、複数サービスを契約して使おうとすると費用がかさんでしまうことも、業務活用のハードルを高くしています。
業務への活用方法が分からない、プロンプトが難しい、サービスの数が多すぎるというのが、生成AIの活用が進まない理由なのですね。
もう一つ付け加えるなら、今はAIの技術そのものがフォーカスされていて、ユーザー目線で開発されたサービスがあまりないことも挙げられます。技術に興味のある人は積極的に使うかもしれませんが、そうでない人にとっては分かりにくい、使いにくいという印象がどうしてもあるのだと思います。
そこで、これまでココナラが培ってきたノウハウを活用して、より使いやすいAIサービスを作ろうとしたのです。
600以上のテンプレートから選んで項目を入力するだけ

『ココナラAIスタジオ』の特徴を教えてください
最大の特徴は、テキストから画像まで、複数のツールを使い分けることなく1つのプラットフォームで提供し、アウトプットごとに600以上のテンプレートを用意していることです。「記事作成サポート」、「ビジネスシーンの人物画像の作成」など、ユースケースに応じてテンプレートを選択するスタイルとしています。AIを選ぶというよりは、目的やカテゴリーを最初に選ぶという感覚です。
テンプレートを選ぶと入力画面に移りますが、難解なプロンプトは要りません。項目に沿って必要なことを書く、または選ぶだけです。たとえばSNS投稿文を作る場合、概要、ターゲット層、目的、テキストの雰囲気、文字数などを入力するだけでテキストを生成します。画像生成なら、モチーフや画風、画像サイズを入力するだけです。
つまり、生成AIの課題である「業務への活用方法がわからない、プロンプトが難しい、サービスの数が多すぎる」に対して、1つにまとめてユースケースでカテゴライズし、複雑なプロンプトを不要にしたというわけです。

実際の画面を見ましたが、テンプレートの選択や入力画面がわかりやすいですね
その辺りはUI/UXにかなりこだわって作り込んでいます。 私自身、10年以上WEBデザイナーとして活動しており、ユーザーが使いやすいと感じるデザインを追求してきました。今回の『ココナラAIスタジオ』は、誰でもAIを直感的に使えるサービスプラットフォームにしたいと考え、ユーザビリティは最も重要視した点となります。
しかも、アウトプットの質もかなり高いですね。どのような工夫をしているのですか
私たちはココナラスキルマーケットを運営している中で、740以上あるカテゴリーの取引を見てきました。各スキルが提供されるまでにどのような業務が必要になるのか、どのような入力項目にすることでスムーズな取引につながるのかを徹底的に分析し、改善しています。今回はこれまで培ってきたノウハウを活かして業務を構造化し、600以上のカテゴリそれぞれにオリジナルの入力項目を設定することで、イメージどおりのアウトプットになるよう工夫しています。
そして、テンプレートの背後には、Google社と連携しているR&Dチームが独自に設計した項目ごとのプロンプトが置かれています。そのプロンプトをテンプレートごとに変えているため、最適なアウトプットが簡単に生成できるのです。
生成AIを業務サポートサービスとして徹底的に使ってほしい

『ココナラAIスタジオ』は、どのようなユーザーに使ってもらいたいと考えていますか
まずは、既存のココナラ出品者や個人のビジネスシーンでの利用をターゲットにしています。出品者はすでに50万人いるので、潜在顧客が多いというのも私たちの強みです。自身が苦手とする業務に『ココナラAIスタジオ』を活用してほしいですね。
例えば、とあるサービスのLPを制作するとき、Webデザイナーで「デザインは得意だが、要件をまとめたり文章を書くのが苦手」という方がいたとします。その場合には、テキストツールを使用し、項目に沿ってサービス概要やターゲット・目的や雰囲気を入力するだけで生成をAIに任せることができます。そのため、自身の得意としているデザインの仕事に集中することができ、スピーディーにクオリティの高いLPを作成することが可能になるのです。
他にも、「SNS運用をしなければならないけど知識もないし負担も大きい……」と感じている方も多いでしょう。その場合も、『ココナラAIスタジオ』であれば戦略策定から自己紹介文や投稿文、キャプション作成、そしてYouTubeやTikTokの台本作成までテンプレートがあるので、画像作成と合わせさまざまなフェーズで利用することができます。
将来的には複雑なワークフローの対応を目指す

『ココナラAIスタジオ』はローンチしたばかりですが、今後の目標などを教えてください
利用者をスモールビジネスや中小企業、ゆくゆくは大企業にも拡大することを目標にしています。事業規模が大きくなるほど業務のワークフローが複雑になり、テンプレートもより高度なものにしなければいけません。
そこで私たちが考えているのは、複数のタスクを1つのテンプレートとしてつなげ、連続的に使うことです。企業や業務ごとにカスタマイズして、その企業のその業務のワークフローに特化した高機能テンプレートを作ることを目指して開発を進めています。
『ココナラAIサービス』はまだローンチしたばかりなので、まずは多くの人に使っていただき、多くのフィードバックをいただきたいと思います。それをもとに改善して、より使いやすいサービスに作り上げていくことを考えています。
ご紹介サービス ココナラAIスタジオ