真夏の怪談2021~其の弐~

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音声・音楽
真夏の夜に相応しく、怪談を語っていきましょう。

■真夏の怪談~其の弐~『洋琴ノ音』■

あれは俺が七歳の頃…。
ふとベッドの下から鳴る音に気が付いた。
探ってみると電子式のピアノの玩具が鳴っていた。
物心付いた頃から持っていたピアノの玩具。
グランドピアノを象った形で、色は黄色、乾電池で動くピアノの玩具。
鍵盤を押せばちゃんと音は鳴るので楽器といては問題がない。
恐らく、俺が最初に手にした楽器だろう…。
五歳から六歳くらいの頃はよく弾いていた。
出鱈目に弾く事もあれば、兄に教えてもらった曲を弾く事もあれば、自分で考えたメロディを弾く事もあった。
けれど、七歳くらいの頃はもうあまり弾く事は無くなっていた…。
そんなある日にベッドの下で仕舞い込まれたピアノの玩具が鳴り始めたのだ。
まるで、長い事相手にされなかった寂しさを訴えるように…。
恐る恐るそれを手にしてみる。
電源が入った事を報せる赤いランプが光っていて、鍵盤が一つ押された状態に鳴ってい
慌てて電源を切り、押されたままの鍵盤を押し直すと元に戻った。
「…電池が入ったままだったのだろうか…?」
長い事放置してあったので液漏れを心配しながら電池ボックスを開いた。
「………!?」
俺は息を飲んだ。
そこには一本も電池が入っていなかったのだ…。
つまり、電池もなくそのピアノは鳴り始めたのだ…。
その後、そのピアノの玩具は使う事もなく、引っ越しの時に処分してしまったと思う。
今思えばもっと弾いてあげるべきだったなと思う…。
幼い頃に持っていた子供用の電子ピアノ、玩具だけれど、それを弾いていた事はその後音楽をやる上で重要な素養になっていたと思う。
メイン楽器がギターでありながらも鍵盤がすぐに弾けるようになったのもあの玩具のピアノのお陰だ。
今も色々な面で音楽活動に役に立ってくれているのだと思う。
電池がなくとも音を鳴らした、あの不思議なピアノを今も時々思い出す事がある。
<終>

■童ノ唄■

「童ノ唄」ジャケット.jpg

■音源の聴き方■

※ココナラブログでは直リンクが貼れないので説明します。
①「Dark core.-Web site-」で検索!
②トップに出る「Music」ページ行く!
③曲名が一覧で並んでいるのでそこから聴きたい曲のタイトルをクリック!
…これで聴けます!^^
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