ミックス② ピッチとタイミングの補正

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音声・音楽
レコーディングエンジニアのStudio UDです。
ミックス作業のご紹介、前回は素材の下ごしらえとボーカルテイクのセレクト作業までご紹介しました。

今回は、このボーカルテイクをさらに磨いていきます。

タイミング補正

タイミング補正をする目的は主に2つあります。

①リズムの良くない箇所を修正
今回は元々上手なボーカルで、さらに4テイクから選んでいるので、明らかにリズムを直した方が良いという場所はほとんどありません。
しかし、複数テイクを繋いだ結果、言葉が詰まっていたり、反対にすき間が空いて不自然になってしまう箇所が発生します。
これらのリズムを調整していきます。
この時、波形を見て縦線(グリッド線)に合わせるような修正方法はお薦めしません。
歌は子音+母音の組み合わせで音ができていますが、
・サ行のように"s"部分が前に来ていた方が良いもの
・カ行のように"k"部分が音のスタートになるもの
などなど、子音の種類によって扱いが異なります。
ですので、私は必ず実際の音を聴いて耳で判断するようにしています。

②歌を際立たせるための調整
ボーカルやメロディ、歌詞、アレンジ等によりケースバイケースですが、
「ジャストよりも少しだけ突っ込ませたり遅らせたりする方がオケに対して歌が際立つ」箇所があります。これらを見つけて慎重にエディットしていきます。

これら2つの作業が完了した状態で再生してみると、修正前と同じバランスでも確実に歌が抜けてくるのがわかると思います。

ピッチ補正

今度はピッチ補正に入ります。
ボーカルのピッチ変化は非常に特徴的で、楽器のような真っすぐでジャストな音程は基本的にあり得ません。一音一語だけを取り出してみても、出だしと語尾では音程に変化があるので、単純に「高い低い」だけで修正するわけには行きません。
一見フラット&シャープした歌いだしでも、それは「しゃくり」や「こぶし」などのボーカリストの表現であることも多いです。
ピッチ解析の表示だけを見て(音を聴かずに)縦線に合わせていくと、元の歌を台無しにする可能性があります。
ですので、タイミング補正と同様に、元の音程と補正した音程を実際に聴き比べながら慎重に修正していきます。
どうしても時間がかかってしまいますが、絶対に欠かせない作業です。
そのため、メインボーカルのピッチ補正だけはAntares Auto-Tune Proのグラフィックモードを使用しています。
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ある日のピッチ補正の例。赤い線が元の音程で緑の線が補正した箇所です。
アタックだけ、語尾だけ、あえて放置する部分、ピッチ感はそのままに全体をシフトする等していますが、そのままの箇所が大多数です。

今回はハモりのトラックもありましたが、1声だけでしたので、諸々の処理をメインボーカルと同じように作業しました。
(ハモが複数だったり、3~4声のいわゆるUh-Ah-コーラス等はMelodyneで効率よく確実に修正していくこともあります。本当に便利です)
タイミングとピッチの補正も終え、次回はいよいよミックス本番です。

今回ご紹介したようなピッチ補正は、以下のサービスで提供しております。是非お試しください。
また、質問等ありましたらお気軽にメッセージください。

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