放っておいてくれ!

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先週9月23日・24日とヘルスカウンセリング学会第30回大会があり、私はその大会長を任され2日間朝から晩までパソコンに張り付き、あいさつから基調講演の座長、そして会員のみなさまとの交流タイム、さらには口頭発表も1題させていただいたりしてエネルギーを使い果たしてしまいました。
その後、月水は仕事で出勤し、職場の模様替えまで。木金は妻と旅行に出かけ、昨日は退職した会社のOB会。
ようやく少し時間が取れたので、今日は2012年1月19日に書いたブログ記事「放っておいてくれ!」をシェアさせていただきます。

私は誰にも頼らず、自分ひとりで生きている。だから放っておいてくれ!
そんなことをいわれる方がおみえになりますよね。
あるいは、ここをご覧の方の中にも、これまで生きてきた過程で、何度かこのような思いになったことがあるのではないでしょうか?

私は人からの頼まれごとをなかなか断れない人でしたし、人を頼ることも苦手な人でした。
SAT法(ヘルスカウンセリング)を学び、随分とこの縛りは緩くなってきましたが、実はまだまだ窮屈な人間です。

SATには「対人依存度」「環境支援認知度」を計る尺度があります。
対人依存度が高いと、まわりに察してもらいたいという気持ちが起こりやすく、察してもらう人がいないとストレスを蓄積しやすいんです。

放っておいてくれ…といいながら、実はそんな自分の気持ちに気づいて、かまってくれと心の奥底では期待しているかもしれません。
そんな自分を弱いと感じ、自分を否定して生きているだけかもしれません。
後者は支援認知を決める他者イメージ脚本の尺度ですが、家族の中に情緒的支援認知があるか、あるいは家族以外にあるか否かを計ります。

誰にも助けてもらってないぞ!
…本当にそうでしょうか?
人は決して一人きりでは生きてはいけません。
いまあなたが食うに困らないのは、誰かが食べるものを作ってくれるから。
あなたがあたたかな家で眠れるのは…?

まわりの支援、すなわち、すでにまわりのみんなに支えられて生きているんだということを、改めて認知し、感謝をすると、まわりの景色が変わって見えてきます。
それまで、疲れしか感じなかったものが、幸せ感に満たされてきます。

自分の不遇を嘆くのは、もうやめにしましょう。
自分に足りない部分があるならば、それを信頼できるまわりの仲間たちの中にも求めてみましょう。


私はいわゆる器用貧乏で、幼い頃からなんでも一人でやってしまうクセがついていました。人に迷惑をかけるのがイヤで、頼りたくないと思って長いこと生きていました。中間管理職になった最初の頃、部下に頼るより自分でやってしまうことの方が多かったんです。
部下に自分と同じレベルを求め、できないと落胆し、自分でやってしまう。そんなことをしていると人は育ちませんし、どうせ自分でやるのだろうと力を発揮してくれなくなってしまいます。
組織としては最悪。

遺伝子気質を学び、こういうことをするのはキッチリタイプ(執着気質)が高いせいだと知りました。

会社員としての晩年、私が監査人として現場を回っている頃、そんな「できる上司」に少なからず出くわし、自戒を込めて問いかけていました。
あなたはすごいです。
組織長として実績を出すのはあなたの責任。やって当然。それを、部下を頼らず自分で出してしまう。
あなたはすごいです。
いまあなたは管理職を任されていますね。
管理職には人を育てることも大きな役割の1つだと私は考えますが、それはどうされていますか?
…と。

私は、大きなプロジェクトを任されるまで、自分で全部やり、やって見せることで人は育つと思っていました。私がされたように、部下に怒鳴ったこともありました。とんでもない思い上がりでした。無理を重ねて心身ボロボロになり、倒れることもありました。

人はみな違うんです。得意なこともやりたいことも、楽しみややりがいを感じることも。そして仕事に求めることもです。仕事だからとそれを犠牲にする必要はない。そのことに気づいた私は、プロジェクトの目的を伝え、自分がどうしたいか、チームでどうなったらいいと思っているかを伝え、みんなの気持ちも聞いてみた。
本人のやりたいこと、得意なこと、チャレンジしたいこと…
みんなで役割分担し、プロジェクトプランを完成させていく。自分でも業務を担当しながら、プロジェクトを走らせる。
次第にみんなの気持ちが1つになり、誰かが困っていると自然と声がかかるようになる。助け合いが生まれ、みんなの表情が生き生きしてくる。
プロジェクトが成功した時、みんなでその喜びを分かち合うことができたんです。満面の笑み。
一人だけでは成し遂げられない成果を得たばかりか、メンバーみなが、その過程を通して成長したんです。
そんな経験を通じ、私は、憎まれない上司として生かされたのではないかと思います。

ちなみに冒頭に書いた学会大会ですが、他の理事たちに助けられ、学会員みんなのエネルギーをいただいて、いい感じで終えることができたと思っています。

自分を信じ、まわりを信じ、大いに支え合って生きていけたら幸せですよね。


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