傾聴力強化⑨「優れたリーダーはなぜ傾聴力を磨くのか?」林健太郎著

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少し間があきましたが、傾聴力強化のために今回13冊目に読んだ本は、以前読んだ「否定しない習慣」の林健太郎氏の著書「優れたリーダーはなぜ傾聴力を磨くのか?」です。

実は、この本はいずれ読もうとは思っていましたが、後回しになっていた本でした。なぜかというと、カウンセリングではなくコーチングに関する本であり、職場での上司・部下での関係性での傾聴に特化した本であると決めつけてしまっていたからです。
でも、違いました。
今まで、傾聴とはなにか、カウンセリングとはなにかを、勉強し、発信し続けてきたのにお恥ずかしい限りです。

なぜ、今回この本を読もうかと思ったのかという理由は、副題「職場の心理的安全性が高まる本」から、カウンセリングの場面でも心理的安全性の必要性を感じたからです。

では、特に私の心に残しておきたい部分を簡単に振り返っていこうと思います。

第1章 なぜ、上司に「傾聴力」が求められるのか?

「仕事なんだから、文句を言わずにやってくれ」で通じていた時代が終わり、それぞれの部下が何を考え、どんな価値観や夢を持っているのか聞いてみないとわからなくなってしまった。
しかし、部下の話を聞く目的も大事である。部下から話を聞く目的は、問題解決ではなく、信頼関係を築き、部下が自分で考えられるなることです。

Hearは、受け身の姿勢で聞いていること。言わば勝手に耳に入っている状態。これに対してListenは、聴き洩らしがないように集中し、積極的な姿勢で聞いている状態。
部下と話している時は、Listenのスイッチをオンにし、「アクティブリスニング(能動的傾聴)」の状態になる必要がある。
「Listenは、相手の心のなかにある氷山の『海に隠れた下の部分』を引き出すつもりで聞く」
「Listenは、相手が『このことは墓場まで持っていこう』と思っている言葉を引き出すつもりで聞く」

「話したい」という思いを持つ人の味方になって聞いていく、その効果は絶大である。

部下たちから話を聞くことによって、お互い理解し合い、モチベーションが上がり、喜びを分かち合うことができる。

第2章 なぜ、部下の本音を聞き出せないのか?

9割の上司は、部下の本音を聞き出せていない。
「部下のぐちなんて、聴いている時間はない」と思ったり、過干渉で部下に任せられない場合も。

部下の話を聞くときには、話をどの方向へ向かわせるのか、ゴールを決めて聞くことが必要である。
 例)「部下の自己成長を促す」
   「倫理観のない行動を是正する」
   「心身の健康状態を確認する」など

また、部下が話し終わるのを待てずに結論を先取りしてしまいがちであるので、待つことが大切である。
早合点し、「わかった気になる」ことも悲劇のもとである。

聞いた時のリアクションも大切。
「首が折れるくらいうなずけ」

会話をコントロールしようとしてしまうのも要注意。

第3章 部下の話を聞くときの心がまえと実践法

・「事実」「感情」「思考」「推測」
・「過去」「現在」「未来」
以上をある程度区別して受け取ることで、会話の方向性を見出すことができる。

聞くときは聞くことに集中し、「聞くときは静かに聞きましょう」

部下が本音を語ってくれるための条件
 1.「心理的安全性の確保」
 2.「話し手の様式の理解」(「会話の基本ルール」を双方が守り、「聞く」と「話す」を順番にうまいこと回すこと)

傾聴の本質は、相手に静かな時間を提供すること。
「自分や、自分の課題と向き合える時間」
「自分で考えざるを得ない時間」
この黙っているときに大切なのが「非言語」であり、沈黙をうまく活用できなければ傾聴はできない。
また、部下が自分で正しい選択にたどり着くまで、辛抱強く何度も聞き続けることが大切である。

「ハーマンモデル」
 A象限…数字やデータを重視(左脳/理知的)
 B象限…順序や規律を重視(左脳/本能的)
 C象限…コミュニケーションを重視(右脳/本能的)
 D象限…アイデアや未来像を重視(右脳/理知的)
A象限の人とC象限の人、B象限の人とD象限の人は逆のタイプとなるため理解・共感がしにくい
(※図ではもっとわかりやすく表現されています)

第4章 部下の本音を引き出す「聞き方」の手順

部下の話を聞くときの実践手順10
 1.部下に「静かな時間」を提供しよう
  迷ったらここに戻る
 2.復唱から始めてみよう
  ・オウム返し
  ・「ですね」や「ですか」をつける復唱
  ・要約する復唱
 3.承認の言葉を使ってみよう
  ・発言の承認
  ・行動の承認
  ・プロセスの承認
  ・見解の承認
 4.合いの手を入れてみよう
  ・「そうなんですね」
  ・「というと」
  ・「ほかには」
  ・「もう少し詳しく」

ここまでで以下の効果が得られます。
 ・部下の心理的安全性が高まる
 ・部下がよく話してくれるようになり、情報量が増える
 ・上司の「話を聞くスキル」が上がる
 ・面談の時間を有効に使えるようになる
 ・面談での会話の精度が飛躍的に上がる

5以降は相手の許可を得てから進む。
 5.未来を問うてみよう
  会話の方向性を大きく変えるためには未来を問うことが有効
  「もし仮に、なんの制約もないとしたら、どんなふうにしたいですか?」
  「そこにある願いはなんですか?」
  「それが実現したら、どんなことを感じるとおもいますか?」
  「それが達成出来たら、どんな気分になりそうですか?」
 6.感情を問うてみよう
  人間の行動や意思決定を最終的につかさどっているのは思考と感情である
 7.洞察を促してみよう
  聞いている相手の言葉の奥にある、表面に出ていない心の深い部分について、自分自身で考えてもらうように促す
 8.方向性を例示しよう
  もし「わかりません」のような答えが返ってきた場合、
  「話したいことだけ話してくれればいいよ」
  「まとまっていなくでもいいから教えて」など
  一歩突っ込んで方向性を明示することで相手の真意がわかる。
 9.相手(部下)の意思を聞こう
  「どうしたい?」
 10.笑って接してみよう
  部下の話を聞いている時は「非言語」が大切

第5章 上司と部下の関係性による落とし穴とその対策

上司と部下の「傾聴」を難しくする3つの要素
・「近い関係」…わかった気になってしまう
・「業務タスク中心」…報告・指示だけの会話では信頼関係は生まれにくい
・「上下関係」…「聞くこと」の弊害になる

落とし穴に落ちないための対策
 1.「1回目は失敗して同然と知る」
 2.「「指示待ち部下」の固定観念の壊す」
 3.「「聞くこと」が常にベストな判断ではないことを知る」
 4.「「聞く環境」を整える」
 5.「「始まりの言葉」を覚えて使う」
 6.「「終わりの言葉」を覚えて使う」
 7.「「どんなことが起きたら成功なのか」を理解する」
 8.「「今日は昨日と違うかもしれない」と唱える」
 9.「部下によって面談の頻度を変える」

第6章 自分の「心の声」の聞き方
「マインドフルネス」や「レジリエンス」など、自分との対話が注目されている。
この「自分のこころの声」は、部下の話を聞いているときにも大きな影響を及ぼしている。

第7章「部下以外の相手」の話の聞き方

ぜひ本書をご参照ください。

【感想】

最初にお話しした、この本を後回しにしてしまっていた勘違い、思い込み。それこそが「わかった気になっている」ことと、ドキッとしました。
また、人を分析する上で、「ハーマンモデル」は使っていきたいと思いました。
全体を通して、上司と部下の関係はそのままセラピストとクライエントに置き換えることができると感じました。そのため、第7章はあえて割愛しましたので、部下以外の相手の話の聞き方を知りたい方はぜひ本書をお読みください。
第4章の手順も、第5章のほとんどの部分もそのままカウンセリングに通じるものを感じました。
第6章で出てきた「マインドフルネス」と「レジリエンス」は、ちょうどこれから読んでいく本のキーワードにもなっていますので、また次の機会をお楽しみにしていただければ幸いでございます。
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