ライター時代の怪談 その3ー完結編

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コラム

🌛護摩祈祷で祓っていただく


ここのお坊様がとても気さくな方で、取材ついでに、
最近こんなことがあって‥‥、と事の次第を説明しましたら、
じゃあ、お祓いしましょう、ということになったのです。

真っ暗な洞窟の中で、護摩を焚いて、燃え盛る火にお札をくべる。
お坊様が祈祷を捧げてくださる。その様子をカメラマンが撮影します。
奇妙なこともなく、無事、全ての段取りが終わり、スタッフ一同、帰路に着きました。
私は心なしか体が軽くなったようで、取材後は打ち上げに出てカラオケまでたしなみました。

こうして度々あった霊障のようなものは祓われた!と思っていたんです。

が、帰ってから2、3日して、カメラマンから連絡が来ました。

護摩焚き上げの写真に狐が写ってる!と。
見てみると、確かに燃え上がる炎が狐の顔に見えなくもない。
でも信じたくない私は、いやいやいや‥‥またまたまた‥‥、と受け流していました。

🌛耳が聞こえなくなる


その頃には、島取材の時、痛かった喉やカスッカスだった声はすっかりよくなっていましたが、今度は少し左耳が聞こえにくくなっていました。
風邪を引いた後、鼻をかみすぎたりして、ちょっと耳に違和感があるときのように。
12月で忙しかったのもあり、さほど気にせずにそのままにしていたのです。

しかし、いよいよ不快感が募り、時間ができた時に耳鼻科に行ってみたら、
突発性難聴と診断されてしまいました。
すぐに薬を飲めば治る可能性もあったようですが、違和感を感じてからもう2週間以上過ぎていましたから、おそらく治らないだろうと言われました。

これも霊障だったのでしょうか。
ライターの仕事は、人の話を聞くことばかりなのに、耳が聞こえない、なんて絶望的だ。
これは仕事を辞めろという啓示なのだろうか?
などど考えつつ、片耳は正常なので、どうにか仕事をこなしながら、
その年を越して、新年を迎えました。

そして年明け早々に、例の俳優さんの舞台があり、
ご招待をうけて観劇に行き、あっ!と驚くことになりました。


🌛おばちゃんと狐様


その人が演じたのは執念や嫉妬に狂う役どころで、まるで狐のようなメイク、所作で飛び跳ねていたこと。
それはそれは妖艶で、哀愁の炎がメラメラと背後に立ち上っているのが見えるような名演でした。
この人は狐様を下ろして演じていたのかもしれない、と思いました。
感動して眠りについたその夜は、
またしても深夜にiPadが煌々と点き、音楽が鳴って起こされたのでした。

ああ、私、また狐様を連れて来ちゃった?と思いましたが、
それを最後におかしなことはスーッとなくなりました。

ただし、難聴は治らず、今も左耳はほぼ聞こえません。


🌛波長が合っただけ


ここからは私なりの考察ですが、
最初の霊障は子役時代の周囲の大人やファンの怨念、生き霊的なもの。
島取材以降の霊障は、その俳優さんが呼び込んでいた狐のようなもの。
と、いうことなのではないかと。

振り返ってみると、どちらもそんなに怖くはなくて、
最初のガヤガヤしたおばちゃんたちは、なんだか楽しそうな雰囲気もあったなと思うし、
遠足みたいに、島に来てみたかったのかな、なんてことも思いました。
そのまま島に残ったんじゃないかなとも思う。(実は霊場のある島でした)

狐様の方は、禍々しいものではなく、気高い雰囲気で、芸能の神様のような。

肩や喉が痛くはなったけど、そのほかは電気系のものが反応していただけで、命の危険を感じるようなことはなかった。
家族や友人に被害もなかった。(自動ドアが開かない、改札でICカードが反応しない、駐車場のバーが上がらない、みたいなことはよくあった)

よく波長が合う、と言いますが、あの俳優さんと私の波長が合ってしまって、その人に憑いていたものがこちらにも来てしまったのかな、
と今では思っています。

それと、後から聞いた話ですが、霊能力者の方には、左目が見えないとか左側に障がいがある方がかなりの確率でいらっしゃるとか。
私の左耳が聞こえなくなったのも、霊感が芽生える予兆だったのかしら?なんて思います。

が、この文章でもわかるように、
私は幾度も「さほど気にしないで寝」ています。
あまり素質がないのでしょう。
今現在、残念ながら?霊感はありません。
(異界の人と仲良くなる素質はあると思うのですけど)

以上、ライター時代の怪談、終わります。
ご拝読ありがとうございました!

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