小規模事業者持続化補助金の注意点|補助金申請ガイド

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はじめに

本記事は、過去に頂いた『小規模事業者持続化補助金』のお問い合わせについて、共通する注意点をまとめています。
補助金は、国からお金がもらえる非常にお得な制度です。
しかし、「採択すればもらえる」というような単純な制度ではありません。
計画申請の前に、知っておくべきことをまとめました。
ぜひ、申請にお役立てください。

1.補助金は給付金とは異なる

『補助金』は、使った経費のキャッシュバックです。
『給付金』のように、『申請して通ればもらえる』というものではありません。
交付決定後に、お金を使って、集計して、報告して、それが認定されて、初めて入金されます。
計画申請から入金までは、長ければ1年ぐらいかかります。
資金調達などを駆使して、補助金を上手に活用することはできます。
ただし、そのためには、補助金の正確な理解と事前の準備が必要です。

2.経費予算は大きく組んでおく

以下のような計画を時々見ます。
・チラシ制作費:2万円
・チラシ配布:10万円
⇒広報費:計12万円
こういう組み方は、もったいないです。
チラシの制作にもっとお金がかかってしまった場合や、チラシの配布に効果があって、もっとたくさん配りたくなった場合に、融通が利かなくなってしまいます。
そこで、そこまで使う予定がなかったとしても、以下のような計画にしておきましょう。
・チラシ制作費:15万円
・チラシ配布:10万円×6か月
⇒広報費:計75万円
本当にチラシ配布で成果が上がるなら、補助金はそれに使わなければもったいないです。
補助額全部、あるいは、余った予算は全部、チラシ配布で使うぐらいの気持ちで、経費計画を組むようにしましょう。
これは、その他の費目でも同じことが言えます。
何があっても良いように、各予算は、なるべく大きく記載しておきます。

3.実績報告の手引きは、採択される前、できれば計画申請前に読んでおく

補助金経費の支払いには、様々なルールがあります。
普段のビジネスの通りに進めれば、減額か、最悪の場合、補助対象外になってしまいます。
例えば、以下のような注意が必要です。
・現金払いは原則不可(最大でも10万円まで)
・クレジットカード払いでは、引き落としまで済んでいなければ、補助対象にならない。
・基本的に、発注書を作成しなければならない。
・基本的に、納品書又は完了報告書をもらわなければならない。
 ⇒対応してくれない事業者に発注すると、後で非常に困る…
・見積書・発注書・請求書は、内容を一致させ、丁寧に作らなければならない
他にも、細かいルールがあります。
ですから、ぜひ、採択される前に、あるいは、時間があるなら、計画申請前に読んでおいて頂きたいです。

4.全ての契約・発注は交付決定後

本補助金の経費の支払いは、全て、『交付決定』の後でなければなりません。
採択されてもまだ、発注してはいけないのです。
そのため、計画申請の段階で意識すべきは、だいたい3~4か月後以降の経費です。

5.採択後の修正指示には早く対応する

補助金の採択後、経費計画について、修正指示が来る可能性があります。
例えば、『〇〇等』となっているような場合、『”等”を外して送りなおしてほしい』というような依頼があります。
これに対応しなければ、いつまでたっても交付決定されません。
交付決定がされなければ、補助事業を始めることができませんから、修正指示がきたら、すぐにでも対応した方が良いでしょう。

6.広報費の発注に気を付ける①

『広報費』として作る配布物(チラシ・ショップカード等)には、『配布した分だけが補助対象になる』という、補助金独特のルールがあります。
例えば、チラシのデザインと印刷を依頼し、1万枚・15万円で納品されたとしましょう。
これを1千枚しか配らなければ、補助対象経費は1万5千円、補助金額は1万円になってしまいます。
しかし、チラシのデザインと印刷を依頼し、100枚・10万円で初回発注。その後、印刷を1万枚・5万円で追加発注したとしましょう。
この場合、100枚しか配らなくても、補助対象経費は10万円、補助金額は6万6千円になります。
普段通りに発注してしまうと、思わぬ損をしてしまう可能性があります。
補助金の特性を理解して、上手に発注しなければなりません。

7.広報費の発注に気を付ける②

チラシ・ショップカード等を補助対象経費とする場合、『広告文言』にも気を付けなければなりません。
例えばショップカード。
店舗名・ロゴとQRコードと住所と電話番号だけのショップカード、オシャレですよね。
でもそのデザインだと、補助対象になりません。
補助対象にするには、「ぜひ一度ご来店ください」というような、『広告文言』が必要なのです。
知らないまま作ってしまうと、悲しいことになってしまいますね。

8.広報費の発注に気を付ける③

チラシ・ショップカード等を補助対象経費とする場合、『配布先リスト』にも気を付けなければなりません。
先ほど、『配布した分だけが補助対象になる』というルールを説明しました。
これは、『配布先リスト』というリストを作って事務局に報告します。
この『配布先リスト』には、作り方の難易度があります。
・DMの場合:全配布者について記載する
・新聞折込・ポスティング・街頭配布の場合:配布場所と枚数を記載する
どうですか。
どう考えても、『新聞折込・ポスティング・街頭配布』の方が、楽そうですよね。
私が実績報告するとしたら、DM分は、補助対象外にしてしまいます。

9.補助金の丸投げは、できません

よく、「全部お任せしたい」というご相談も頂くのですが、見てきましたように、残念ながら、補助金はそういう性質のものではありません。
・細かい会社情報などの入力は、ミスを発見できない第三者が入力すると危ない
・事業を実施するための見積りを、事業を実施しない第三者が取ってしまうと、実際の工事の際などにトラブルになる可能性が高い
・発注・支払い・納品は代われない
計画書の準備をしたり、実施内容の一部を請け負って、必要書類をお見せしたりすることは簡単です。
しかし、いわゆる丸投げなんてできないんです。
『丸投げOK』というような事業者がいるとすれば、無責任又は詐欺の可能性がありますので、ご注意ください。
★補足
過去には、ホームページ制作会社が営業し、『ホームページ制作の発注を条件に、補助金申請を代行する。ほとんど丸投げ、お金を払うだけ。』というようなビジネスモデルが流行しました。
しかし、今はホームページ制作費は『ウェブサイト関連費』に区分され、補助額の4分の1までとなってしまったため、このビジネスモデルは廃れました。

さいごに

このように、補助金は、採択される前よりも、採択された後の方が、遥かに大変です。
そして、外部が関われない領域が、一気に増えます。
ぜひ、計画申請の段階から、主体的に調べ、理解し、十分に準備するようにしてください。

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