小児専門作業療法士をしているつー先生と申します。
ここでは、事例を基にどんなことをしたのかを記載していきます。
わたしは、小児専門作業療法士となり、発達障がい、脳性麻痺児延べ2000人を超える子どもたちの療育に携わりました。
その経験を活かし、どのようにすれば落ち着いて過ごすことができるのか、手先が不器用なのをどう改善していけばいいのかのアドバイス等をしています。
ちょっとでも気になる事があれば、簡単なアドバイスであれば、メッセージからさせていただくのでお気軽にご連絡いただければと思います!
園訪問時に保育士の先生から「この子とどうやって遊べばいいかわからないんです。」と相談がありました。
今まで園でどんなことをしてきたのか問うと基本的には、ミニカーで遊ぶことが多く、ミニカー以外で遊んでも基本的には一人遊びばかり。
ひたすら粘土を転がす。
スライムを伸ばす。
ピアノを弾く。etc...
先生が「何をしているの?」と問うものの返事はない。
ボールプールに興味はあるものの誘いかけると「イヤ。」と一言。
あまり話そうともしない様子。
最初にマッチング課題を用いてどの程度語彙があるのか評価。
日用品(はし、コップ、はさみなど)は爪切り以外ほとんどわかっている。
衣類はマフラーがわからなかったもののズボンやシャツなどわかっている。
海の生き物、昆虫もほぼ正解。
かなり語彙力があり、表出はしないものの多分保育士同士で話している内容も理解できている。そのため余計に話しにくい環境となっていたのではないかと考える。
訪問時にお母さんも同席されていたので、どんな遊びが好きなのか聞き取る。
家ではお母さんが抱っこし、ぐるぐる回ってベッドに飛び込む遊びが好きとのこと。
実際にしてもらうと「もう一回して。もう一回して。」と何度もお願いする様子が伺えた。
わたしも同様に「ぐるぐるしてあげるよー!」と声をかけるも「イヤ。」と一言。
わたしは「イヤ。」と言うことを無視して無理やり抱っこしてぐるぐる回りボールプールへダイブした。
再度「ぐるぐるしてあげるよー!」というと母の方へ逃げていく。
もう一度同じように抱っこしてぐるぐる回りボールプールへダイブ。
すると声掛けしなくても本児から寄ってきてくれた。
「ぐるぐるする?」と問うと目を合わさないが頷く。
数回繰り返し行ったのちに少し離れる。
すると追いかけるようにわたしの所へ来て「もう一回。」という。
同じようにしては離れ、近づいてきては「もう一回。」を繰り返す。
その後同じように「もう一回。」というため、ボールプールからこぼれたボールを拾い、「この赤いボール5個ボールプールにいれたらしてあげるよ。」と交渉する。
最初はよく理解できていなかったようなので、一緒に片づけを行ったのちにぐるぐるダイブを行う。
2回目からは理解できたようで「青いボールを5個ボールプールにいれたらしてあげるよ。」と伝えるとすぐに片づけを行うことが出来た。
これにより本人の中で「できた。」という経験を積めると共に交渉することにより大人が期待する行動を行うことで楽しいことが出来るという経験を積むことが出来る。
その後保育士の先生にも同様に楽しんでもらうと「もう一回。」や「きゃははは。」といった笑い声を聞けるまでになった。
「今まで保育園ではここまで笑うことなかったのに。」と感動する声も聞かれた。
この中で一番大切なことは、子どもの世界に大人がどれだけ入っていけるかということ。
本人の好きなもの、すきなこと。
楽しめる感覚。
それを知らなければ大人が楽しいだろうと用意するものも子どもからしたら興味のないことになってしまう。
子ども一人ひとりをよく観察・知ることで、これなら楽しむことが出来る、これなら笑ってくれるということを保育士側が知ることが出来るのではないだろうか。
「今度は着替えの様子を見ていただきたいです。」との相談があったので、数か月後になりますがその後の経過を見ていこうと思います。
同じように発達で気になる子がいましたら何でも気軽にメッセージしていただけたらと思います!