勝ちにこだわりを持つ6歳児の事例

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小児専門作業療法士をしているつー先生と申します。
ここでは、事例を基にどんなことをしたのかを記載していきます。
わたしは、小児専門作業療法士となり、発達障がい、脳性麻痺児延べ2000人を超える子どもたちの療育に携わりました。
その経験を活かし、どのようにすれば落ち着いて過ごすことができるのか、手先が不器用なのをどう改善していけばいいのかのアドバイス等をしています。
ちょっとでも気になる事があれば、簡単なアドバイスであれば、メッセージからさせていただくのでお気軽にご連絡いただければと思います!

今回は『勝負にこだわりがあって、勝たないと癇癪を起してしまうんです。』とお母さんから相談があり、保育園へ訪問に行きました。

家ではトランプを中心に遊び、保育園でもトランプをすることが多いとのこと。
トランプで負けると癇癪を起こし収拾がつかず、他の部屋へ落ち着くまで移動するとのこと。

保育園の目標は『トランプに負けても怒らず、ゲームを楽しめる』
家でも癇癪を起さないように何度もトランプをするそう。そして負けるたびに癇癪を起こす。
両親の中ではいつか慣れて癇癪を起さなくなるだろうと考えて何度もしていたとのこと。

考えなければならないことは『なぜ負けると癇癪を起してしまうのか』ということ。
勝ちにこだわりを持つ子どもの心理としては「勝ち=正義」「負け=悪」と考える子が多いようです。
他にも勝てば褒められる(認めてもらえる)と考える子もいます。
それを踏まえれば、負けることに慣れるということがあり得ないものと考えられます。

では、どうすればいいのか

1つ目はその子に「今回は私が負けてあげるね!」というまでひたすら勝ちを続けること。
2つ目はそもそも勝ち負けのないゲームをする。

これは家ではできても、保育園では難しいです。
療育現場でもなかなかできないですね。

実はもう一つ方法があるんです。
それは周囲の状況がわかるゲームをすること。
具体的には、すごろく、人生ゲーム等が当てはまります。

トランプやカードゲームでは、手元しか見ないので、周囲の進行状況がわからず、いきなり隣の人が上がる、いつの間にか負けている→なぜ負けているのかがわからず癇癪を起こす。

今回はすごろくをしました。
わたし、母、対象児、保育士の4名でしました。
じゃんけんで順番を決めたときは、2番目だったこともあり、少し「あー」ということがあったものの、わたしと保育士が負けているのを見て『ニャッ』と笑い、全員で負けたことを受け入れたことを褒める。

すごろくが始まると進行状況が見てすぐわかるため、序盤は良い調子。
後半になるにつれて負けていることに気づくと「私はここ。」と勝手に進めることもあったが、「〇〇ちゃんは今ここだよ。先生なんて見てよ、すっごい遅れてる。」と伝えると自分ルールが出ることもなく続けることができた。
最終的に2位でのゴールではあったが、負けることを認めることができ、かつ楽しめた。

すごろくは運次第なところもありますが、人数を増やすことでビリにする確率を減らすことができる。
少しずつ負けを認めることができれば、勝ちに対するこだわりも減っていくのではと考えています。

園の先生にはトランプにこだわらず、周囲の状況がわかりやすいゲームを取り入れてもらうことを提案しました。

今回は理論的なことが多くなりましたが、少しでも皆さんの療育の役にたてればと思います。


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