新任教諭(初任者)の退職、公立校で相次ぐのニュースから考える

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 6月の中頃の「新任教諭の退職、公立校で相次ぐ 精神的な不調、東京では理由の4割」という記事を見ました。
 教員採用数が全国最多の東京都では、2022年度に正規採用した公立の小中高校、特別支援学校などの新任教諭2429人のうち108人が今年3月までに辞職。全体の4・4%で、割合は過去10年間で最高だったといいます。

 20年度の総務省の地方公務員給与実態調査では、退職した25歳未満の一般行政職員は全体の2%程度といいます。かなりの高倍率だと分かります。

 また、続いて「公立学校の教員に正規採用されたのに、1年以内に辞めるケースが増えている。教員の長時間労働の問題が解消されないなか、教育現場で新人を支援する態勢が不十分なことが背景にあるとみられる。精神疾患が退職理由の事例も目立ち、文部科学省は教員のメンタル面の支援に乗り出した。」と続きます。
 新任教諭、4月に残業100時間 「教育実習と想像以上のギャップ」新任教諭は担任にしない、心理士と必ず面談…退職防止へ各地で支援策というものでした。
• 朝日新聞デジタル6月20日の記事から

 皆様は、このニュースをどう見ますか。現場での対応を考えてみたいと思います。

 ここでは、私が校長として学校経営を担った現場での対応について述べさせていただきます。

 初任者には、主幹教諭か教務主任を指導教官に当てます。校長、教頭も1日1度は教室訪問します。
 課題がある児童の対応は原則、学年主任も一緒に対応、3クラス以上なら学年全体での対応も行います。
 必要に応じ主幹教諭か教務主任も対応。教頭が対応することも想定。特に、保護者対応が必要なケースは、事前の打ち合わせをした後に連絡実施。複数対応で主幹教諭か教務主任が間に立ち連絡することも行います。
 保護者にきちんと納得していただけるよう説明することが大事だからです。初任者だけでは荷が重いケースが少なくありません。

 課題のある児童についての対応については、専門職のスクールカウンセラーに入ってもらうことも積極的に実施します。児童生徒支援とともに初任者へのサポートも想定します。

 初任者は初任者研修があり、たくさんの研究のレポートの作成、授業研究、指導案検討などがあります。学校内での指導については、初任者の勤務状況やメンタルの状況を把握し、適切に対応します。
 ですから、時には期限が過ぎても柔軟対応します。期日だからと、徹夜でやりなさいなど、つぶれるような指導はしません。きめ細やかな配慮のある指導を行います。
 他の担任は余裕がないので、担任外の教員や養護教諭、事務職など他職種の職員にも積極的に声をかけ、相談に乗るようお願いしておきます。
 また、校長自らも初任者の良い点を見つけ、声をかけます。基本、ほめる・認める言葉がけを意識的に実施します。

 今は、10年、20年も前に比べ教職員採用試験の低倍率、転職をいとわない若者心理など大きな変化も見られます。こうした中、益々このような配慮が大事になってくると思うのです。
 まずは、この1学期やり切れた初任者に感謝したいです。「よくがんばったね」と労をねぎらいたいものです。
 そして、そう伝えることが当たり前だと認識します。その積み重ねが1年間乗り切る原動力となると思うのです。
 ここまで読んでくださった皆様

現場の皆様は(校長、教員)はどう思いますか。
保護者・教育関係者の皆様はどう思いますか。
そして、初任者の皆様はどうおもいますか。

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