賃上げ

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 寒さ厳しきこの季節に、多くの中小企業経営者は春に訪れるであろう、あることに頭を悩ませています。それは賃上げです。今年は特に世の中の賃上げ圧力が過去にないレベルにまで高まっています。経営者としても、人手不足による人材獲得競争の激化や物価高による従業員の生活苦を考えると、例年以上の賃上げを行いたいと考えるのが本音でしょう。

 しかし、賃上げは本当に実現可能なことでしょうか?賃上げを行うにはその原資が必要です。観光業界においては長く続いたコロナ禍で、多くの企業はその財務基盤に著しいダメージを被りました。それに続いて、こんどはエネルギー価格の高騰や円安による仕入価格の上昇などで企業収益は一向に改善されていません。賃上げの原資を確保すべく、商品やサービスの値上げや生産性向上に取り組み、仮にそれが上手くいったとしても、営業利益に反映されるのはかなり先のことです。かといってそれまで賃上げを先送りすることが許されるでしょうか。

 ユニクロや任天堂などがいち早く、今春の大幅賃上げを発表しました。このような大盤振る舞いをできるのは、莫大な収益を上げている世界的な大企業などであり、国内企業の99%を占める中小企業が同様のことをできるはずがありません。しかしその中小企業に勤めるサラリーマンの多くが「うちの会社も今年はきっと」と期待をしているでしょう。できることならその期待に少しでも応えたい。経営者の多くがそのように思うはずです。

 仮に今年、「無い袖を振って」無理に賃上げを行ったとします。そしてその後すぐには収益を拡大できなかったとします。人件費だけが増加して、一年後には企業収益がさらに悪化していることになります。そうなると次の年は今年のような賃上げはできない。賃上げが持続不可能な一時的なもので終わってしまうことになります。

 賃上げにより社員のモチベーションが向上し、それが部分的に企業業績に反映することはあるでしょう。でもそれだけでは十分な賃上げ原資には足りないと思います。サービス業なら、社員には賃上げ分の2倍は付加価値を上げてもらわなればならない。そのためには、「商品・サービスの値上げ」「業務改善による効率化」「新規商材・新規事業による収益上乗せ」などにより生産性向上を成し遂げなければならない。簡単なことではありません。
 賃上げが先か、業績向上が先か。鶏と卵の議論をしている暇はない。

 やるか、やらないか。
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