サービス力を上げる(常連様ノートの作成)

記事
ビジネス・マーケティング
今回は、『情報の共有』という観点から、結果サービス力アップ(QSCAの改善)へと繋がりましたよ、という話です。


目配り、気配り、心配りからの取り組み

当時取り組み始めていたのが、
『ファーストドリンクと共にキープボトルを提供する』
というチャレンジでした。
目的は、
①「お店側は、お客様がどなたかわかってますよ」というアピール(気が利いてるね、という印象付け)
②キープボトルを探すための時間のムダ削減(作業性の向上)
③従業員が提供することで、お客様に褒められるという成功体験の創出
でした。

一人での限界

店舗営業中は、ピーク時は言わば『戦場』さながらになります。

そのような中、カウンタードリンカーでドリンクを作りながらご来店された常連様の把握と共に従業員へ指示を出し、一瞬一瞬で判断が変わる営業の状況をコントロールするのが日の常でした。

その、取り組み始めたチャレンジを遂行するためには、最低限お客様のお名前と、キープボトルの銘柄を把握していなければならず。当初そのデータは、自分の頭の中だけにあるという、なんとも属人的な状態でした。

毎回毎回、ドリンカーカウンターでドリンクを作りながらキープボトルの銘柄と、お客様の名前を従業員に伝え、探してもらってはいたものの・・・さすがにピーク時にもなると、頭の回転が鈍くなることや、もう少しで思い出せそうだけど、なかなか出てこない、という状況を経験しました。

『一人だけの頭では限界がある』

そんなことを悟った当時27歳の自分でした。

情報の共有

このチャレンジ、どうすれば円滑にできるかな?
忘れたり、出てこなかったりすることなくなるかな?

・・・そうだ、「常連様ノート」を作って情報を共有してみよう!
頭脳は自分の一つだけではないし・・・
と、思い立ったが吉日。早速1冊のノートを買ってくる。
営業終了後、ダウン作業も終わり、従業員も帰宅の途へとついた後、
店舗でひとり黙々とノートと相対峙する。

内容

最初は、お客様のお名前とキープボトルの情報を箇条書きにすれば事足りるか、という考えでした。キープボトル置き場になんかは一度も足を運びません。落ち着いていれば、スッと出てくるものです。
記憶力との戦いでしたけどね。

・・・このお客様は、このボトル、で売り切れてしまった場合はこっち・・・飲み方は水割り。レモンスライスつける・・・
などと書いていくうちに『欲めいたもの』が頭をもたげはじめる。

このお客様は、そういえばこの席が好きなんだよな・・・
とか。
このお客様は、よくこのメニューを注文するんだよな・・・
とか。

実際役に立つかどうかはその時不明でしたが、もし、ご来店されて好きな席が空いているのなら、そこに通した方が心証良いよね、と思って。

また、嗜好を把握していれば、メニューのおすすめや注文率のアップにも地味に繋がるはず、と思って。
そんなこと考えながら書き綴っていたら、気が付けば2時間位経過してました。

従業員の反応

「店長、またなんか始めたよ・・・(苦笑)」
なんて思われてたんだろな・・・

あれこれ販促はするし、
時に名刺交換でひたすらお客様のところへ『遊び』に行ったりしてるし・・・

でもね、当時、必死だったんだよ。
お店を閉店させたくない一心で・・・

そのノートへは読んだらサインをするようにさせていました。
実はもう1冊『コミニケノート』(注意事項、連絡事項など記載)も既に作っており、出勤前には必ず目を通すように伝えてました。
・・・今回2冊目です・・・

でも従業員皆さん律儀で。読んでサインしてくれてましたね。(キッチンメンバー含め)
件数や情報量、結構あるし、一度読んだだけではそんなに把握できないでしょう?
学生アルバイトさんだと特に出勤間隔が空いたりするし・・・
まぁ、少しばかりでも助けになれば『御の字』だ・・・
と思ってました。
キャパオーバー気味な自分の頭の中を少しでも改善できれば、それでいいか、と軽く考えてました。

共有の効果

少し日数経過後、ノートに書いていた常連様がご来店されました。
オープンして間もなく早い時間帯で、まだ空席も多い状況。
その常連様の好きな席『も』空いており、担当した従業員はどこの席に通すのかな・・・と黙って見守っていました。
すると・・・その常連様が好きな席めがけてご案内してくれたではありませんか!!!!!

その後、その従業員は、お客様からは『良く知ってるね~!』と褒められ、自己紹介など少しお話もでき、『距離』も縮めることができたようです。


その一連の流れを見て、『やった!』(絵に描いたような展開になった!)と思ったと共に、情報共有の萌芽が出始めた!と感じた出来事でした。

また、別の日には、ボトルをキープされているお客様がご来店された時のことです。普段通り、ドリンカーカウンターに入ってドリンクを作りながら、キープボトルに関する情報を従業員へ伝えようとしたら・・・
『これですよね!?』と言わんばかりにドヤ顔で既に準備していたのです。

換言するなら、『指示の先回り』をし始めたのです。
『レベルが上がった』『進歩した』『成長した』と感動にも似た感覚に捉われました。

情報が共有できてる分、指示は減っていき「複数での確認作業」という流れへと自ずと展開します。さらに、他の作業へも必然と「複数での確認作業」が派生し、ミスが減る傾向となりました。さらに、ミスが起こりそう、という部分へも注意喚起が生まれていきました。

まさに「考動」でした。

情報の共有からお客様に対する「目配り、気配り、心配り」へと繋がり、従業員がお客様から褒められることも増え、その『距離』が縮まると共に、笑顔が増えていくのを如実に感じました。

褒められるという成功体験は、行動(考動)へ拍車をかける形となり、一つの好循環『正のスパイラル』と繋がっていきました。


その後はどうなっていったか、というと、
マニュアル通りの『無味乾燥とした』サービスからは外れていった印象です。

心がけたのは
『型』にあてはまらず、従業員の『良心』を前面に出せるように、と
人間味のある『血の通った』サービスでした。

心にある『良心』を出そうとすると恥ずかしさや照れが見え隠れするもんです。それらが入り混じった従業員の表情は、お客様にとっては初々しく新鮮に映り、印象良く思われていたかと。

きっかけは『常連様ノート』
当初の目的はあったものの
従業員が行動(考動)へ繋げてくれたことで
目的以上の成果へと繋がりました。


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