新しい自分へ…10

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なんだか後味が悪い感じではあったが、「私の味方」をしてくれたことが嬉しかった。

今まで私の味方をしてくれる人などいなかったから…。

心が温かくなる…とはこのことか…。

私はその頃には
「花を花だとも思わない」「綺麗だと思わない」
他で子供が殺されてもなんとも思わない…

感情が希薄になっていることを気づかずにいた。

花なんて…
なんの足しにもならない。

多分、その時の私はそう思っていた。

「現実の感覚」しか感じなくなっていた。

「いいか」「悪いか」
の選択の感覚…

これを読んでくれている皆さんなら、ご存じかもしれないが、私はこれまで「選択」を迫られてきた。

そこに「感情」があったかどうかはわからない。
その時、「最善の決断」を迫られてきた。

彼ともそうだ。

けれど、彼はちゃんと感情があった。

そんな人が私と一緒にいてくれる…
なんだか自分が「おこがましく」思えてきた。

そんな人と一緒にいていいのか…

私なんか、親もいなくて
歯もなくて
学歴もないのに…。

相手は両親がいて、妹もいて…
学歴も普通くらいある。
仕事もちゃんとしてる…

どう考えても「不釣合い」だ

色んな感情がめぐってきた。

この人といれば子供たちとも一緒に住める。

親に反対されても味方してくれる。

「この人を大事にしよう」

改めて思った。

「この人の恥じない人になろう」
そう決めた。

帰りの道中は終始楽しい話をしていたが、アパートに着く前には
「母親のことは気にしなくていいから」
とまで言ってくれた。

顔に出てたかな…。

「うん、ありがとう」と言って、その日は別れた。

私はドッと疲れたのか、すぐに眠りについてしまった。

これが「普通」なんだな、と感じた。

初めて「普通」の感覚を感じた。

そして次のバイトの休みの日、私は施設に「引き取り」の相談をしに行った。

そこで言われたのは「契約は二年なので二年いてもらわないと困る」ということと「児童相談所からお母さんの住んでいる環境などを調べてもらわないと引き渡すことはできない」
と言われた。
そうか…。
確かに住むところなどを見なければいけないよな、自分だけじゃないからなぁ。

私は「わかりました、児童相談所にも相談してみます」といって帰ってきた。

そのことを彼に報告した。
そうしたら彼は
「おう、わかった、今度の休みの日、車かいに行くぞ」
と言った。
「え?どういうこと?私買えないよ」というと
彼は「車ないと子供病気になったりしたときどうすんだ、中古の安いのでいいから準備しよう」
といった。

そんなことが果たしてできるのか…
私は母親と元旦那から「サラ金」の名義貸しをされた。
そして、それは女性相談所に入ってから一切手紙もなにもきていない。
けれど「無くなった」わけではないと思う。
要するに「ブラック」だ

そんなのが車のローンなど通るわけがない…。

とりあえず行って車をみるだけでもいいかな、と思い休みの日に
中古車フェアにような会場に行った。
たくさんの車があったが到底買えるものではないことはわかった。

けれど、彼は「これいいんじゃない?」などと言ってくる。
そして私も雰囲気に飲まれ、買えもしない車を見て回った。

会場を一周したとき、「もう帰ろうか」と言ったら
「ほら!あの軽自動車よかったじゃん!」とテンション高めに言ってきた。
「でも…ローン組めるかわかんないし…」
というと「やってみなけりゃわからないだろ!俺が買ってあげたいけど俺も新車買ったばっかりだし…」と…。

まさかそこまではお世話になれない。

ダメ元で、私が「いいな」と言っていた軽自動車の車屋さんに話しかけてみた

それは彼は言ってくれた
「この車、欲しいんですけど…ローン組めるかわかんなくて」と話しかけてくれた。
車屋さんは嫌な顔一つせず、
「いいですよ!うちはローン通りやすいのでやってみましょう!」といってくれた。

そして色々な書類を書き…
審査まで30分くらいかかるから、その間その車の説明をしてくれるという。

その車はワンオーナーと言って、まだ新車で買って一人目の車だという。
そしてセカンドカー(二台目)として買ったけど使わないから車検を期に売ったらしい。
ほぼ新車のような感じだった。
走行距離はまだ数千キロ…。
などなど。

彼はテンションが上がっていたが、私は車のことは詳しくないので
ただ聞いていた、という感じだった。
本当に興味がでて審査が落ちたらショックが大きすぎる…

そうこうしている間に審査が終わったという連絡が入った。

私はドキドキしていた。
多分彼もそうだろう。

結果は
「OK!通りましたよ!よかったですね!」
と言ってくれた。

その時ばかりは私も彼も喜びでいっぱいだった。

納車まで2週間くらいかかります。
と言われたが気にしなかった。

あ、生活保護の人にも言わないと…

とふと思ったが、その日は市役所が休みの土日だった。

週明け言おう、そう思った。

そして、私はとりあえず「車が買えた」ことが「奇跡」だと思った。
なんで審査が通ったんだろう…。

それも値段は諸費用込みで98万円…。

月々15000円の6年。

それでも初めて自分で車を買い、自分の好きなものを買えたことが嬉しかった。
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